【10リスト】[Alexandros] 、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】[Alexandros] 、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
「ロックバンド」の美しさや凛々しさ、かっこよさを、その佇まいと楽曲で証明し続けるバンド、それが[Alexandros]だ。決して最初から順風満帆だったわけではない、むしろ遅咲きといっていいキャリアを重ねながら、遙かなる高みをまっすぐに目指し、ブレることなく走り続けてきた彼らは、その道程の中で数多くの名曲を産み落としてきた。ライブでぶち上がるための攻撃的キラーチューン、日常の中でそっと寄り添う優しいバラード、繊細な感情を丁寧にひもとくようなミディアムチューン……さまざまな楽曲があるが、そのすべてにロックという表現が持ちうるパワーへの絶対的な信頼と愛情が込められている。「ロックってすげえじゃん」、「ロックバンドってかっけえじゃん」、無邪気にそう思える[Alexandros]の楽曲たちは、ロックファンがいつでも立ち返るべき「原点」だと思う。そんな[Alexandros]のディスコグラフィの中から最強の名曲を10曲ピックアップ。何度でも聴いて、何度でも震えてほしい。(小川智宏)

※2022/09/01 更新

①For Freedom

元々デモ音源に収録され、その後1stアルバム『Where’s My Potato?』にも収められたこの曲は、川上洋平(Vo・G)が社会人時代に「音楽をやりたい、仕事から解放されたい、自由になりたい!」という気持ちを突き詰めた末に生まれたものだと語られている。そういった自由への欲求は私たちも日常的に抱くものではあるが、彼らのその強い想いが宿ったこの曲はものすごくトリッキーであり何とも攻撃的! 拍取り困難なイントロに否応なしに耳が惹かれる攻撃的なロックチューンではあるが、歌詞の内容もこれまた刺激的。というより、まさに「[Alexandros] (当時は[Champagne])の世の中への宣戦布告」なのだ。自分がかっこいいと思った音楽を信じて這いつくばっている姿を嘲笑う奴らへの警鐘感をビリビリと感じるし、実際彼らは数年かけてシーンを統べるような存在にまでのし上がっていくのだから痺れる。≪誰かの優しい言葉でなく 激しいだけの嘘の言葉でなく/「私は 私だ」って言える事が何にも変えがたく心地良いんだ≫――常に自身が鳴らす曲、想い、何より「バンド」を信じて疑わない彼らの自信と誇りの象徴、それがまさにこの“For Freedom”なのだ。(峯岸利恵)

②city

記念すべき1stシングルとなったこの“city”の凄いところは、「自分たちの曲があなたを救い続けるから安心して進め」という優しさではなく、≪この歌も捨て 自らの言葉と身体で生きていけ≫と言える強さだ。それは聴き手を冷たく突き放しているわけでは決してなく、≪ここはどこですか/私は誰ですか≫という問いの答えを自ら掴みに行けという[Alexandros] からの激励のフレーズに他ならない (というか、まだ駆け出しに近い段階で「自分たちの歌を捨てろ」と歌える彼らの精神力がまずすごい) 。そんな切なさや哀愁を漂わせながらも胸のど真ん中に強く刺さるこの曲に、一体何度励ましてもらったことだろう。手元にある存在証明書に頼りがちな日々、何千何万という人が行き交う街の中に決して埋もれてしまうなよ。己の存在意義は、己が導け――誰かに媚びることなく己を貫く彼らの原点を歌う、決して色褪せることのない不朽の名曲だ。(峯岸利恵)

③Starrrrrrr

爽やかなのにどこか刹那的で、スピード感のあるメロディに鍵盤の音が煌めく――炭酸水の中で上昇する泡がイメージされるような同曲は、炭酸飲料「ゲロルシュタイナー」とコラボされたことでも話題になった。そしてこの曲で「ロックバンド=衝動を促す激しいサウンドだけを武器にする」のではなく、壮大で気持ち良いサウンドで聴者を圧倒するという現在の彼らに通ずるスタンスを確立する第一歩のように思う。≪どこまでも 私は私だから/貫いて 誰に何を言われようとも≫という自身に向けた励ましにも聴こえるそのフレーズは、多くの人の支えにもなっている。また、タイトル“Starrrrrrr”はrが7つ連なっているが、その意味について川上は当時のブログで「たくさん理由はあるけど、その中のひとつはアホな奴等をあぶり出すためだ」と話している。バンドの綴りの複雑さ故によく間違えられていたという苦い経験に対するささやかな復讐心……彼ららしいニヒルさたっぷりの刺激的な反抗にニヤっとしてしまうエピソードだ。(峯岸利恵)

