【10リスト】sumika、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】sumika、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
2013年5月17日に結成されたsumika。そのバンド名には、自分たちの音楽が、そしてバンドの存在自体が様々な人にとっての「住み処となるように」という想いが込められていて、その名の通り結成以来、多くの人の心を照らし、寄り添うようなポップソングをリリースし続けている。片岡健太(Vo・G)、荒井智之(Dr・Cho)、黒田隼之介(G・Cho)、小川貴之(Key・Cho)の4人に加え、音源制作やライブ等ではその時々でベーシストを含む多彩なゲストプレイヤーを迎え入れ、常に自由度の高いバンドアンサンブルを響かせる。ゆえに、音源をリリースするごとに彼らの音楽性はより豊かに広がり続けていくわけだが、現時点で「とにかく聴くべき」とプッシュしたい名曲10曲をここにピックアップして解説していく。(杉浦美恵)

※2022/10/18 更新

① 雨天決行


sumikaとしての初音源、1stミニアルバム『新世界オリハルコン』の1曲目に収録されている楽曲。現在もライブで時々披露されることがあり、まさにsumikaの原点にあたる曲。《やめない やめないんだよ まだ/足が進みたがってる》という歌詞と楽曲のアッパーなテンポ感は、片岡健太(Vo・G)の情熱そのもののようであり、その後のsumikaのピュアな音楽への向き合い方が、この曲には凝縮されているように感じられる。“雨天決行”というタイトルにも、どんな逆境が待っていても自由にやり続けていく、という強い意志が滲んでいる。

② ふっかつのじゅもん


2014年にライブ会場限定でリリースされたシングル。その後、2ndミニアルバム『I co Y』にも収録。自身がかなりのゲーム好きということもあり、この楽曲はそのタイトルのイメージ通り『ドラクエ』をイメージして作詞されている。不穏ながらキャッチーで、どこかコミカルな雰囲気も魅力的な楽曲で、ライブでもシンガロング必至の1曲。転調を効果的に入れたり、メンバーのコーラスがフックになるなど、sumikaのストロングポイントがすでにこの初期曲で思うさま発揮されている。

③ Lovers


2015年にはこれまでサポートメンバーだった小川貴之(Key・Cho)がsumikaに正式加入。新たなスタートを切ろうかというタイミングだったが、その後片岡の体調不良により、バンド活動は一時中断してしまう。その復帰後の第1作目が、2016年3月にリリースされた両A面シングル『Lovers / 「伝言歌」』。“Lovers”は、男女のラブソングになぞらえながら、sumikaからリスナーへのメッセージとも受け取れる歌詞にグッとくる。《ねぇ浮気して ねぇ余所見して》というのは、sumika以外の音楽も聴いて、それで《最後の最後の最後には/お願いこっち向いて》という思いが込められている。sumikaの強みのひとつである、跳ねるようなバンドアンサンブルが見事に弾けた、最高の復帰作。

④ 「伝言歌」


ライブのアンコールで歌われることも多い、書簡のように思いを綴ったラブソング。恋人への思いを純粋に綴っている歌詞が感動的で、これは片岡がまだ18歳の時に、友人の思いを代弁するかのように作られた楽曲である。それを復帰作の両A面の1曲としてリリースすることによって、また新たな意味が生まれた。愛する人への思いを伝える歌詞は、そのまま片岡からメンバーたちへの思いにも聞こえるし、待っていたリスナーへの思いのようでもある。そして、それはそのままファンからsumikaへ「伝えたい」思いとも重なって、改めて、「ラブソング」というものの普遍性を実感できる楽曲でもある。こうした、対象を限定しているようで誰のどんな思いにも寄り添えるような楽曲に仕上げるソングライティングこそ、片岡の真骨頂。

⑤ フィクション


1stフルアルバム『Familia』をリリースした後のsumikaの大躍進は多くのリスナーの知るところだが、その1stにして大傑作と言えるアルバムをリリース後、さらなるポップネスを追求したEPがリリースされる。2018年4月にリリースされた『Fiction e.p』の表題曲がこの楽曲。自身の創作する作品のことを“フィクション”と呼びながら、そのフィクションにはやはり、誰かに「伝えたい」という思いがあるからこそ、リスナーはそのフィクションに心を動かされるという、そんな片岡のポジティブな思いがあふれた楽曲。心地好いテンポで進んでいく楽曲は、日常生活の風景をより鮮やかに彩るサウンドトラックのように響く。

⑥ ファンファーレ


劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』のオープニングテーマとして書き下ろした楽曲で、同じく主題歌の“春夏秋冬”と両A面として2018年8月にシングルリリース。アニメ作品の牛嶋新一郎監督いわく「ここまで作品に寄り添って楽曲を作っていただいた経験がない」というほど、sumikaはこの物語が「泣ける」と言われることの、その意味に向き合って、とても深い部分で主人公の人間像を楽曲に投影していった。だからこそ疾走していくメロディに切なさが滲みながら、とても誇らしげなポジティブな思いがにじむ。

