すべてが変わった

ベスト・コースト『オールウェイズ・トゥモロー』
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ALBUM
ベスト・コースト オールウェイズ・トゥモロー

“きらきら星”などカバーを多く含んだ子ども向け作品『ベスト・キッズ』を一昨年に発表したものの、オリジナル・スタジオ・アルバムとしては5年ぶりの新作となる『オールウェイズ・トゥモロー』。NMEによると、ボーカルのベサニー・コセンティーノは、前作『カリフォルニア・ナイツ』の完成後、音楽が書けなくなったという。その結果、クローゼットに自分を閉じこめ書くことを強制して生まれたのが、新作に収録された“エヴリシング・ハズ・チェンジド”(すべてが変わった)だと語っている。前作には“ホエン・ウィル・アイ・チェンジ”(いつ私は変わるのか)と題した曲があったから、その時が来たということなのかもしれない。

とはいえ、“エヴリシング・ハズ・チェンジド”はパワフルなギター・リフを中心にした曲だし、そのミュージック・ビデオはクイズ番組のパロディになっている。創作に行きづまっていた時期の苦悩がうかがえるような曲ではない。アルバムを通して聴いても、コセンティーノとボブ・ブルーノの男女デュオが作る音楽に劇的な変化が訪れたとは感じない。

「最高の海岸」というバンド名が示す通り、サーフ・ミュージックから出発したベスト・コーストは、キャッチーなメロディとガレージ・サウンドでポップな楽曲を生んできた。そして、今回の新作は、キーボードのアレンジなどで曲の幅がいっそう広がった印象である。ボーカルもより力強く、より柔らかく、表情豊かになっている。音楽に関しては変化というより順当な成長であり、むしろコセンティーノの創作にむかう心の持ちようが変わったのだと思う。ネガティブなものは、クローゼットのなかに置いてきたのだろう。ポジティブな響きにあふれたアルバムだ。(遠藤利明)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』5月号に掲載中です。
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ベスト・コースト オールウェイズ・トゥモロー - 『rockin'on』2020年5月号『rockin'on』2020年5月号
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