④Kick&Spin

「蹴って、回して=回し蹴り」というタイトルのこの曲の醍醐味は、何といっても「高速展開で聴者の感情を揺さぶりっぱなし」なところだろう。これまで紹介してきた曲がダイナミックでスケール感のある曲だったが故に、AメロBメロの密度の濃いロックでサイケデリックなサウンドに「待ってました!」と思わず拳を突き上げてしまいそうになる。さらにサビでは川上のハイトーン炸裂の伸びやかでエモーショナルなメロを当ててきた……と思いきや、間奏は爆裂ドラムとギターリフの来襲ときたもんだ。良い意味で気持ちが一切落ち着かないし、終始攻撃的でありたまらなく叙情的。≪笑われたなら/笑い返せば良い/この先何年かかっても果たせば良い≫下積み時代が長かった彼らは、悔しさも人一倍味わってここまで辿り着いたのだろう。そんな苦さをバネにしながらもてっぺんまで昇り詰めようという強い意志が感じられる一曲だ(MVも意外性をビシビシ突いてくる内容なので是非)。(峯岸利恵)

⑤Adventure

彼らが[Champagne]から[Alexandros] に改名して初のシングルという意味でも歴史的な一曲だが、そういった「節目」という意味だけではなくサウンドや内容も含めて語り継がれるべき曲だ。まずバンド改名を「不遇」ではなく「転機」と語り、これからの第二ステージを“Adventure(=冒険)”と言える屈強なメンタリティ。そして文句なしに雄大で、泣きたくなるほどロマンチックな音の流線。川上は自身のサウンドメイキングに対して絶対的な自信を持っているが、[Alexandros] になってからはその力が研ぎ澄まされ、それでいて優しさを帯びるようになったように感じる。それはこれまでの楽曲に滲ませていた「自分たちの良さを分からない奴は置いていく」という尖ったスタンスが、≪大胆な作戦で/言葉にならないマスタープランで/いつだって僕達は/君を連れて行く≫という歌詞からも分かるように、高みへの階段を登るにつれて視野が広がり開放されたことが理由なのではないだろうか。この曲があったからこそ見えた景色が絶対にあると確信させる、深い意味でターニングポイントとなった曲だと思う。(峯岸利恵)

⑥ワタリドリ

“Adventure”で辿り着いたそんなネクストステージを確固たるものにしたのが、この“ワタリドリ”に他ならない。メジャー初のシングル曲としてリリースされたものだが、メジャーを想定して作った訳ではなくその前から作られていた曲のようで、まさに満を持して世に羽ばたかれた楽曲でもある。なんともドラマチックな話だし、こんな超ド級の名曲を懐で温めていたという彼らのストックにもまた驚く。そしてそのタイトルに相応しい、雄大で広がりのあるメロの気持ち良さったら! ≪ワタリドリの様に今 群れをなして/大それた四重奏を/奏で終える日まで≫自分たちを信じてくれるファンと、絶対的な信頼を置き合っている4人のメンバーと共にこの先も惑うことなく突き進んでいく決意を、余裕たっぷりに歌い上げるその姿勢にはこれまで彼らが築いてきた自信と誇りが漲っている。ワタリドリは必ず戻ってくる習性があるが、ターンポイントはまだずっと先。どこまでも遠くへ飛んでいく彼らの背中を追い続けたいと思える希望溢れる楽曲だ。(峯岸利恵)

