【10リスト】Official髭男dism、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】Official髭男dism、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
Official髭男dism は、そのグッドミュージックによって令和の時代の始まりをグルーヴィーに熱く色彩豊かに染め上げている4人組ピアノポップバンドである。その強みは、ブラックミュージックをルーツに、様々な音楽の要素を取り入れポップスへと昇華し、しかもそれが素直でストレートなメッセージとして胸に飛び込んでくるところ。今回はそんな彼らの選りすぐりの名曲10をピックアップ。髭男(ヒゲダン)の楽曲は我々のなんでもない日常をその豊かで小粋なメロディで美しく彩ることができるのか、そのマジックにこのリストをきっかけにより多くの人に触れてほしい。(沖さやこ)


①SWEET TWEET


初の全国流通盤となる1stミニアルバム『ラブとピースは君の中』の収録曲。遠く離れた街に住む「君」に想いを寄せる「僕」の、「君」との電話の時間についての心情が綴られている。電話でしか「君」の声を聞けないからか、「僕」は恋しすぎて「君」が《笑うときだけいつもの声より二音半あがる》ことに気付いてしまうほど。それ以外にも《愛する君の声はメロディ》など、主人公がミュージシャンであると感じさせるところも、聴き手の心をくすぐるポイントだろう。ミッドテンポの四つ打ちと軽やかなカッティングやクラップが、恋する気持ちのときめきやキュートさを上品に表現した楽曲だ。間奏が2展開あるなど、当時から演奏面へのこだわりの高さも伺える。

②コーヒーとシロップ


2016年にリリースされた2ndミニアルバム『MAN IN THE MIRROR』のリード曲。社会人としてスタートを切った若者の生活と心情を、日常のささやかな贅沢でもあり、休憩時間や朝の象徴でもあり、苦味の代名詞でもある「コーヒー」をモチーフに展開していく。サラリーマンとしての社会人経験のある藤原聡(Vo・Pf)だからこその生々しい言葉が並び、苦さを緩和させる「シロップ」を「ふがいなさ」と歌う、若者ならではの行き場のなさや閉塞感に共感する人々も多いのではないだろうか。励ましの文言はなくとも、うだつの上がらない日常を華やかなストリングスが印象的なサウンドに乗せることで聴き手の心を軽くさせるところも、髭男流のいなせな優しさだ。

③What’s Going On?


1st EP『What's Going On?』の表題曲。おおげさなくらいのゴージャスさと、とびきり軽やかなサウンドとゴスペル的なコーラスに乗せて歌われるテーマは、SNS世代の生きづらさ。《大切な仲間が1人 命を絶ってしまった》という辛辣な現実も綴られるなか、《僕たちは 最後まで耐え抜いてやろうよ/奴らが飽きてしまうまで 遊び疲れてしまうまで》や《現実ばかりに 縛られなくてもいいんだよ》など直球の言葉で自分自身を守るためのアドバイスを投げかける。最後のテンポチェンジセクションはこの先にもっと広い世界があることを示唆させ、《一緒に未来へ行こうよ》という言葉は本当に彼らが輝かしい未来へと連れていってくれるような感覚に陥った。「音楽の魔法」を体現する楽曲である。

④異端なスター


3rdミニアルバム『レポート』収録曲。髭男はこの作品から演奏のグルーヴやボーカルの節回し・譜割りなどリズム面が格段に洗練され、ポップネスはそのままによりダイナミックでソウルフルなアプローチを繰り広げるようになる。ブラスとバンドサウンドが融合し、間奏では藤原の見事なフェイクも迫力を生む同曲は、タイトルからもわかるとおり不器用な人間を鼓舞する。事なかれ主義の生き方に疑問を提示し、自分らしい人生を送ろうとする呼びかけは、会社員経験を持ちながらもバンドマンへの道へと舵を切った彼らが歌うからこその説得力だ。人間の歩くスピードと同じくらいのテンポ感にも「等身大でいこう」という意味が込められているように感じるのは、深読みだろうか。

⑤Tell Me Baby


配信EP『LADY』のc/w曲であり、1stフルアルバム『エスカパレード』収録曲。2018年1月に放送された『関ジャム 完全燃SHOW』にて、音楽プロデューサー・蔦谷好位置が「2017年のベストソング10」の第2位に同曲をランクインさせたことも話題になった。ファンク/ディスコミュージックの要素が強く、一定のビートやコード感がループしていくことで心地よいグルーヴを生んでいる。アメリカのディスコチューンの方法論を高い純度でJ-POPへと落とし込むことに成功している最大の要因は、生演奏と打ち込みのハイブリッド感。2010年代の日本らしいハイファイなサウンド感は、これ以降の楽曲でも巧みに用いられている。

