【10リスト】04 Limited Sazabys、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】04 Limited Sazabys、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
04 Limited Sazabysは、バンド結成当時から「俺たちは絶対に売れてやる!」とか「音楽だけで食っていくんだ!」という絶対的な目標を立てていた訳ではない。それは決してネガティブなのではなく、彼らは「自分たちがやりたい音楽を鳴らし続け、本気でバンドをやっていくためにはどうしたらいいんだろう?」というように、「音楽」という決まりきった答えに向かって、その「方法」を常に逆算し続けてきた。そして4人で悩み、4人でもがくというその繰り返しが作り上げた軌跡が、冒頭で触れた華々しい功績に繋がっているのだ。
「何が起こるか分からない一寸先の未来」を常に見据えて、過少評価も過大評価もせずに「現時点での自分たち」と切実に向き合っている彼らだからこそ、信じられることがある。今回はそんな彼らのこれまでの歴史を代表する10曲を挙げていきたいと思う。(峯岸利恵)

※2022/10/24 更新

①Buster call

1stミニアルバム『Marking all!!!』に収録されている同曲は、メジャーデビューアルバム『CAVU』にもリメイクバージョンとして収録されるほどの人気を誇る曲だ。それはライブでイントロが鳴った瞬間のフロアの高揚感を見れば一目瞭然だし、スローテンポのイントロから一瞬の間を置いて爆速ツービートに切り替わる展開にはいつだって興奮させられる。タイトルの「バスターコール」とは尾田栄一郎作の漫画『ONE PIECE』内で使われる「特定の地域や部隊を壊滅的状況に追い込む為の号令」であり、彼らは曲中でも「自分たちが積み上げてきたものを壊してやればいい」と歌っている。そこだけ聞くとなにやら物騒に思えるかもしれないが、彼らが歌っているのは≪If you want to create do break a real things/Let's break everything anyway≫という決意のリスタートなのだ。過去やしがらみにがんじがらめになっている人の手を引く、なんとも勇敢な曲である。(峯岸利恵)

②Now here, No where

2ndミニアルバム『sonor』に収録されている同曲は、04 Limited Sazabys初の日本語詞となっている。アップテンポで非常にノリやすい曲調でこそあるが、歌詞を読んでみると《弱さ》、《不信感》、《地雷》、《生涯楽ではないな》などネガティブなワードがずらりと並んでいる。しかしそれは、無理矢理作った笑顔で迎える未来を歌ったわけではなく、「どうにか踏ん張ってでも見据えなければならない未来」という、GEN自身の当時の心境を偽りなく透かして歌ったからこそ溢れてきた言葉たちなのだ。音楽と生活の両立という夢と現実のバランスの取り方に足掻きながらも生きていく彼ら自身の姿が浮かぶこの曲から感じることは多い。また、散りばめられた韻の心地好さも必聴だ。(峯岸利恵)

③monolith

3rdミニアルバム『monolith』のタイトルトラックにもなっている“monolith”は、一聴して「フォーリミが前向きに振り切れた」という確信を抱かせる曲。GENが同曲中に出てくる《君》とは「音楽」のことだと明言していることからも、音楽を自身の人生として歩んでいく決意がものすごく伝わってくる。GENは以前、一生バンドを続けていくために、仕事もしつつバンドは趣味のひとつとしておこうと思っていたという胸中を語っていた。恐らく器用な彼はその生き方でも充分いけるとこまで行くことができたのだろう。しかし彼はこの曲で、≪君以外に/何を望む 君以外に 何もないだろ≫と歌った。04 Limited Sazabysという4ピースバンドで音楽を鳴らして生きていくしかないというバンドの意志がひしと伝わってくる名曲だ。(峯岸利恵)

④swim

彼らにとって初のシングル『YON』のリードトラックとなったのがこの“swim”なのだが、初めてこの曲を聴いた時にはその抜群のメロの良さに開いた口が塞がらない状態になった。明るくてひたむきなコード進行の中に微かに滲む溺れることへの不安や哀愁、それらの混沌とした感情を全て乗り越え、好きなスタイルで自由に泳ぎ切ろうとする強い意志。≪あの日の自分が許せないな/選び間違えた日々を返せよ≫と「過去」を悔やみながらも、≪あの日の自分を許したいな≫と「今」心に浮かぶ本音を歌い、最後は自分にも言い聞かせるように≪悩んでる 君の 好きな方へ/さぁ、おいで≫と「未来」へ誘う。時制の波を越えて突き進む彼らの姿が浮かんでくるようだ。(峯岸利恵)

