①Shining One
2021年8月16日にプレデビュー曲としてリリースされた、記念すべきBE:FIRST最初の配信シングル。オーディション「THE FIRST」最終審査での課題曲として採用され、オーディションの参加メンバーはチームShiningとチームOneに分かれ、それぞれにパフォーマンスを磨き上げていった。☆Taku Takahashiによるトラックに乗せて歌われるリリックに込められているのは、それぞれの思いをもって「THE FIRST」に集い、そこから新たな未来を切り拓いていくメンバーたちに向けたプロデューサー・SKY-HIからのメッセージだ。《追い越されてく日々に 運命からの招待》《不安なんかない/背中押す泥まみれのナンバーワン》。初のTVパフォーマンスでも、初のワンマンライブでも、この曲をパフォーマンスする7人はどこか誇らしげに見えた。ダンスにおいてもボーカルにおいてもそれぞれの持ち味が発揮されるこの曲で、《唯一無二のShow time》は幕を開けたのだ。②Gifted.
“Be Free”、“Move On”、“Shining One”に続く、「BMSG」のイニシャルを冠した「THE FIRST」4部作の完結編にして、7人のBE:FIRSTのスタート地点となったデビューシングル。「天賦の才能」を意味するタイトルの通り、《どこを探したって僕ら以上はもうあり得ないでしょう?》と不敵に宣言するこの曲は、それまでのBE:FIRSTができあがっていく「過程」から、表舞台で自分たちの存在を主張していく「勝負」のフェーズに移り変わったことをはっきりと伝えている。抑えられたテンポと荘厳さすら感じさせるずっしりとしたサウンド、そして響き渡る高らかなファルセット。それまでの楽曲とは明らかに違うニュアンスを感じさせるこの曲には、厳しいオーディションを勝ち抜いてきた7人のプライドが鮮やかに刻まれている。しなやかさや繊細さと同時に奮い立つような雄々しさも感じさせるコレオグラフィも印象的だ。③Bye-Good-Bye
春という季節にぴったりの爽やかさと一抹の切なさを感じさせるトラックとメロディがBE:FIRSTの物語の転換点を象徴するような“Bye-Good-Bye”。どちらかといえばシンプルなサウンドがゆえに、JUNONやLEOのハイトーンをはじめ各メンバーの歌声に宿る個性を存分に感じることができるのはもちろん、「別れ」をテーマにしながら《Bye Byeだけじゃ終わんない》と「その先」を予感させる歌詞にも、怒涛の勢いで進んできた2021年を経て新章へと向かう7人の胸の内にある希望や決意が滲む。また同時に、これはBE:FIRSTが初めて真正面から「J-POP」に向き合った作品だとも言える。結果的にこの曲は日本レコード大賞の優秀作品賞を手にしたが、そういう意味でもBE:FIRSTの音楽をさらに開けたものにしていく重要なステップとなった。④Grateful Pain
BE:FIRST初の冠番組となった「BE:FIRST TV」の最終回でスタジオ初披露されたのが、“Kick Start”へのアンサーソングであり、彼らにとって初めてのバラードとなるこの“Grateful Pain”だった。のちにファーストアルバム『BE:1』でも重要な位置を占めることになったこの曲には、メンバー全員が作詞で参加。それぞれの思いをまっすぐな言葉で綴っている。RYUHEIの歌う《巡り合わない日々に うんざりしたまま/叶わない夢に 嫉妬していた》という言葉、JUNONの《不完全な昨日に祈りを》という願い、SOTAの《俺はいないマイク持つ幼馴染》という吐露。それぞれがそれぞれの過去を持ち寄り築き上げてきたBE:FIRSTの物語を優しく肯定するように、どこまでも美しいサウンドが響く。“Kick Start”で勇気を振り絞ってドアを蹴破っていた7人が、改めて自分たちの「痛み」に向き合って届ける歌は、いつ聴いても感動的だ。⑤Boom Boom Back
2023年第1弾配信シングルとしてリリースされた“Boom Boom Back”。90年代や2000年代のフレーバーをちりばめた硬派なヒップホップチューンであるこの曲は、当初BE:FIRSTの新曲であることを伏せた状態でSNS上に公開されたダンスパフォーマンス動画(コレオグラファーのKAITAとKAZ the FIREによるもの)から火がついたことからもわかる通り、それまでのBE:FIRSTのシングルとは明らかに異質なインパクトを持つ挑戦作だった(ファーストアルバムに収録された“Milli-Billi”という伏線はあったのだが)。これまで手にしてきたものとそれでも飽き足らない渇望が刻まれたリリックも、その挑戦を後押しするように響く。そしてこの曲が生まれたことはメンバーにも大きな変化をもたらした。“Boom Boom Back”で芽生えたアーティストとしての自我と自覚は、その後の“Mainstream”や“Masterplan”、そしてセカンドアルバム『2:BE』へとつながっていったのだ。⑥Smile Again
