※2025/2/19 更新
①またね
インディーズ期の1stミニアルバム『Nice To Meet You??』(2017年)の幕開けを飾った1曲。玄人っぽさを狙ったフェイクや歌い回しを一切排し、誰の脳裏にも一発で言葉を飛び込ませてくる長屋の発音と確かな歌唱力。眩しいほどハイパーな歌とともに、パーソナルな心象風景すらもあっという間に聴き手と共有可能にする、緑黄色社会という音楽のマジカルな存在感を象徴する楽曲。後に1stフルアルバム『緑黄色社会』にも収録。②始まりの歌
インディーズ時代からライブ定番曲として愛され続けるポップアンセム。《さあ始めようか/僕のイメージの先へ飛び立とう/何度でも始まりの歌を歌おうルラララ》──鳴り渡った瞬間にすべての場所を「新たな始まりの地点」へとアップデートするような多幸感。ひとつの曲の中で何度も色合いを変える変幻自在なアレンジも、ギター/ピアノ/ベースが「せめぎ合う」ではなく「高め合う」絶妙なアンサンブル。すでにこの時点で緑黄色社会イズムとして確立されていたことがわかる。2ndミニアルバム『ADORE』&1stフルアルバム『緑黄色社会』収録曲。③あのころ見た光
イントロのピアノの響きとコーラスが繰り広げる、親和性と神秘性の邂逅そのもののような清冽な音空間。サビ前の《「進むしかない」と、僕らは震えていた》のフレーズから、その直後の転調を経て《twenty-one/もがいてきた 果てのない迷路/目指せ、目を伏せ、怖いの飛んでゆけ》と突き上げる展開の、目も眩むような高揚感。4人の音楽的ポテンシャルが、歌と音の積み重ねにスリリングなまでの飛翔力を与えたマスターピース。ミニアルバム『溢れた水の行方』&フルアルバム『SINGALONG』に収録。④sabotage
TVドラマ『G線上のあなたと私』で初のドラマ主題歌を手掛けた緑黄色社会(長屋本人のワンシーン出演も!)。「空っぽの自分」と「理想の自分」の狭間での葛藤というシリアスなテーマ性を、胸躍るメロディワークと《なんだか今なら/愛されるより愛したいとさえ思う/まだ間に合うかな/私このまま消えちゃわないように刻むの》との熱唱でドラスティックにネガポジ変換してみせる。音楽の歓喜を求め続ける緑黄色社会が、時代に求められてさらに輝く、というサイクルが本格的に始動した記念碑的な1曲。シングル『sabotage』&フルアルバム『SINGALONG』収録曲。⑤Shout Baby
初のTVアニメ主題歌で『僕のヒーローアカデミア』エンディングテーマ(第4期第2クール)に抜擢された緑黄色社会。ロックバンドの楽器編成で性急なバンドサウンドを響かせても、ロックバンドとは一線を画したポップの質感と透度を放つ緑黄色社会の音楽性を、このうえなく明快に象徴する楽曲と言える。《毎日の不安をかき消すほど/胸を焦がす憧れなど消えない/変わりたい》とリアルに綴られた詞世界も、極限進化の真っ只中にあるバンドの皮膚感覚と『ヒロアカ』の世界観との絶妙なリンクを感じさせるものだ。シングル『Shout Baby』&フルアルバム『SINGALONG』収録曲。⑥Mela!