⑥LADY


配信EP『LADY』の表題曲であり、1stフルアルバム『エスカパレード』収録曲。藤原の歌とボーカルが前面に出たバラードで、しっかりとサポートに回る楽器隊のフレージングの妙も光る。《世界で一番素敵なLADY》への強い愛情を歌う楽曲であるが、《意地張って離れたって寂しいのはお互い様》や《僕は君に溺れた》というラインから察するに、「君」にとって「僕」は寂しさを埋めるための存在。それを頭では理解していながらも「僕」は「君」を本気で愛してしまった――という大人の幼さを極限まで美しく描く。報われない愛であることは理解し、《情けなくて》と言いながらも、強い愛を歌う藤原のボーカルは胸が張り裂けそうになるほど切ない。

⑦ノーダウト


1stフルアルバム『エスカパレード』収録曲であり、メジャーにてゲリラリリースされた1stシングル曲。当時インディーズアーティストながらに2018年4月クールのフジテレビ系月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』の主題歌アーティストとして抜擢され、同作のために書き下ろしたこともブレイクの大きなきっかけとなった。ブルーノ・マーズなどに代表される2010年代ファンクサウンドと、そのメロディに日本語で韻を踏みまくるという小気味良さ。「欲望にまみれた人間たちから大金をだまし取る、痛快エンターテインメントコメディー」というドラマの性質を存分に生かしたソングライティングは、スマートながらにユーモアと人懐っこさを併せ持つバンド像を強く印象付けた。

⑧115万キロのフィルム


1stフルアルバム『エスカパレード』の1曲目。《これから歌う曲の内容は僕の頭の中のこと/主演はもちろん君で/僕は助演で監督でカメラマン》という歌い出しで、一生の長さを115万キロの映画フィルムに例えて永遠の愛を歌うラブソング。同曲然り“コーヒーとシロップ”然り、ひとつ大きなモチーフを主軸に置いて物語を展開していく手法は藤原の十八番だ。普遍的なテーマを歌いつつも切り口が彼ならではゆえ、斬新に響いてくる。8ビートを基盤にしたやわらかいピアノポップサウンドと豊かなコーラスは初期の髭男にも近いサウンドスケープ。ドラマチックながらに甘くなりすぎず気負わない雰囲気に、掛け替えのない当たり前の日常を鮮やかに色付けていくのが髭男なのだと再確認させられる。

⑨Stand By You


メジャーデビューから約半年でリリースされた2nd EP『Stand By You EP』の表題曲。藤原は「夏フェスでの景色やお客さんの声援がソングライティングに影響した」と語っており、ゴスペル的なハーモニーのシンガロングパートやクラップがシンボリックな楽曲だ。歌詞にはアーティストとしての意志や喜び、感謝が綴られており、バンドの規模が格段に大きくなったタイミングで人と人のつながりというミニマムな距離感を歌うところにも、バンドの人となりやメンタリティが感じられる。リリース以降瞬く間にフェスやライブでの最重要曲となり、2019年7月に開催されたバンドにとって初の日本武道館公演も同曲で、アンコールのラストを華々しく感動的に飾った。今後もバンドにとっての最重要曲のうちの1曲となるだろう。

⑩Pretender


映画『コンフィデンスマンJP』の書き下ろし主題歌となった2ndシングル表題曲。映画の世界観に準じたソングライティングをするために、彼らのバックグラウンドにはなかったUKの要素を取り入れ制作された。リフレインと音の隙間を効果的に用いた、どこか淡々としたアンサンブルから生まれる浮遊感は、「君」を想う心はあれど《グッバイ》と告げ、愛しているとは告げぬとも《「君は綺麗だ」》と歌うという、複雑な心境を描いた歌詞をより強固に響かせる。重くなりすぎないのにじっくり浸れるという曖昧で絶妙な温度感はロマンチックで夢心地ながらにリアル。同曲のヒットは、どこか一方の感情にフォーカスして振り切った明快な楽曲が溢れた2010年代の音楽シーンの潮流が変わり始めていることも示唆させた。2019年を代表する1曲と言っても過言ではない。

※記事初出時、内容に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

関連記事はこちら。
【10リスト】私たちの心を揺らしたOfficial髭男dismの名歌詞10
2019年10月にリリースしたメジャー1stフルアルバム『Traveler』がオリコン週間アルバムランキングとオリコン週間デジタルアルバムランキングで1位を獲得。CDとデジタルアルバムが初の同時1位 を記録し、名実ともに令和初のスターと言っても過言ではない存在と化したOfficial髭男dis…
【10リスト】私たちの心を揺らしたOfficial髭男dismの名歌詞10
公式SNSアカウントをフォローする
フォローする