【10リスト】菅田将暉、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】菅田将暉、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
俳優としての表現力や存在感が出演作品を重ねるごとに増していきながら、等身大の、ひとりの人間としてのリアルも強く感じさせるのが菅田将暉というアーティストの魅力である。それは、彼が歌手として、ミュージシャンとして音楽活動に全力で向き合い、そこで生身の人間として、歌を、言葉を発しているということも大きく関係しているような気がする。映画やドラマ作品のタイアップ楽曲を表現する時でも、菅田の歌声はとても生々しい人間らしさを携えて、聴く者の心に触れてくる。今回はそんな、シンガー・菅田将暉の魅力をひもとく10曲をリストアップ。様々なアーティストとのコラボレーションで生み出された数々の名曲を、いま一度振り返ってみよう。(杉浦美恵)


①見たこともない景色

2017年6月にCDリリースされた、菅田将暉のソロアーティストとしてのデビューシングル曲。この曲はリリース前年からauのCM曲としてアーティスト名は明かされないまま流れて話題となっていた曲であり、その後、歌っていたのは菅田だったと公表された。そのエポックメイキングなデビューもさることながら、疾走感溢れるギターロックに乗る、青さと滋味深さが入り混じったような歌声に惹きつけられたのを覚えている。俳優とミュージシャン(シンガー)、その両方の道でセンスを発揮するアーティストは多いが、菅田のこの曲での歌声に、音楽に真摯に向き合う彼の本気を見た。いい意味で素朴で、何色にも染まらなさそうな、けれど何色にも染まることができそうな懐の深い歌声に、彼の役者としての佇まい同様、大いなる魅力を感じた人も多かっただろう。

②灰色と青(+菅田将暉)/米津玄師

他のミュージシャンとの共演、フィーチャリングでも菅田の歌声は求められることが多く、その始まりとしてまずこの曲を挙げておきたい。当時、まだ面識のなかった米津玄師からの熱烈なオファーを受けて、2017年10月に米津の4thアルバム『BOOTLEG』の先行シングルとして、この“灰色と青”はリリースされた。米津は菅田が出演する映画作品で、その存在が強く印象づけられて、そこから楽曲での共演をイメージするようになったという。少年時代の忘れがたい友のことを思い出しながら、今は互いにそれぞれ別の場所で生きているというこの楽曲のテーマを表現するためには、菅田の歌声のみならず、その表現力、存在感こそが必要不可欠だったことが、この曲を一聴した瞬間にすぐに理解できた。当時米津が「菅田くんじゃないと絶対にダメだなと思った」と語っていたのも頷ける。この楽曲はのちに菅田の1stアルバム『PLAY』にも収録されている。

③さよならエレジー

2018年2月リリースの3rdシングル。ドラマ『トドメの接吻』の主題歌として制作された、菅田にとって初のドラマ主題歌となった楽曲である。しかも本人主演のドラマではなく(ストリートミュージシャン、春海一徳役での友情出演はしているが)、純粋にミュージシャン、シンガーとして主題歌を担うということは、彼の歌への評価が高まっていることの表れでもあった。その期待に応えるかのように、石崎ひゅーいとともに制作されたこの楽曲は、ドラマの世界観に寄り添ったものであるのと同時に、若さの中にある翳、複雑な感情を、衝動と哀切が同居したメロディに乗せて歌い切った普遍的な魅力を放つ名曲。菅田将暉の歌唱は、また新たな音楽世界に向き合うフレッシュな衝動を感じさせた。

④ピンクのアフロにカザールかけて

1stアルバム『PLAY』には、菅田自身が作詞や作曲を手がけた楽曲もいくつか収録されているが、その中でも、そしてそのあとも、この“ピンクのアフロにカザールかけて”ほど、菅田の音楽的衝動や抑えきれない生の感情がほとばしる楽曲はほかにないだろう。苛立ちやストレスをぶつけるように書きなぐった菅田の歌詞を、すでに交流のあった柴田隆浩(忘れらんねえよ)に託して曲に仕上げたというこの曲。その言葉の勢いをそのまま受け止めるように、というより、さらにぶん投げるくらいの勢いで性急なパンクロックに昇華させた柴田の力量はものすごいが、ギミックなしでそれを歌い切る菅田もやはり只者ではない。

⑤ロングホープ・フィリア

アルバム『PLAY』収録の“スプリンター”に続き、秋田ひろむ(amazarashi)が楽曲提供をしたことも話題となった、4thシングル曲“ロングホープ・フィリア”。映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 〜2人の英雄(ヒーロー)〜』主題歌(およびテレビアニメ『僕のヒーローアカデミア』エンディングテーマ)として制作されたこの楽曲では、秋田の描く文学的な歌詞をエモーショナルなロックサウンドに乗せて、菅田がリアルな人間の息吹を感じさせるように力強く歌い上げている。ひとつの楽曲の中で、ひとりの人間が悲しみから立ち上がり、前を向き、走り出していく――というストーリーを気高いまでの説得力でもって提示する。それが実現しているのは秋田のソングライティングによるところももちろん大きいが、この普遍のストーリーを明確に表現できる菅田の歌声の強さがあってこそ。その魅力を改めて実感する曲だ。

