キーンのティム・ライス=オクスリーと、彼らのツアー・メンバーでもあるジェス・クインのふたりによるプロジェクトがこのマウント・デソレーション。アイルランドのダブリンでしこたま酒を飲んだ夜に思いついたコンセプトが発端ということになっていて、要するに肩の力が抜けたサイド・プロジェクトだということだろう。カントリーを主体にした音楽性も、キーンのメンバーはもちろん、キラーズ、ノア&ザ・ウェール、そして大注目の新人マムフォード&サンズまで気心の知れたメンバーが参加したゲスト陣も、かなりくだけたものであるのは確かだ。とはいえ、そこはアルバム3枚連続UKチャート1位の国民的ヒット・バンド=キーンである。とにかく音楽的に隙がない。M1“デパーチャー”のようなアップテンポのナンバーでも、M4“ステイト・オブ・アワ・アフェアーズ”のようなバラードでも、手は込んでいるのにシンプルなフォルムを保ったサウンドを作り上げている。そして、何より耳を惹くのがボーカル。ティムの表現力にも感嘆するが、ジェスの声の味わい深さはタダモノではない。もっと注目されてもいいんじゃないか。(小川智宏)