【10リスト】緑黄色社会、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】緑黄色社会、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
その歌に触れる者の心と瞬時に響き合い晴れやかなポップの地平へと導く、長屋晴子(Vo・G)の伸びやかな歌声。長屋、小林壱誓(G・Cho)、peppe(Key・Cho)、穴見真吾(B・Cho)の全員が作曲を手掛ける豊潤な創造性。そして、アグレッシブな楽曲もドラマチックなバラードも色鮮やかに奏でる、バンドアンサンブルの精度と躍動感――。4人の個性と情熱が響き合い、幾重にも相乗効果を描きながら、緑黄色社会は今この瞬間もバンドの/音楽の可能性を押し広げつつある。1曲ごとに時代との共振性を高めている緑黄色社会の魅力を、10の楽曲を通して考察していきたい。(高橋智樹)


①またね

インディーズ期の1stミニアルバム『Nice To Meet You??』(2017年)の幕開けを飾った1曲。玄人っぽさを狙ったフェイクや歌い回しを一切排し、誰の脳裏にも一発で言葉を飛び込ませてくる長屋の発音と確かな歌唱力。眩しいほどハイパーな歌とともに、パーソナルな心象風景すらもあっという間に聴き手と共有可能にする、緑黄色社会という音楽のマジカルな存在感を象徴する楽曲。後に1stフルアルバム『緑黄色社会』にも収録。

②始まりの歌

インディーズ時代からライブ定番曲として愛され続けるポップアンセム。《さあ始めようか/僕のイメージの先へ飛び立とう/何度でも始まりの歌を歌おうルラララ》――鳴り渡った瞬間にすべての場所を「新たな始まりの地点」へとアップデートするような多幸感。ひとつの曲の中で何度も色合いを変える変幻自在なアレンジも、ギター/ピアノ/ベースが「せめぎ合う」ではなく「高め合う」絶妙なアンサンブル。すでにこの時点で緑黄色社会イズムとして確立されていたことがわかる。2ndミニアルバム『ADORE』&1stフルアルバム『緑黄色社会』収録曲。

③あのころ見た光

イントロのピアノの響きとコーラスが繰り広げる、親和性と神秘性の邂逅そのもののような清冽な音空間。サビ前の《「進むしかない」と、僕らは震えていた》のフレーズから、その直後の転調を経て《twenty-one/もがいてきた 果てのない迷路/目指せ、目を伏せ、怖いの飛んでゆけ》と突き上げる展開の、目も眩むような高揚感。4人の音楽的ポテンシャルが、歌と音の積み重ねにスリリングなまでの飛翔力を与えたマスターピース。ミニアルバム『溢れた水の行方』&フルアルバム『SINGALONG』に収録。

④リトルシンガー

「長屋に曲を歌ってもらいたいから曲を作るし、それを広げたいからライブをするし」……2018年、メジャー初リリースとなった『溢れた水の行方』のインタビューの際、緑黄色社会における自らのモチベーションの在り処を小林はそんなふうに語っていた。4人それぞれのエモーションが「自己表現」や「承認欲求」ではなく、ひたすら「音楽愛」に注がれることで、緑黄色社会という音楽が唯一無二の独自性と記名性を獲得していく――という構造が、『溢れた水の行方』の最後に収められたこの曲のダイナミックな祝祭感からもくっきりと浮かび上がってくる。《僕は僕のために生きて 僕のために歌うよ》のフレーズが、揺るぎない真っ向勝負の存在証明として胸に響く。ミニアルバム『溢れた水の行方』収録曲。

⑤想い人

カラフルに弾けるポップナンバーはもちろんのこと、メロディアスなバラード曲も緑黄色社会の音楽において重要な位置を占めているのはご存知の通り。初めてバラード曲を表題曲に掲げた作品『幸せ -EP-』(2019年)に続き、同年秋の映画『初恋ロスタイム』主題歌として書き下ろされたこの楽曲で、壮麗なストリングスアレンジとともに歌の絶景と呼ぶべき雄大なサウンドスケープを描き出してみせた。同時に、緑黄色社会の音楽が多彩さだけではなく、ポップミュージックの王道を担うに相応しい輝度と強度を備えていることを、改めて明確に伝えてくる楽曲でもある。デジタルシングル『想い人』&フルアルバム『SINGALONG』に収録。

