全員が中学生の時に結成され、2014年のメジャーデビュー以降、人気・実力ともに日本を代表するボーカルグループとして活躍の場を広げ続ける、
Little Glee Monster。芹奈、アサヒ、MAYU、かれん、manakaからなる5人の魅力は、何と言っても、その研ぎ澄まされた個々の歌声とハーモニー。キュートなルックスからは想像もつかないソウルフルでファンキーなその声で、既存のJ-POPには収まらない楽曲を次々と生み出してきた。今回はそんなリトグリならではの名曲たちをご紹介!(上野三樹)
①放課後ハイファイブ
2014年にリリースされた、彼女たちのメジャーデビューシングル曲。MVではメンバーカラーの色違いのヘッドフォンを首から下げ、まだあどけないルックスで放課後の楽しいムードを演出。しかし何より、そんな映像とは裏腹に聴こえてくる歌声のファンキーなパンチ力と、繊細かつ丁寧に重ねられたハーモニーは衝撃的なほどハイレベル。鮮烈&カラフルな、彼女たちの物語の始まり。
②好きだ。
《「キミ」が好きだ》と胸を張って真っ直ぐに届けるサビが印象的な、初期の代表曲。とはいえ、ただストレートな恋愛ソングなんかじゃない。それはこの曲の歌詞が《新しいノートを開いたとしても/真っ白な未来が広がるわけじゃないよ》と意外とネガティブに(!?)始まっていることからも感じ取れる。時には絶望したり、諦めたくなるような壁にぶつかりながらも、だからこそ《「キミ」が好きだ》と思う今日を大切に生きようとする思春期のリアリティ。フレッシュでキラキラとした歌声の中に10代ならではの憂いを含んでいて、とても素敵だ。
③My Best Friend
「ラウンドワン」のCMソングとして書き下ろされた、軽快なポップナンバー。
いしわたり淳治の作詞により、この曲もただの青春ソングの域にとどまらず、彼氏ができてから変わってしまった女友達に向けた友情ソングとして書かれているのが面白い。《彼氏好みにあなたはなって/あなた好みに彼氏はならない》なんて、大人でも思わず考えさせられるフレーズも。「♪シュビドゥビ」と楽しげなコーラスを添えながら、あえて苦言を呈するような内容が、本当の友達とは何か、女友達だからこそ言えることは何かを考えさせられる。こうした踏み込んだ友情ソングを歌えるのも、チームワークが大事なボーカルグループであるリトグリならでは。
④Jupiter
5人での新体制になった2017年、より大人っぽくパワーアップしたリトグリを更に多くの人に知ってもらうきっかけになったのが、TBS日曜劇場『陸王』の劇中歌として愛された“Jupiter”。何度もハーモニーを練り直し、何度も歌ってレコーディングされたというこの曲は、冒頭のアカペラ部分だけでもLittle Glee Monsterという5人でひとつの声の尊さを証明する。彼女たちは音源やライブ、テレビ収録などで、ソウルやR&Bのクラシックスから懐かしのJ-POPにいたるまで幅広いジャンルでカバー曲を披露してくれて、それもリトグリを追いかける楽しみのひとつ。しかし、この“Jupiter”に至ってはリトグリのバージョンがもうひとつのオリジナルと言ってもいいほど特別感のある仕上がりに。大きなうねりが宇宙のように広がる何層ものハーモニーは鳥肌モノ!
⑤Let's Grooooove !!!!! Monster~Opening/Ending~
リトグリのテーマソング的な位置づけとしては初期の“ガオガオ・オールスター”があるのだけれど、5人になった新体制でリリースされたアルバム『juice』に収録された“Let's Grooooove !!!!! Monster~Opening/Ending~”は、彼女たちの新たな絆の歌である。《やっと会えたねと手をふって/manaka》、《久しぶりだねって抱きしめた/アサヒ》などとメンバーを紹介しながら歌っていく様も感動的。ライブ会場での熱気が伝わってくるような臨場感溢れるトラックで、それぞれが個性をしっかりと光らせる歌声に込められた意志と、愛と感謝の壮大なハーモニーが聴き手を魅了して止まない。
⑥世界はあなたに笑いかけている
「コカ・コーラ」のCMソングとして、そして2度目の出場となった『NHK紅白歌合戦』での歌唱でも、多くの人に届いた2018年のヒット曲。アッパーな曲調に元気な歌声を乗せた極上のメッセージソングがポップにはじける。かれんの突き抜けるようなハイトーンボイス、芹奈の抜群のリズム感、manakaのパワフルな太い声、MAYUの甘い声、アサヒのキラッと光る声……磨き上げられた全ての声が存分に堪能できる。
⑦夏になって歌え
気鋭の詩人・最果タヒが作詞、水野良樹(
いきものがかり/G)が作曲を手がけたことでも話題を集めた1曲。どんよりと曇った空の下で撮影されたMVがとても良く似合う、ちょっとアンニュイなムードを纏った曲なのだが、言葉とメロディの一つひとつを噛み締めながら歌う5人の深みのある表現が聴きどころ。歌と共に大人になった彼女たちがあらためて「歌うこと、生きること」に向き合いながら紡いだ珠玉のミディアムナンバー。ちなみに《史上最高気温》、《余談なの》など、「んー」で伸ばす歌いにくそうなフレーズが多いのだが、この「んー」で伸ばすところを美しく歌いこなしているところが“夏になって歌え”のチャームポイントでもある。
⑧ECHO
時代が平成から令和へと移り変わった2019年にリリースされた“ECHO”は、新しいリトグリの幕開けを告げるような、ロックでパワフルな1曲。NHKラグビーテーマソングに起用され、体をぶつけあう激しい戦いを思わせる力強い声と、声の響き合いが聴きどころ。5人で呼吸を感じながらひとつの歌を表現していくことは、時にひとりで歌うより困難かもしれないが、このチームで戦い続けてきたリトグリだからこそ表現できる、訴えかける力がこの曲にはある。『NHK紅白歌合戦』では、芹奈の涙の熱唱が多くの人の心を釘付けにした。
⑨愛しさにリボンをかけて
2019年に「コカ・コーラ」のウィンターキャンペーンソングとして書き下ろされた、リトグリのクリスマスソング。息ぴったりに5人の声が重なった時の温かさもさることながら、サンタクロースを信じていた子供の頃のことを思い出し、大人になったからこそ感じる大切な人への愛と感謝を歌う内容が感動を誘う。リトグリらしいドラマチックなボーカルを響かせ、神聖なムードを大切にしながら真摯に歌い上げることで、長く愛される普遍的なクリスマスソングとしての価値を高めている。
⑩STARTING OVER
5枚目となるオリジナルアルバム『BRIGHT NEW WORLD』の発売に先駆け、MVが公開されたこの曲はドラマ『女子高生の無駄づかい』の主題歌。タイトルの「原点回帰」という意味にちなみ、デビュー当時に多かった長回しのMV撮影が行なわれ、歌いながらメンバー同士で笑い合ったりじゃれ合ったりする様子が、懐かしい雰囲気。華やかなホーンセクションが効いたアレンジの中で歌われているのは、未来への想い。無邪気な日々を越えて、ひとつずつ夢を叶えて、別れも知って、これからも笑顔で輝き続けていようと誓う歌は感慨深いものがある。《君が力になって/君の力になってく》という歌詞があるが、そんな風にこの5人は支え合い、声を重ね合って活動を続けてきた。ここからまた、リトグリの更なる飛躍と輝きを生み出すための名曲が誕生した。