【10リスト】SHE’S、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】SHE’S、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
2011年に結成されたSHE’Sは、インディーズ期よりソングライターである井上竜馬(Vo・Key)の類稀なるメロディメイカーぶりと、バンドとしての抜群のアレンジセンスが光り、日本のポップシーンのなかでも独自の立ち位置を確立してきた。バンドのアンサンブルは時を経るごとにアップデートされていくが、時にはメンバー4人だけのバンドサウンドにこだわることなく、打ち込みやエレクトロサウンドも自在に導入し、作品ごとに多彩で豊かな音楽を奏でてきた。そんなSHE’Sの様々な魅力を堪能できるプレイリストとして、この10曲は外せないだろうというものをピックアップする。不思議とSHE’Sというバンドの歴史が浮かび上がるような10曲でもあると思う。これをきっかけにぜひそれぞれのアルバムを手に取って、SHE’Sというバンドの奥深さに触れてみてほしい。(杉浦美恵)


①Voice

インディーズ期、2014年1月リリースの2ndデモ『VOICE FROM DISTANCE』に収録され、自主制作の楽曲ながら、関西テレビ『音エモン』のエンディングテーマにも起用された。そして同年7月リリースの1stミニアルバム『WHO IS SHE?』はこの“Voice”から始まるということもあり、バンドの歴史を語るうえで確実に外せない1曲である(『WHO IS SHE?』は初の全国流通盤となった作品でもある)。静かなピアノのイントロから駆け出すようなバンドサウンドへと展開し、サビで歌声が弾けるように広がると、2コーラス目からは音像とビートがさらに変化を見せる。井上のソングライティング、そしてアレンジのセンスが、初期の頃から突出していることを物語る1曲だ。

②Curtain Call

インディーズ期のミニアルバム3部作として『WHO IS SHE?』、『WHERE IS SHE?』と続き、その集大成として、2016年に『She’ll be fine』がリリースされた。そのラストに収録された楽曲がこの“Curtain Call”である。現在でもライブのアンコールに演奏されることも多い楽曲であり、ファンの人気も高い。ピアノを主軸にしたミドルバラードは、大切な人に向けてのラブソングであり、もちろんそれはSHE’Sの楽曲を愛するリスナーに向けての想いそのものでもある。井上はかつて、音楽を辞めようと思っていた時期があり、その頃に部屋にたまっていたファンからの手紙を一枚一枚読み、それがまた動き出すパワーとなったのだとインタビューで語っていた。その時にギターを手にして無心で歌い始めたのがこの曲だとも。だからこそ今も、この曲をライブで大切に歌い続けるのである。

③Tonight

2016年6月に、1stシングル『Morning Glow』でメジャーデビューを果たしたSHE’Sだが、その4ヶ月後には早くも2ndシングルをリリースしている。それが両A面となった『Tonight / Stars』であり、特にこの“Tonight”は、SHE’Sの音楽性の深みを感じさせる1曲であり、この楽曲が収録されたメジャー1stアルバム『プルーストと花束』の内省的なムードへと通じていくものである。大切な人への想い、寂しさ、無力さ、そのすべてに向き合いながら、《君が一人を感じたら/この声を頼っていいから/どこにいたって傍へゆくよ》と歌う井上の歌声にはリアルな感情が込められ、純粋なラブソングであるのと同時に、歌うことそのものへも向き合った誠実な眼差しを感じ取ることができる。

④White

2017年1月に1stアルバム『プルーストと花束』をリリースしたそのわずか5ヶ月後には、ミニアルバム『Awakening』をリリースするなど、この年はSHE’Sにとって多作の年となった。自身の奥深くに潜って表現し切った『プルースト〜』があり、その反動かのようにポップな『Awakening』があり、メジャーデビュー以降、心休む間もなく音楽制作に取り組んできたSHE’S。ここで井上は休みを取り、イギリスへと旅に出た。そこでの経験をナチュラルに音楽に昇華してできあがった2ndアルバムが『Wandering』である。ある意味、真に「やりたいことをやった」このアルバムのなかで、“White”は特に多くのリスナーの支持を得た楽曲だった。浮遊感が漂うバンドサウンドと穏やかで透明感のある歌声がとても心地好く、SHE’Sがさらなるポピュラリティを得るきっかけにもなった楽曲だ。

