【10リスト】スキマスイッチ、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】スキマスイッチ、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
大橋卓弥(Vo・G・Harmonica)と常田真太郎(Pf・Cho)、2人のソングライターによるユニット、スキマスイッチ。2003年にシングル『view』でメジャーデビューして以降、たくさんの曲を発表してきた彼ら。この記事ではその豊かなディスコグラフィから10曲をピックアップ。時には王道的手法をあえて避けながら、しかし広く愛されるポップスを生み出してきた彼らの功績を改めて振り返りたい。
大橋と常田が書く歌詞には、2人の人生観の変化が色濃く投影されている。また、セルフカバーアルバム(『DOUBLES BEST』)や他アーティストによるリアレンジ・リプロデュースのアルバム(『re:Action』)を発表したり、ライブの度にアレンジを大幅に変えたり……とサウンド面における引き出しの数も多い。私の思うスキマスイッチの魅力は「あらゆる角度から深掘りできる奥深さ」や「歳を重ねてから初めて分かるようになる味わい」が曲の中にあること。それを語るには正直10曲では足りないが、この10曲を入り口に他作品にも触れていってもらえたら、とても嬉しい。(蜂須賀ちなみ)


①奏(かなで)

2004年に2ndシングル表題曲としてリリースされた名バラード。これまで数多くのアーティストにカバーされている。この曲でテレビ朝日系『ミュージックステーション』に初出演すると、楽曲のクオリティ、温かな大橋の歌声、繊細なメロディを紡ぐアフロ頭のピアニスト・常田のインパクトで話題に。オリコンチャートに38週ランクインするなどロングヒットを記録した。別離を選んだ恋人同士の歌ではあるが、親から子へ贈る曲とも解釈できるため、最近では結婚式で使用されることも多い。作り手の手元を離れたあと、聴き手の受け取り方次第でさらに大きく羽ばたくようになる――というポップスの魔法を謳歌しているような曲。

②全力少年

2005年、『第56回NHK紅白歌合戦』初出演時の演奏曲。スキマスイッチといえばこの曲を思い浮かべる人も多いだろう。ストリングスやブラスの軽やかな音色に乗せて《あの頃の僕らはきっと全力で少年だった》と歌うこの曲は一聴すると爽やか。しかしよく聴くと、コード進行は一筋縄ではいかないし、ボーカルのメロディラインも難解(カラオケで苦戦した覚えのある人も多いのでは?)。広く聴かれるポップスを目指しながらも、音楽家としての遊び心、マニアックなこだわりも捨てない。そういったスキマスイッチの基本姿勢がよく表れている。ライブだとイントロやアウトロでコール&レスポンスが行われることが多いが、大橋が歌唱力を発揮し、複雑なスキャットや数十小節にわたるロングトーンを披露するため、ほとんどの客がついていけない。

③ボクノート

映画ドラえもん『のび太の恐竜2006』主題歌。タイトルは「僕の音」とも「僕ノート」ともとれるが、カタカナ表記にすることで、ドラえもんのひみつ道具を彷彿とさせる雰囲気になっている。“ボクノート”がリリースされた2006年といえば、スキマスイッチが一気に評価されるようになり、いわゆるタイアップ曲の制作を求められることが増えた時期。この曲では「曲を作らなければならないが何も浮かばない」というソングライターにとっての窮地に追い込まれたときの葛藤がそのまま綴られており、この時期の彼らにしてはかなり赤裸々な内容になっている。

④藍

3rdオリジナルアルバム『夕風ブレンド』に収録。『夕風ブレンド』には“ガラナ”や“ボクノート”、福耳に提供した“惑星タイマー”のセルフカバーなどヒット曲が複数収録されているが、“藍”はそれらを凌ぐ勢いでファンから評価されていて、『DOUBLES BEST』リリース時(2012年)のファン投票では2位を獲得した。この曲は道ならぬ恋を歌ったバラードで、“藍”というタイトルは愛が濁ったことを連想させるよう。《恋愛の成功率はね 散々でね いつだって成就しないまま/とはいえ好きになっちゃうんじゃ もう嫌になるよ》というフレーズにはひどく胸が締めつけられるし、一度メジャーキーになって希望の兆しを見せるものの、すぐ元通りになる間奏もかえって切ない。