⑦ イコール


2019年4月から放送された、あだち充原作のTVアニメ『MIX』のオープニングテーマに起用された楽曲で、同年6月に“Traveling”との両A面シングルとしてリリースされている(アルバム『AMUSIC』にも収録)。『MIX』は不朽の名作『タッチ』の30年後を描く物語であり、幅広い世代が心を寄せる作品であった。sumikaは真正面からそのテーマに向き合い、爽やかなサウンドに乗せて青春の惑いや迷いを振り返るように歌に刻み込んだ。歌詞に《タッチ》《ミックス》という言葉がさりげなく織り込まれているのも心憎い。ドラムとベースのリズム隊が描き出す、少し心がはやるようなテンポ感、そして追憶をくすぐるようなメロディと歌声。この楽曲を聴くと脳裏に青春の景色が自然と湧き上がってくる。青春時代の自分が現在の自分に問いかけてくるような楽曲でもあり、かつて抱いていた理想とは違った現在でも、青春時代と現在とは確実にひとつの線でつながっていて、それを“イコール”と表した片岡の作詞の素晴らしさが光る。ストリングスをフィーチャーしたサウンドが胸を熱くさせる。

⑧ 願い


“願い”は、2019年11月から放送されたTVドラマ『おっさんずラブ-in the sky-』の主題歌として書き下ろされたもので、同年12月に“ハイヤーグラウンド”との両A面シングルとしてリリース(アルバム『AMUSIC』にも収録)された。ミドルスローの素晴らしいバンドアンサンブルが耳を惹く。片岡の鳴らすアコギの音、小川のあたたかなピアノサウンド、そしてストリングスの音に寄り添うような黒田のギター、胸の奥で高まる鼓動のような荒井のドラム。そのサウンドが、歌が、どこまでもピュアな想いを描き出す。報われることのない恋情、口に出せぬ《ひとつめになれないこと/あの子になれないこと》という切なさ。ドラマの物語にしっかりと向き合って作られた楽曲であるのと同時に、混じりっけのない純粋な愛を歌う楽曲として、ファンからも人気の高い一曲である。MVのイメージや、ドラマのオンエア時期との関係性もあり、「冬」を感じさせるバラードでもある。特にサビのメロディの強さは、悲しみに凍えてしまわないようにぎゅっと自分自身を抱きしめるような、そんな切なさに溢れる。

⑨ Shake & Shake


2021年4月から放送された、西尾維新原作のTVアニメ『美少年探偵団』のオープニングテーマとして書き下ろされた楽曲。片岡は原作小説もコミックスもすべて読み込んだうえで楽曲を作り上げたという。その後、“ナイトウォーカー”との両A面シングルとしてリリースされ、アルバム『For.』にも収録されている。めまぐるしく展開していくこの楽曲は様々な音が重なり合って、宮田’レフティ’リョウとの遊び心満載の共同アレンジにニヤリとさせられる。それぞれの楽器も、もちろん歌も、すべてのパートの存在感がパンと主張するようなアレンジでありながら、sumikaらしく洗練されたバンドサウンドに仕上がっていてとても心地好い。サビ歌詞の《シェケラララ》のカタカナの多幸感は、「Shake」を「シャケ」と読んで笑ってしまうようなsumikaのユーモアがあって、一方では《マッチして ローンチして/ガッポしてどうすんの?》というアイロニーも隠されていたり、様々な要素が混ざり合って珠玉のポップスに昇華されている。ワンカットで撮りきったというMVの圧倒的祝祭感まで、sumikaの音楽の痛快さを堪能できる一曲。

⑩ 透明


2022年5月17日に結成9周年を迎えたsumikaは、そこから10周年のアニバーサリーイヤーに突入。その10周年に向けての想いを楽曲に込め、音源リリースの前にまずライブで披露しようと作り上げた楽曲がこの“透明”だった。そしてライブでの演奏を経て楽曲は育ち、10周年という節目に制作されたアルバム『For.』に収録すべくレコーディングされた。そうした背景を持つ楽曲だけに、この歌の歌詞は、これまで彼らが関わってきた多くの人たちに向けての「愛」が詰まっているように感じ取れる。『ROCKIN’ON JAPAN』(2022年11月号)でのインタビューで片岡は、「sumikaは“Lovers”っていう曲で活動休止から復活したんですよね(中略)たぶんあれが初めて、俺たちがちゃんと愛というものをテーマにして作った曲だと思ってるんです。あの時の心境に似てる」と“透明”を語り、「結局そこに行き着く」と語る。だからこそ、この楽曲で繰り返される《愛している》というどんな装飾も形容詞も削ぎ落とした言葉に宿る想いは深く、sumikaというバンドの在り方を象徴する曲となった。アルバム『For.』の中でも非常に重要な一曲。


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