【10リスト】BLUE ENCOUNT、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】BLUE ENCOUNT、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
田邊駿一(Vo・G)、江口雄也(G)、辻村勇太(B)、高村佳秀(Dr)による4人組バンド、BLUE ENCOUNT。2004年に熊本県で結成、2014年にメジャーデビュー。その間にはメンバー自ら「暗黒時代」と呼ぶ不遇の時期もあったが、鬱屈とした想いすらも曝け出すような楽曲群、熱量の高いライブでリスナーの心を掴んでいった。ここではバンドの代表曲10曲を紹介。ブルエンは叩き上げのライブバンドであるため、今回はライブ定番曲を中心にピックアップしたが、ロック、パンク、エモ、ラップメタル etc.を呑み込んだミクスチャーサウンドを鳴らす彼らは、アルバムだとかなり幅広いアプローチを行っている。この10曲でバンドのことを知ったあとは、ぜひ他の曲も聴いて理解を深めてみてほしい。(蜂須賀ちなみ)


①THANKS

2013年リリースのシングル『SIGNALS』に収録。ドラムのツービートを筆頭に、およそ3分間で駆け抜けるポップパンクだ。《汗かき働き》から始まるブロック以外、つまり楽曲の大部分がサビというシンプルな構成をしているほか、ギターもベースもほとんどコードを鳴らすのみで複雑なことはしていない。飾らない言葉が並ぶ歌詞では、ステージに居場所を見出してるのだという実感、そしてファンへの感謝が綴られている。全体的にシンプルな造りになっているのは、そしてライブで披露される機会が多いのは、その言葉を伝えるべき相手に直線距離で届けるためだろう。

②JUST AWAKE

2013年リリースのミニアルバム『NOISY SLUGGER』に収録。タイトルに掲げた《JUST AWAKE》というワードを高らかに歌い上げる冒頭およびサビが特に印象的だ。“THANKS”と比べると顕著だが、ビートの種類やギター、ベース、ボーカルのアプローチも場面ごとに大きく異なっている。ここでキラーチューンが誕生したことにより、このバンド特有のミクスチャー感、「ジャンルに縛られない」という信条が確立された印象だ。因みに、今紹介した2曲は2014年リリースのフルアルバム『BAND OF DESTINATION』にも収録されている。同アルバムはインディーズ期の代表曲を網羅した作品のため、初期曲をもっと聴きたいという人にはおすすめだ。

③NEVER ENDING STORY

メジャーデビューEP『TIMELESS ROOKIE』に収録。直訳すると「TIMELESS ROOKIE」とは「永遠の若手」、「NEVER ENDING STORY」とは「終わらない物語」であり、つまりバンド自身のことがまっすぐに歌われている。『TIMELESS ROOKIE』のリード曲は“MEMENTO”だが、楽曲のメッセージ性、ライブでの演奏頻度から今回はこちらをピックアップさせてもらった。この曲の特徴は何といってもメロの強さだろう。ボーカルから始まる曲の場合、通常、サビから始まるケースが多いが、この曲はそうではない。全編を通じてメロディラインが非常にドラマティックで、どこを切り取っても遜色ないからこそ、そのような構成になりえたのだろう。

④もっと光を

メジャー1stシングル表題曲。まだブルエンのワンマンに行ったことがないけども、《もっと光を》というフレーズをフェスでシンガロングした経験があるという人ももしかしたらいるのではないだろうか。実は『TIMELESS ROOKIE』に収録される可能性もあったというこの曲。しかし「この曲はライブの中で育てた方がいい」というスタッフからの提案を受け、一旦リリースを見送ることに。2014年末の全国ツアーでは、まだ誰も知らない新曲にもかかわらず、本編ラストという重要な立ち位置を任せられた。以来、ブルエンの柱として存在し続けているライブアンセム。

⑤DAY×DAY

メジャー2ndシングル表題曲は、アニメ『銀魂゜』のOPテーマ。内なる葛藤を歌うA~Bメロ、葛藤があるからこそ芽生えた覚悟を歌うサビ、という心の変化を体現するように、サビに入るタイミングで不意に転調。曲名を連呼するシーンとともに一気に視界が開けるようなアレンジになっている。2番になると《3 2 1 GO!》のカウントダウンがプラスされるため、より痛快さが増している。そしてラスサビ前にはラップもあるという、ジェットコースター並みに緩急差が激しい曲。タイトルの読み方は「デイ バイ デイ」。「DAY by DAY」とも表記できるが、「×」の記号を使用したところに「マイナス同士でも掛け合わせればプラスになる」というメッセージを感じる。