⑥まちがいさがし

“灰色と青”での、必然に満ちたコラボレーションから約1年7ヶ月を経て、2019年5月、菅田は米津玄師の提供曲“まちがいさがし”を配信シングルとしてリリース。米津としては“灰色と青”以降も「まだまだ菅田将暉に歌わせたい」という想いがありながら、「菅田将暉に歌わせるのなら気の抜けた曲は作れない」という自然に高くなるハードルを前に、なかなか曲を完成させることができなかったという。そんな中、ドラマ『パーフェクトワールド』の主題歌としてこの楽曲は完成した。冒頭の《まちがいさがしの間違いの方に/生まれてきたような気でいたけど/まちがいさがしの正解の方じゃ/きっと出会えなかったと思う》という一節、その歌詞と歌声にぐっと引き込まれてしまう。米津の妥協なきソングライティングに全力で応えるかのような真摯で力強い歌声が、消えることなくずっと耳に残る。

⑦キスだけで feat. あいみょん

2018年の夏、『ROCKIN'ON JAPAN』での対談をきっかけに、菅田はあいみょんと意気投合。お互いに石崎ひゅーいの音楽が好きだという共通点もあり、その後、石崎を含め3人で遊ぶことになった。その夜、公園で語った恋バナをきっかけに、その場で生まれてきたのがこの曲だという。2019年7月にリリースされた2ndアルバム『LOVE』に収録された“キスだけで feat. あいみょん”。この赤裸々ながら繊細な感情の揺らぎを感じさせる楽曲が、そんなふうに自然に即興で生まれていたことに驚く。女の複雑な想いを菅田が、男のやるせない想いをあいみょんが歌うことによって絶妙なフィクション性が生まれ、情緒的なひとつの物語としての色彩を帯びる。菅田将暉の表現者としての新たな一面を見せてくれた楽曲でもあり、あいみょんのソングライティング力の底知れなさを感じる曲。そして菅田の存在があったからこそ、あいみょんはこのユニークなインスピレーションを得たのである。

⑧虹

“さよならエレジー”を皮切りに、アルバム曲でも何度もタッグを組んで楽曲制作を重ね、公私にわたって親交を深めている石崎ひゅーいと、映画『STAND BY ME ドラえもん 2』の主題歌を作り上げた。それがこの“虹”である。「ウエディングソングを作ってほしい」というオファーのもと、そのコンセプトにまっすぐに応えた感動的なラブソングが完成した。石崎と何度も話し合い、歌詞に「家族」というテーマを織り込むことにもこだわった。自身の家族のことを思い返しながら完成させたというだけあって、この楽曲での菅田の歌声はとてもピュアに響く。映画主題歌のオファーをきっかけに、石崎とともに菅田自身が愛について、家族について深く向き合ったからこその純粋さがここにある。

⑨うたかた歌/RADWIMPS feat.菅田将暉

映画『キネマの神様』の主題歌。劇中、撮影所内で夢を語り合うゴウとテラシンを演じた菅田と野田洋次郎RADWIMPS)。その映画の撮影後に野田は山田洋次監督に感謝の気持ちとしてこの楽曲のデモ音源を贈った。映画のテーマ曲として作ったわけではなかったその楽曲がプロデューサーの耳に留まり、主題歌として完成させることになったのだという。ゴウとテラシンの物語にも重なり合うような歌詞と、おだやかに心を揺さぶるメロディ。それを野田と菅田がやわらかく、力強く歌い合う。野田の歌声に寄り添うように、そして物語を紡ぐように歌う菅田のボーカルは、やはり俳優としての技量や経験が活かされた独自の魅力を放つものだと改めて感じ入る。映画の主題歌としてだけではなく、今この混迷の時代に生まれ落ちた楽曲として、後々にまでリスナーのノスタルジーをやさしく擽る1曲となるだろう。

⑩ラストシーン

作詞・作曲は石崎ひゅーい、編曲はトオミヨウという、菅田将暉楽曲において鉄壁とも言うべき布陣で制作された、ドラマ『日本沈没─希望のひと─』の主題歌。未曾有のできごとに直面して混乱しながらも奮闘する人々を描くドラマの主題歌として、また、この困難な時代に必死に希望を見出しながら生きたすべての人に寄り添う曲として、この歌はある。《2021年しるしをつけよう/君と僕がおんなじ世界で息をした/その証として》と、まさしく刻みつけるように歌う菅田の声。トオミヨウのアレンジがそれを静かにドラマチックに後押しする。これまでの楽曲以上に、菅田の声には切実な深みが増し、様々な感情を繊細に織り上げるように歌にしていく。菅田将暉のシンガーとしての成熟を明確に感じさせる楽曲となった。


【JAPAN最新号】菅田将暉、歌い手としての2019/2020/2021、そして名曲“ラストシーン”の誕生
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JAPAN最新号 表紙は東京事変! 別冊クリープハイプ/BUMP OF CHICKEN/宮本浩次/[Alexandros]/あいみょん/MWAM/sumika/RADWIMPS
11月30日(火)に発売する『ROCKIN’ON JAPAN』1月号の表紙とラインナップを公開しました。今月号の表紙巻頭は、東京事変です。 そのほかラインナップは以下のとおり。 ●東京事変 9年9ヶ月ぶりの表紙巻頭。メンバー全員集合、全歴史『総合』インタビュー、一世一代の全部のせ…
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