【10リスト】ハルカミライ、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】ハルカミライ、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
シンプルきわまりないサウンドと、耳や脳を通り越して心をダイレクトにジャックするような力強い言葉。ハルカミライのロックは、それを聴いた瞬間から問答無用で僕たちの人生のサウンドトラックになる。そういう意味では彼らの楽曲は全部名曲だともいえるのだが、ここではそのなかでも彼らのライブに欠かせないアンセムとなっている曲を中心に10曲セレクトした。過去を鮮やかに蘇らせ、今を全力で肯定し、未来を力強く照らし出す。そんな曲たちだ。心のなかにある気持ちをぶつけながら聴いてほしい。(小川智宏)


①カントリーロード

イントロから駆け出すようなビートと力いっぱい鳴らされるギターリフ。冬が終わり春が訪れる、その瞬間の気持ちと空気。これだけでごはん3杯いける。文字通りハルカミライの「はじまり」を刻んだこの曲で歌われていることと鳴っている音――つまり、胸が締め付けられるようなノスタルジーとそれを振り切って未来へと突き進んでいく決意、そしてどこまでも《君の前で歌ってる》存在であり続けるロックバンドの姿がハルカミライであり、彼らにとっての「バンド」なのだということを、この曲は教えてくれる。彼らのライブを観たことのある人なら、ここで歌われる《歓びの歌》という言葉の意味が分かるだろう。

②アストロビスタ

《眠れない夜に私 ブルーハーツを聴くのさ/独り占め出来るドキドキがあるんだ》というパンチラインが、孤独で切ない心をロックンロールの大きなロマンに接続する。センチメンタルなメロディラインが曲の骨組みだけを取り出せば、たとえばシングル『PEAK’D YELLOW』に収録された“これさえあればいい”と同じようなフォーキーな楽曲だが、それがメンバーによる合唱(もちろんライブではお客さん全員を巻き込んでの大合唱となる)とかき鳴らされるコードとエイトビートによって加速されるとき、《私のことを分かってほしい》という願いがみんなの物語になる。ドラマティックなMVもいい。

③春のテーマ

ファーストミニアルバム『センスオブワンダー』のラストを飾るミディアムチューン。わずか2分40秒くらいしかないし、メロディもたったふたつくらいしかないし、言っていることはほぼひとつだ。でもこの曲の向こう側には、とてつもなく大きな宇宙が広がっている気がする。《僕ら世界の真ん中》、《君は世界の真ん中》という言葉は橋本学(Vo)の願望でもあるが、同時に覚悟の表れでもある。どこが真ん中かは知らないし分からないけど、だからこそ「ここ」が真ん中なのだと言い切ってしまうという覚悟。そんな自分で決めた「ど真ん中」から歌われる、僕らとハルカミライのテーマソングだ。

④predawn

「君と僕」で歩く夜の国道で感じる無敵感。イヤホンをシェアして音楽を鳴らせば真っ暗な夜が《煌め》き、待っている夜明けを確かに感じられる……そんなふたりの姿をみずみずしく描き出した、まるで映画のような1曲だ。好きとか愛しているとかは一言も歌っていないが、もちろんこれはラブソングだ。だが、好きとか愛しているとか言わないぶん、ここには恋愛だけではなく友情や連帯感、つまりバンドという関係性やバンドとファンという繋がり、同じ音楽を愛する仲間同士の絆のようなものもオーバーラップする。煌めく夜を歌ったこの曲自体が、あなたの夜を煌めかせ、夜明けを連れてくるのだ。

⑤ファイト!!