⑦Mosquito Bite

“NEW WALL”や“ワタリドリ”などの雄大なランドスケープで描かれた楽曲が続いてリリースされ、それらの楽曲は多くの人を巻き込みながら広大な会場で自由に鳴らす彼らの姿を彷彿とさせた。その上で発表された“Mosquito Bite”は、《誰かの言葉が/傷をえぐっても/But after all it’s nothing more than a mosquito bite(上記の事柄含めて大したことない/せいぜい蚊に刺されたぐらいなもんだ)》というサビや沸々と湧き上るダークで深く刺さるサウンドが、彼らの精神力の強さや己の姿勢をズバリ言い表している。幼少期を海外で過ごした川上自身が体験した「日本人だからとナメられた」という過去、そしてニューヨークで武者修行を行った彼らが知った「世界」に於ける自分たちの現状。挫けたり逃げたりしてしまいそうになる、そういった要素を全部飲み込んで、「やってやろうじゃねえか」というプラスのエネルギーに変換すること。それは[Alexandros]が遠く高く突き進んでいく為に必要不可欠な性格であり、彼らの絶対的な強みだ。己の弱さを隠すのではなく、己の弱さを受け入れてこそ発揮できる強さがある事を、この楽曲から教わった。(峯岸利恵)

⑧Philosophy

2019年、NHKの『18祭』内で制作された楽曲。《僕の哲学は 揺れ続けるだろう/それでいいだろう あてもないまま/抗っていこう》というメッセージはもちろん「18歳世代とともに作る」というテーマがあればこそ生まれてきたものだが、同時にロックバンドの根底にある精神をまっすぐに射抜くものでもある。クリシェのような青春像やお仕着せの一体感などではなく、10代の孤独と焦燥と混乱こそが君たちのリアルだ、それでいいんだと訴えかけるこの曲のアティテュードは、そのまま[Alexandros]というバンドのロックに対する誠実で揺るぎない信念を物語っているのだ。ギターやドラムのアレンジで[Alexandros]らしさを滲ませながらも、ストリングスの使い方やコード進行、サビのメロディ展開などはかなりストレートにルーツを感じさせる。そうしたサウンドも、この楽曲だからこそ自然に引き出せたものなのだと思う。ちなみにベストアルバム『Where's My History?』に収録されているのはコーラスなしのオリジナルバージョンで、こちらもより骨と肉という感じで熱い。(小川智宏)

⑨閃光

初めてこの曲を聴いた時の、全身に鳥肌が立つような感覚を鮮明に覚えている。そしてその感覚はその後何度聴いてもまったく変わらない。ゆったりとした歩調から猛烈にダッシュし、そして驚くべき高さまで飛翔する――バンドの出力レンジの高さを証明するような痛快でアグレッシブなロックチューンは、10年という節目を迎え、体制を変えて新たな出発を遂げた[Alexandros]の第一歩としてあまりにもふさわしかった。この曲は映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の主題歌で、本来は映画の公開とタイミングを合わせてリリースされるはずだったが、新型コロナウイルスの影響によって映画の公開が伸び、楽曲が先行して世の中に流れていくことになった。そうした巡り合わせも結果的にはよかったのかもしれない。リアド偉武(Dr)によるタイト&ファストなビート、白井眞輝(G)の切れ味鋭いリフとソロ、楽曲の馬力をすべて体現する磯部寛之(B・Cho)のベース。全員が全速力でひた走るようなサウンドの上で、川上洋平のハイトーンが伸びやかに響く。これぞ[Alexandros]だ。(小川智宏)

⑩Rock The World

映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』の主題歌に起用された “Rock The World”。まず、この曲名である。“Rock The World”というタイトルがサマになるバンドは[Alexandros]ぐらいしかいないだろう。そして聴いてみれば、心の内側にあるセンチメントやメランコリーを強力なアンサンブルによって彼方へと連れ出していくような、爽快で力強いロックチューン。《泣きたくなるほど なるほどに/僕らはちょっと強くなれる》という歌詞も、それを乗せたメロディラインも、そして川上の声自体もどちらかといえば切なさや儚さを感じさせるのだが、そんな切なさや儚さを優しく包み込みながら力強くバーストさせるバンドサウンドの絶妙な匙加減がこの曲のキモだ。鋭さの中に柔らかさを内包したようなギターサウンド、手数は多いが決してメロディの邪魔をしないドラム、そして出るところは出て引くところは引く冷静沈着なベース。バンドの呼吸が完璧に合っていなければこれはできない。この4人だからこそ、優しくて強い、最高のロックアンセムが生まれたのだ。(小川智宏)


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