《今なんじゃない?/メラメラとたぎれ/眠っているだけの正義/こんな僕も君のヒーローになりたいのさ》──フルアルバム『SINGALONG』に収められたこの曲は後に、大規模イベントが軒並み中止となりリモート生活を余儀なくされたコロナ禍の2020年夏を沸き立たせる、最高のダンスアンセムとなった。日本テレビ系『スッキリ』のダンス部応援企画「ひとつになろう!ダンスONEプロジェクト’20」のテーマソングとして、全国の高校生がこの楽曲に合わせて鮮烈なダンスを繰り広げる姿は、先の見えない状況下でのまばゆい希望そのものだった。『SINGALONG』ツアーがコロナ禍の影響で延期→中止となった後、2020年12月5日にKT Zepp Yokohamaにて有観客&配信で行われたライブ「SINGALONG tour 2020 -last piece-」で“Mela!”を披露した際、「ダンスONEプロジェクト’20」にも参加した宝仙学園高等学校女子部 ダンス部「ReguLu's」のメンバーが登場、はつらつとしたダンスアクトで緑黄色社会と共演を果たした。⑦これからのこと、それからのこと
「SEA BREEZE」CMソングとして書き下ろされた、シングル『LITMUS』&3rdフルアルバム『Actor』収録曲。青春期の爽快感と裏腹に息づく、肌に焼きつくような焦燥感を《不甲斐なさで浪費した時間はもう帰らない》、《失うものなんてもうないし/残すところはスタート切るだけの伸び代ばかり》というリアルかつ切実な言葉で活写した長屋の歌詞と歌。瑞々しいセンチメントとスリリングな疾走感を高次元で融合させたアンサンブル──。ピアノとギターの絶妙なバランス感も含め、ジャンルやスタイルでは割り切れない「緑黄色社会らしいバンドサウンド」を鮮烈に印象付けた1曲。⑧キャラクター
《誰だってneed youだ/君のことがとても愛おしいんだ/いつだってneed you/そこら中にありふれたキャラクターが魅せる/奇跡の日々だ》……「inゼリー」CMソングに起用された晴れやかなナンバー“キャラクター”は同時に、タイアップ曲も含め多彩な曲調と感情が乱反射する3rdフルアルバム『Actor』のメッセージの主軸を成す楽曲でもある。ひときわ軽やかな歌声とともに《君にしかできない君の役》を讃え、弾むようなメロディとバンドサウンド越しに「ありふれた日常」の大切さを高らかに鳴り渡らせるポップの結晶。フェス/ワンマン問わず、ライブにおける定番曲としても愛され続けている。⑨花になって
2023年5月に4thアルバム『pink blue』をリリースした緑黄色社会は、同年9月にはTVドラマの主題歌“サマータイムシンデレラ”で早くも「その先」への進化の足跡を刻み始めた。そして同年10月、TVアニメ『薬屋のひとりごと』オープニングテーマとしてオンエアされたのが“花になって”。長屋の歌の極彩色の表現力が、バンドアンサンブルの爆発力とせめぎ合い、バンドの表現領域を劇的に押し広げていく。《花になって ほらニヒルに笑って/その顔にぞくぞくして目が離せない》――そのアグレッシブかつミステリアスな音楽世界は、緑黄色社会のロックとポップが未知の地平に到達したことを明確に物語っていた。同名シングル&5thフルアルバム『Channel U』に収録。⑩僕らはいきものだから
メジャーデビュー当初から「国民的バンドになりたい」と語り、その夢に向かって着実に邁進し続けてきた緑黄色社会にとって、2024年度「NHK全国学校音楽コンクール」中学校の部の課題曲──中学生の歌声や情熱と真っ向から共鳴する楽曲の制作は、他のタイアップとは異なる重要な意味を持つプロセスだったはずだ。《僕らはいきものだから/変わってゆく 心も身体も》というフレーズを通して、長屋の歌は10代ならではの「変化を恐れる気持ち」に寄り添うのみならず、《さよならだって繰り返す/変わりゆく僕らが美しいのです》と聴く者すべての人生を祝福するかのように響く。4人の音楽の訴求力と包容力を改めて克明に伝える名曲だ。同名配信シングル&5thフルアルバム『Channel U』収録曲。『ROCKIN'ON JAPAN』2025年3月号に緑黄色社会のインタビューを掲載! ご購入はこちら
*書店にてお取り寄せいただくことも可能です。
ネット書店に在庫がない場合は、お近くの書店までお問い合わせください。