⑥はじまり

「第94回全国高校サッカー選手権大会」の応援歌として書き下ろされた曲。「高校」、そして「サッカー」というモチーフは青春の爽やかさを連想させるし、ここまで紹介してきた曲を聴けば分かるように、疾走感溢れるアッパーチューンはきっと彼らの得意技だ。それにもかかわらず、《ガンバレの言葉が辛い時もあった》と歌うスローバラードを応援歌として提示したところに、このバンドの性格が表れているように思う。ひとつのトーナメント表の上には、たった一人の勝者と、数えきれないほどの敗者が存在する。過去を回想する形で綴られた苦みを含んだ言葉たちは、覚悟も迷いも曝け出しながら進んできたブルエンが歌うからこそ説得力がある。

⑦Survivor

アニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のOPテーマ。イントロのタッピングギターをはじめ、4人それぞれの個性が強く出たプレイも多く、一見ストレートだが実はぎっしり技の詰まっている曲。『~鉄血のオルフェンズ』は、自分たちよりも前の世代の人々が作った環境・社会に虐げられ搾取されてきた少年少女が、戦い、理不尽を覆していくような物語。そんなアニメの世界観に、紆余曲折のあったバンドの歩みがリンクすることにより生まれたのが“Survivor”という曲だ。《機械のような奴らに 支配される前に居場所を探せよ!》というフレーズはガンダムのタイアップ曲だからこそ出てきたものだろうし、《友を守るその手は/人類史上最強の武器だろ?》という普通に言うのでは仰々しく感じられる言葉をバシッと歌うことができるのはここに至るまでのバンドの物語があるからだ。

⑧LAST HERO

日本テレビ系ドラマ『THE LAST COP/ラストコップ』の主題歌であり、2016年の日本武道館ワンマンで新曲として披露された曲。4音1組で段階的に音程を上げる冒頭のキメ、《1,2,3!》とカウントしてからのボーカルのロングトーン、特徴的なギターフレーズなど、イントロから要素満載。また、間奏にはオーディエンスが声を出せるパートもあり、ドラマ主題歌として書き下ろされた曲ではあるものの、ライブでの光景が目に浮かぶような曲調になっている。「こんなもんじゃねえだろ」と目の前の相手に突き付ける……いや、それ以上に自分自身をぶっ刺すための言葉が並んだ歌詞もまた、田邊のMCがそのまま形になったみたいだ。

⑨バッドパラドックス

ファンとともに泣き笑いするこのバンドの「熱血」という一面が良くも悪くも一人歩きし始めるなか、パブリックイメージを打ち砕こうと奮闘していたブルエン。そんな時期を経て、自分たちらしさと一から向き合うことで生まれたのがミニアルバム『SICK(S)』。そしてagehaspringsの玉井健二をプロデューサーに迎えて制作された、その次のシングルの表題曲が“バッドパラドックス”だ。手数を増やし、情報量の多さで圧倒するのではなく、行間を作り、バンドのグルーヴで魅せるサウンドプロダクト。声を張り上げることなく、ファルセットをメインとしたサビの歌唱。王道でもないしカウンターでもない、明らかに異質な存在感を放つこの曲に驚かされた人も多かったのでは。このクールさと甘美さは今までになかった。

⑩ポラリス

アニメ『僕のヒーローアカデミア』第4期OPテーマ。引き続き、玉井健二がプロデュースしている。“バッドパラドックス”で体得した引き算のアンサンブルがこの曲でもしっかりと活かされている印象。ライブハウスで「鳴っている」というよりも、もっと大きな会場で「響いている」様子を想像できるようなサウンドは、新境地と言ってよいだろう。これまでの曲でも歌詞で頻繁に登場した「光」というワードが、「希望(ヒカリ)」という別の表記で登場しているのも象徴的だ。そんななか、まるで別の時間軸を生きているみたいに、イントロのギターだけは忙しなく動いているのが面白い。《負けることはもう怖くない/勝ちを諦めるのが嫌なんだ》とブルエンイズムを感じさせるフレーズも健在である。
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