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昨年の8月18日に開催されたバンドにとって初となる日比谷野外大音楽堂公演を収録したライブアルバム。全国のジャズクラブを回るツアーの追加公演にしてファイナルであったということで、代表曲を惜しみなく並べたセットリストながら、アコースティックな要素を強調したアレンジにより新鮮に聴くことができる。しかし今さらながら、演奏がいい。濃縮した感傷を解き放つかのような繊細さと豪快さが同居した柏倉隆史のドラム。鋭くも華やかに楽曲を彩る伊澤一葉のキーボード。グルーヴに弾みをもたらす遊び心に富んだmasasucksのギター。多様なサウンドに一本ぶっとい筋を通すウエノコウジのベース。そして、卓越した楽器陣により描き出される精緻な音像にどこまでもエモーショナルに色をつける細美武士のボーカル。それぞれが超個性的かつ凄腕でありながら、奇跡的なバランスの上でバンドとして成立しているのだということが、改めてよくわかる。このアレンジで聴くことによって。記録以上の価値のあるライブ盤だ。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年6月号より)
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