⑤ゴールデンタイムラバー

多忙を極めるようになった2人は「このままいくとスキマスイッチは壊れてしまう」という危機感から、2008年にスキマスイッチとしての活動を一時休止させ、それぞれソロ活動を始める。翌年に合流した際には、曲の制作スタイルも一新。従来の分業制をやめ、互いの意見を直接ぶつけ合うようになった。再始動後2作目のシングルの表題曲“ゴールデンタイムラバー”には、彼らが転換点に立っていたことが音楽性の変化として表れている。(それまで使われたことのなかった)打ち込みと生バンドの共存によるスタイリッシュだがエネルギッシュなサウンドは、彼らを長年追っていたファンをも驚かせた。この曲はアニメ『鋼の錬金術師FULLMETAL ALCHEMIST』第3期OPテーマであり、アニメ視聴者からも「え、この曲スキマスイッチなの?」という声が上がっていた。

⑥SL9

4thオリジナルアルバム『ナユタとフカシギ』に収録。歌詞に描かれているのは高校2年生の時の常田の実体験、「シューメーカー・レヴィ第9彗星が木星に衝突した」というニュースを見た時の衝撃である。6畳間から銀河までを一気に駆け抜けるサウンドがドラマティックだ。ライブでは、バンドサウンドが唸りを上げ、大橋がその場に倒れ込むようにして絶唱し――と、スキマスイッチのロックな一面を引き出す役割を担う。リリース当時のツアーの時点で「ライブ化けがすごい」と話題になっていたほか、パブリックイメージとは異なる自分たちの表情を見せるためか、(アルバム曲にもかかわらず)フェスで披露されることも多い。この曲が好きな人には、“ズラチナルーカ”(『夕風ブレンド』収録)や“ゲノム”(6thオリジナルアルバム『スキマスイッチ』収録)もおすすめだ。

⑦ユリーカ

アニメ『宇宙兄弟』OPテーマ。《上がって 昇って》と始まるサビのメロディに合わせて、キャラクターがシュールなダンスをするOP映像も当時話題になった。高音域でもファルセットを使わず地声を張り上げるタイプのボーカル、ストリングスを筆頭としたバンドによる流麗なアンサンブル、変拍子を用いた間奏など、曲それ自体の疾走感をさらに引き立てるような編曲センスが光る。宇宙を連想させる単語が歌詞の中に散りばめられているのも粋だ。ラップとポエトリーの中間のような、言葉数の多いCメロも特徴的。ライブだと、音源にはない歌詞を追加したバージョンが披露されることもある。

⑧スカーレット

夢を叶えられる者もいれば、叶えられない者もいるということ。それでも何かに打ち込んだ日々は無駄にはならないし、それこそがあなたという人間を形成(つく)っているのだということ。だから例えあの頃描いた理想とは違っていたとしても、あなたの生活は美しく、尊いものであるということ――。テレビ朝日系『土曜ワイド劇場』主題歌として親しまれた同曲には、十数年前に上京を経験した、彼らならではの誠実なやさしさが詰まっている。“スカーレット”とは、2人の地元・愛知県を走る、名古屋鉄道の車体の色のこと。いわゆる上京ソングではあるが、この曲には青くて拙かった日々をも抱きしめる懐の深さがあり、もっと大きな人生観が歌われているように思う。打ち込みを取り入れた平熱のアンサンブルは、私たち一人ひとりの人生を静かに認めてくれるようだ。

⑨Ah Yeah!!

アニメ『ハイキュー!!』の第1期 2ndOPテーマ。スポーツをはじめとした「闘い」に向かう者の精神を描いたAメロ。スネアのロールとともに盛り上がっていくBメロ。そして《Ah Yeah!!》という叫びから始まる開放的なサビ、力強く刻まれる4ビート。“Ah Yeah!!”というタイトルを初めて聞いた時、随分大胆なタイトルをつけたものだなあと驚いた覚えがあるが、確かに、何かに没頭している時の陶酔感・恍惚感・高揚感を象徴する言葉としてこれ以上に最適な言葉はないかもしれない。シンプルだが説得力のあるバンドサウンドは、ゲストミュージシャンの西川進(G)、山口寛雄(B)、佐野康夫(Dr)、レコーディングエンジニアの渡辺省二郎とともに作り上げたもの。

⑩Revival

ドラマ『おっさんずラブ』、および映画『劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』主題歌。強烈に残る記憶の断片として描かれる夏の風物詩。自分の気持ちに素直になれない《僕》の胸の内を語る《揺れる揺れる 心と心がまだ揺らいでいる》というフレーズ。それとは裏腹な本音を表すサビ前の《君に会いたいなぁ》、《忘れたくない》。『おっさんずラブ』のキャラクターの心情を言い当てていると話題になったこの曲は、あくまで7thオリジナルアルバム『新空間アルゴリズム』の収録曲として制作されたもので、『おっさんずラブ』のために書き下ろした曲ではなかったというから驚きだ。因みに俳優の田中圭がスキマスイッチのMVに出演するのは“飲みに来ないか”(2ndオリジナルアルバム『空創クリップ』収録曲)以来13年ぶり2回目である。
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