⑤Terminal

メジャー初となる1stフルアルバム『CAVU』に収録されている“Terminal”。アルバムタイトルの「CAVU」とは航空用語で「限りなく視界良好」という意味で、さらに同曲は別れと出会いの象徴でもある「Terminal=空港」をタイトルにしていることもあり、まさに「飛躍」を象徴するような楽曲となっている。≪待ってるだけじゃ 埋められぬ距離/たどたどしくも手探りで きっと/知っていたんだろ?≫という示唆を経て、ラストのドラマチックな転調の先に待つのは≪最後は 君といたいから≫という珍しいほどストレートな意思表示。彼らの目指す方向には最高な世界が待っていると思わずにはいられない、視界良好な未来への指針を歌った名曲だ。(峯岸利恵)

⑥Letter

メジャー1stシングル『TOY』、さらに2ndフルアルバム『eureka』にも収録されている“Letter”は、「夏の終わり」の切なさが胸を打つ楽曲。GENが一番好きな季節である夏をテーマにした曲で、「自分が部屋に閉じこもって楽曲制作に勤しんでいる間に、大好きな夏が過ぎてしまう……」という切なさを込めた曲という事実は後から知ったのだが、それまでは恋愛の渦中を歌ったものだと思っていた。“monolith”でもそうだが、彼らの曲の「あなた」や「君」は必ずしも人間とは限らない。そういった聴き手の想像の余地や解釈の間口の広さが際立って感じられる曲だ。(峯岸利恵)

⑦Horizon

“Horizon”を聴いてまず驚いたのは、「この壮大さで、たった2分なの?」ということだった。基本はツービートでこそあれど激しさは全く感じず、むしろGENの伸びやかなハイトーンとの対比に美しさを感じる。展開を盛り込めば恐らく4分〜5分の曲にもなりえただろうが彼らがそれをしなかったのは、「最適」をしっかりと理解しているからなのだろう。自分が言いたいことや相手に伝えたいことをあれこれ詰め込んでいくことはきっと簡単だ。しかし、詰め込んだだけ聴き手に伝わる感度は鈍ってしまうという危険もある。だからこそ洗練された無駄のない長さでまとめることの難しさが問われるのだが、この曲はその配分が完璧だ。フォーリミのバランス感覚の良さの証明ともいえる曲である。(峯岸利恵)

⑧Squall

第2章なのか第3章なのか、とにかく今に続くフォーリミの新たなチャプターはこの曲から始まったのだと思っている。《生まれ変われ》という歌詞のメッセージが象徴するように、ここには振り返る自分たちの原点とともに、今ここからどうなっていきたいのかという願いや夢が込められているからだ。アグレッシブだけど優しい、キャッチーだけどどこか切ない、フォーリミの音楽のいちばん繊細な部分がストレートに発揮された楽曲で、そういう意味では“midnight cruising”にも通じる部分がある。祈るようなGENのファルセットも心を揺さぶる。いつどんな時に聴いてもいいが、個人的には「YON FES」のトリのライブで彼らが鳴らすこの曲は格別。泣ける。(小川智宏)

⑨My HERO

バンド結成10周年となった2018年にリリースされたこの曲。テレビ東京系ドラマ『オー・マイ・ジャンプ! 〜少年ジャンプが地球を救う〜』のオープニングテーマに起用された曲であり、そこから導き出された「ヒーロー」に憧れてひたすらに突っ走る主人公の姿や《本物になりたくて》《先に進むだけ》というフレーズには、10年という時間をかけて一から自分たちの居場所を切り拓き文字通りシーンの「ヒーロー」として成長してきたフォーリミの歴史も重なる。怒涛のビートとツインギターが唸るイントロから一気呵成に猛ダッシュをかける4人のアンサンブルと青い空へと突き抜けるようなサビの高揚感が、今あらためてみずみずしく燃える彼らの情熱を伝えてくれる。(小川智宏)

⑩Honey

GENも『ROCKIN’ON JAPAN』(2022年11月号)のインタビューで「お気に入り」だと話していたこの“Honey”。パワーコードでゴリゴリと進むアッパーチューンはフォーリミの必殺技のひとつだが、歌詞にはどこか切なさが宿っていて、GENの歌声も少しだけ憂いを帯びている感じがする。ではなぜ切ないのかといえば、この曲は「過去」にさよならをする歌だからだ。今まで積み重ねてきたものを振り返って物思いにふけるのではなく、それでもやってくる「今」だけを見つめて前に歩いていくこと。《勝手に今日も君が好き》というサビのラストフレーズが言わんとしているのはそういうことだ。コロナ禍も影響しているのだろう。そんな時代でも後ろを振り向くことなく生きていくんだ、というフォーリミの決意表明のようにも響く。(小川智宏)


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