⑥sabotage

TVドラマ『G線上のあなたと私』で初のドラマ主題歌を手掛けた緑黄色社会(長屋本人のワンシーン出演も!)。「空っぽの自分」と「理想の自分」の狭間での葛藤というシリアスなテーマ性を、胸躍るメロディワークと《なんだか今なら/愛されるより愛したいとさえ思う/まだ間に合うかな/私このまま消えちゃわないように刻むの》との熱唱でドラスティックにネガポジ変換してみせる。音楽の歓喜を求め続ける緑黄色社会が、時代に求められてさらに輝く、というサイクルが本格的に始動した記念碑的な1曲。シングル『sabotage』&フルアルバム『SINGALONG』収録曲。

⑦Shout Baby

初のTVアニメ主題歌で『僕のヒーローアカデミア』エンディングテーマ(第4期第2クール)に抜擢された緑黄色社会。ロックバンドの楽器編成で性急なバンドサウンドを響かせても、ロックバンドとは一線を画したポップの質感と透度を放つ緑黄色社会の音楽性を、このうえなく明快に象徴する楽曲と言える。《毎日の不安をかき消すほど/胸を焦がす憧れなど消えない/変わりたい》とリアルに綴られた詞世界も、極限進化の真っ只中にあるバンドの皮膚感覚と『ヒロアカ』の世界観との絶妙なリンクを感じさせるものだ。シングル『Shout Baby』&フルアルバム『SINGALONG』収録曲。

⑧Mela!

《今なんじゃない?/メラメラとたぎれ/眠っているだけの正義/こんな僕も君のヒーローになりたいのさ》――フルアルバム『SINGALONG』に収められたこの曲は後に、大規模イベントが軒並み中止となりリモート生活を余儀なくされたコロナ禍の2020年夏を沸き立たせる、最高のダンスアンセムとなった。日本テレビ系『スッキリ』のダンス部応援企画「ひとつになろう!ダンスONEプロジェクト’20」のテーマソングとして、全国の高校生がこの楽曲に合わせて鮮烈なダンスを繰り広げる姿は、先の見えない状況下でのまばゆい希望そのものだった。『SINGALONG』ツアーがコロナ禍の影響で延期→中止となった後、2020年12月5日にKT Zepp Yokohamaにて有観客&配信で行われたライブ「SINGALONG tour 2020 -last piece-」で“Mela!”を披露した際、「ダンスONEプロジェクト’20」にも参加した宝仙学園高等学校女子部 ダンス部「ReguLu's」のメンバーが登場、はつらつとしたダンスアクトで緑黄色社会と共演を果たした。

⑨結証

TVアニメ『半妖の夜叉姫』2021年1月クールエンディングテーマとして書き下ろされた楽曲は、目には見えない運命を懸命に手繰り寄せる切実さを珠玉のメロディに織り上げたセンチメンタルなバラード曲。楽曲後半、《張り詰めたその糸は固く、厚く、永く、太く》の力強い絶唱と、その直後の《信じあっていたまだ強く強く/瞼を閉じればそこにいる》のウィスパー&ファルセット混じりの歌声とのコントラストは、メンバーが絶対的信頼を寄せる「シンガー・長屋晴子」の表現力が格段に豊かに咲き乱れていることを物語っている。シングル『結証』収録曲。

⑩ずっとずっとずっと

メジャーデビューから2年足らずで映画・TVドラマ・TVアニメをはじめ多方面からのタイアップ楽曲が集中している緑黄色社会、2021年には「アサヒスーパードライ ザ・クール」CMソングが長屋本人出演CMとともにオンエアされている。ピアノロック風のサウンドとともに、《忘れちゃいけないことばかりだ/病める日も健やかなる日でも/風が吹く度思い出すのさ/刻んで飲み込んで歩いていくんだ/ずっとずっとずっと》と長屋の爽快な歌が心地好いドライブ感とともに響く。先の見えない時代の中、迷いや逡巡を振り切る加速度と推進力を、4人の音楽は日々刷新し続けている――という証明のような1曲だ。


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