w-inds.の橘慶太がトラックをプロデュースし、そこにSKY-HIと韓国出身のプロデューサー・JUNEが参加する形で完成したのがこの“Smile Again”だ。日焼け止めのCMソングにふさわしく、夏の開放感と吹き抜ける風のような爽やかさを感じさせるサウンド、そしてどこまでも伸びていくようなボーカルラインが美しいこの曲は、ミュージックビデオのテイストも含めてある意味で“Boom Boom Back”とは正反対の世界観を提示。改めてBE:FIRSTというグループの射程距離の長さを証明する楽曲となった。キャッチーさを担保しながらも要所要所でディープなこだわりを感じさせるプロダクションといい、サビ前の《君は綺麗だ》というキラーフレーズをはじめBESTY(BE:FIRSTのファンネーム)に直接語りかけるようなリリックといい、爽やかさの中に濃密なものが宿っている。流れるように連なるマイクリレーも美しい。⑦Mainstream
この曲をシングルとしてリリースするにあたっては、メンバー全員からプロデューサーSKY-HIへの「直談判」があったのだという。「もっと攻めた音楽を作りたい、だからこの曲をやりたい」という7人の思いは、世の中のトレンドやブーム、お仕着せの「メインストリーム」に乗っかるのではなく、その対極で自分たちが新たな「メインストリーム」を作っていくんだという意思をそのまま具現化したような“Mainstream”として結実。結果この曲は、BE:FIRSTというグループの進むべき道をはっきりと示す革命的な1曲となった。ミニマルなビートの上でSHUNTOやRYOKIの不敵なボーカルが空気を振るわせ、SOTAも手がけたコレオが価値観を揺るがすように炸裂する。圧巻のスケールで制作されたミュージックビデオも含め、日本発のボーイズグループとして何を表現し、どこで戦っていくのかを明確に掲げることで、BE:FIRSTはアーティストとしての自我を確立することができたのだ。⑧Masterplan
アリーナツアー「BE:FIRST ARENA TOUR 2023-2024 “Mainstream”」の追加公演として、2024年3月と4月、BE:FIRSTはついに念願だったドームのステージに立った。即完売となった東京・大阪でのその公演は「BE:FIRST LIVE in DOME 2024 “Mainstream - Masterplan”」と題され、そこで初披露されたのがこの“Masterplan”だった。“Boom Boom Back”、“Mainstream”と連なってきたBE:FIRSTの音楽的挑戦の「続編」として、東洋的でシリアスなビートが高らかに鳴り響く中、7人は《最高傑作が最低条件だったんだ》と歌ってみせる。これすらも俺たちにとっては「マスタープラン」に過ぎないんだ、と。ついに辿り着いたドームという、ともすれば到達点として受け取られかねない場所でこの曲が披露されたその瞬間の興奮は今も忘れられない。どこまでも高い次元へと進んでいこうと歩を進めるBE:FIRSTの基本姿勢とアイデンティティが、この1曲に詰まっている。⑨Slogan
音楽的にもメンバーのパフォーマンスの面でも飛躍的な進化を遂げる中、2024年8月にリリースされたセカンドアルバム『2:BE』。そのオープニングを飾ったのが、まさにBE:FIRSTとしての「スローガン」を新たに示すこの曲だった。“Boom Boom Back”、“Mainstream”、“Masterplan”と自分たちの軌跡を作ってきた楽曲のタイトルを歌い込みつつ《アジアの端のムーブメント/国ごと乗せる宇宙船》とさらにスケールを広げた野望を叫ぶ最初のヴァースから、トラックにもリリックにもBE:FIRSTとして積み上げてきたものに対する自負と、まだまだ燃え盛る欲望が迸っている。それまでのBE:FIRSTの物語が「BE:FIRSTを創り、それを確固たるものにしていく」というプロセスだったとしたら、《唯一無二/Bの誇り》と胸を張るように歌うこの曲は、作り上げた土台の上に立ち、さらに高みを目指す彼らの新章到来を告げているのだと思う。⑩Blissful
アルバム『2:BE』のリードトラックとしてリリースされた“Blissful”に吹いている風は、たとえば“Mainstream”や“Masterplan”に漂う空気とは明らかに質感が違う。簡単な言葉で言えば軽やかで楽しげ、ニューヨークで撮影されたミュージックビデオを観ても、まるで遊ぶようにダンスや歌を楽しんでいるメンバーの姿が印象的だ。そのムードはそのまま『2:BE』というアルバムを通してBE:FIRSTが世の中に提示するメッセージだ。自分を愛し、肯定するとともに、他者も認め受け入れていくこと。バックグラウンドの異なる7人が集い、ともに進み、ともに戦い、ともに成長してきた日々があるからこそ、“Blissful”のブライトな雰囲気は意味を持つ。リリース直後にライブでこの曲を披露するのを観たが、ステージ上のフレンドリーでハッピーな空気がそのままオーディエンスにも伝播していくようで、彼らがこの曲に込めたものがはっきりと伝わってきた。『ROCKIN'ON JAPAN』2024年10月号にBE:FIRSTのインタビューを掲載! ご購入はこちら