個人的な話で恐縮だが、朝起きるときのアラームをこの曲にしていたことがあった。ベッドから起き上がった瞬間になんだかやれそうな気がしてくるのだ。《あいつのことなら俺が/ぶっ飛ばしといてやるから》。何の根拠もないし確証もないけれど、そもそも根拠も確証もないことを堂々と言えるのがロックの特権だ。1回聴いたら絶対に覚えられるシンプルなメロディと、《わがままでいようぜ》という全肯定のメッセージ。ロックンロールの本質だけをむき出しでぶん投げてくるようなショートチューンで、これが鳴っている光景は(一瞬ではあるが)ハルカミライのライブのまぎれもないハイライトだ。

⑥それいけステアーズ

ヒップホップのノリから始まるこの曲。グルーヴが主体となっている、ハルカミライには珍しいタイプの曲だが、その軽快なムードに対してどこまでもパーソナルでノスタルジックな景色を描き出す歌詞はとことんエモーショナルだ。過ぎ去っていく「あの日」と、失われていく夢と、歩いていくそれぞれの人生。その流れに抗い、それでも消えない大切なものを一つひとつ確かめるように橋本学は歌う。《僕ら ぐしゃぐしゃで叫んでいたい/赤く青く染まったままで》というバンドマンとしての自負、すべてを抱きしめたままいくんだという決意を乗せたファルセットは、切なさを通り越してある種の壮絶さすら感じさせる。

⑦世界を終わらせて

「名曲」ということでいえば、これは本当に一生に1曲生み出せるか生み出せないかレベルの名曲だと思う。歌詞、メロディ、アレンジ、そして歌と演奏に込められた情感、すべてが完璧なラブソングだ。世界や神様を向こうに回して「君」を求めていく主人公の純粋な愛、《運命も奇跡も》全部ふたりでいるために作るんだ、という逆転の発想。とりわけ最後の《朝になって 夜になって/風になって 星になって》と世界のすべてを君に向かって投げ出していくようなパートは圧巻だ。それをこうして軽やかに、「だって愛ってそういうもんじゃん?」とでもいうような感じで歌ってしまうのがこのバンドのすごさだ。

⑧QUATTRO YOUTH

ロックのことやバンドのことを歌った曲はハルカミライにもたくさんあるが(というか突き詰めれば全部そうなのだが)、それを改めて真正面から歌っているのがこの“QUATTRO YOUTH”。青春パンクの王道をいくメロディで《ドアの無いこの/コンクリートの壁を今 叫び放つ歌が/叩き壊した》と歌われるとき、忘れかけていたロックの力がガツンと呼び起こされる。ハルカミライに痺れるのはこういうところだ。今リアルタイムでロックに打ちのめされている世代だけではなく、そこから「卒業」しかけた大人にもこの曲に溢れるロマンは間違いなく刺さる。終わらない青春、燃え続ける情熱を証明するようなアンセム。

⑨PEAK’D YELLOW

《ただ僕は正体を確実を知りたいんだ》というメンバー4人のアカペラでのユニゾンからはじまるこの曲の「むき出し感」といったらない。なぜバンドをやるのか、なぜ歌を歌うのか、誰に向かって叫ぶのか。その本音だけがゴロッと提示されるような、荒削りで感情的な3分間の宣言。“PEAK’D YELLOW”とはそういう曲だ。ロックという最強の武器を手に《暗い洞窟》を突き進むハルカミライが力強いタッチで描く自画像。わけの分からないことだらけの世の中の真ん中に一本道を切り開いていくようなその姿勢は、バンド自身はもとより現代を生きる人すべての背中を押す。彼らの他のどの曲とも違う外向きのメッセージを感じさせる曲だ。

⑩夏のまほろ

誰にだってあるほろ苦くて甘酸っぱい夏の記憶。それを仮に「青春」と呼ぶとして、この曲はそんな青春にノスタルジックな視線を向ける。《昔に戻れたらどうする?》と少しの後悔とともに振り返るあの日々を、しかし彼らは決して懐かしんでいる「だけ」ではない。その青春の記憶は《全てを包み込んで/歩き続ける俺の胸を温める》ものだからだ。つまりこの曲で歌われているのは、取り戻せない過去も思い出も全部ひっくるめて背負い込んで(というより抱きしめて)前に進んでいくんだという意志なのだ。センチメントを振り切るようなギターの音色とビートが、雲を蹴散らし青空を押し広げるように高らかに響く。きっと、夏が来るたびにこの曲を聴きたくなるんじゃないかと思う。
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