スナックス要ダイエット

ベスト・コースト『クレイジー・フォー・ユー』
2010年12月08日発売
ALBUM
ジャケだけでまずやられる。反則だろ、と思うが、ジャケを見てるだけで音が予想され、しかもそれがドンピシャでは文句を言う筋ではない。どんな音を連想します? ファジーでキュートなローファイ? ピンポーン。カリフォルニア在住で、父親がミュージシャンだったというボーカル&ギターのベサニーと、マルチ・プレイヤーでややむさ苦しいボブの男女コンビで(現在はドラムスも参加のようだが)、彼女はこれ以前にエクスペリメンタルなサウンドを追究するユニットをやっていた。

このベスト・コーストでは60年代のサーフ&ポップスのエッセンスを自分流にやるようになり昨年のシングル“ホェン・アイム・ウィズ・ユー”が評判になっていたが、期待通りのアルバムだ。過剰なことはせず、自分のナチュラルな感覚に素直に吐きだした曲はどこか懐かしいものばかり。ただしちょっとしたフックやブリッジのセンスは天賦のもので、心を和ませてくれる。60年代のもののようにきっちりと作られているわけじゃないが、その壊れた感じこそ、今の時代を映す鏡というわけで、愛猫スナックスの顔を見ながら聴いていると気分は最高だ。(大鷹俊一)