⑤Dance With Me

2019年リリースの3rdアルバム『Now & Then』は、「現在とかつて」を表すタイトルのとおり、インディーズ期からここまでの道のりをアルバム全体で表現するような集大成的な意味合いを持つ作品となった。そのなかでも大胆な新機軸を見せたリード曲が、この“Dance With Me”。驚くほどキャッチーで、ホーンやストリングス、マリンバ、ハンドクラップまで、ウワ物のサウンドアレンジがにぎやかな、シンガロング必至のこのダンスポップに当時驚いたファンも多かった。メンバーが同じ振り付けで踊るMVも、これまでにない開放的なムードが漂い、SHE’Sの音楽性がさらなる広がりを見せた1曲。

⑥Masquerade

2019年9月から、SHE’Sは3ヶ月連続でデジタルシングルをリリース。その第一弾となったのが、この“Masquerade”だ。アコギをフィーチャーしたサウンドがアイリッシュのイメージを感じさせながら、ラテンテイストのグルーヴが前面に押し出された、洋楽ポップスのトレンドとも呼応する奥深いポップミュージックに仕上がった。虚構のなかで踊るようなダークな歌詞世界もなかなかに辛辣だが、その時代に湧き上がるテーマから目を逸らすことなく向き合って描き切ったことが、翌年リリースの4thアルバム『Tragicomedy』へとつながっていく。

⑦Letter

“Masquerade”に続く、3ヶ月連続リリースの第二弾が“Letter”であり、今振り返れば、この“Letter”こそが、翌年リリースされた4thアルバム『Tragicomedy』のテーマを深く表している。井上いわく「ただひとりを救いたくて作ったアルバム」というその想いがこの楽曲から明確に読み取れる。美しいピアノの旋律、穏やかに語りかけるような歌声。井上のごくパーソナルな感情から生まれた楽曲であるのだが、だからこそ多くの人の感情を強く揺さぶる。メロディメイカーとしての井上の力量と、ピュアに音楽に向き合う姿勢とが生んだ普遍の名曲。

⑧Your Song

“Masquerade”、“Letter”と続き、3ヶ月連続リリースのラストを飾ったのがこの“Your Song”であった。やさしく、強く、切実に心に訴えかけるミドルバラードは、聴くほどにその歌声が深く沁み込んでくるよう。《たった1人だとしても/僕らの好きな歌を 口ずさんでいこう》と語りかける歌詞は、その時の井上が身近にいる人に向けて、そして自身の「心」に向けて綴った言葉である。この3ヶ月連続のリリースが、より井上を「心」というものに向かい合わせることとなり、名作『Tragicomedy』はとても深く感情に訴えかけるアルバムとなった。この連続リリースおよび『Tragicomedy』の完成によって、バンドはまた新たなフェーズへと進んでいくこととなる。

⑨追い風

『Tragicomedy』は深く内省的に「心」に向き合うアルバムだったにもかかわらず、セールス的にも大きな成功を収め、それが今度はバンドにとって、少し肩の力を抜いて音楽に向き合うための好材料にもなったのではないか。2021年、バンド結成10周年となるアニバーサリーイヤーに突入し、SHE’Sの活動は清々しく広がりを見せていく。2月にリリースされたシングルの表題曲“追い風”は、火9ドラマ『青のSP(スクールポリス)─学校内警察・嶋田隆平─』の主題歌として書き下ろされた楽曲。エレクトロサウンドとバンドサウンドが見事なバランスで融合してポジティブな響きを持ち、SHE’Sの自由な音楽性がさらに大きく花開いている。ドラマの内容を念頭に置いたタイアップ曲として制作されていながらも、そこにはやはりバンドとして、またひとりの人間としての新たなスタートや確たる想いが滲むエモーショナルな楽曲となった。

⑩Amulet

2021年10月にリリースされた5thアルバムは『Amulet』と名づけられた。「お守り」という意味を持つこのタイトル曲は同アルバムのいちばん最後に収録されている。美しいピアノの音色、静かに沁み込んでくる歌声が、ラストのサビでは思い切り溢れるように広がって、まるで癒しのように、救いのように心を満たしていく。日常の様々なシーンで鳴る音楽は「お守り」のような存在でもあると、井上自身が日々感じていた想いがそのままアルバムのテーマとなったわけだが、このラストのタイトル曲は、明日は良き日であるように、あるいは、明日もなんとか無事に1日を終えられるようにと願う、ささやかな気持ちに寄り添うようなとてもやさしい楽曲だ。描くテーマのスケール感は増し、けれど揺るがぬリアルがそこにある。シンプルながら美しいアンサンブルも、現在進行形で更新されていくSHE’Sならでは。


【JAPAN最新号】SHE’S、新たな旅立ち――日常を彩る自由な「歌」が詰め込まれた最高傑作『Amulet』を放つ
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