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今年6月に開催された、横浜スタジアムでの初スタジアムワンマン。その1日目のラストにサプライズ披露され、その日の深夜0時に配信リリースされた楽曲。早く聴かせたい新曲を記念すべきスタジアムライブのラストに演奏する。その率直さが愛おしかったし、何より名曲だった。約3万人の観衆を「ひと塊」として見ず、一人ひとりに人生があることを真っ直ぐ見つめた歌。覚悟があるから生み出せるミニマムで繊細なアレンジ。《静かな海》とは、僕ら一人ひとりが立つ場所、尊い孤独のことだ。この曲は、聴いた人一人ひとりの居場所になる。何度でも、ここに帰ってくることができる。そして何度でも、ここから歩き出すことができる。“ヤングアダルト”や“なんでもないよ、”がそうであったように、この“静かな海”もまた、「悲しみ」という時代の共通言語の奥から、生きる力を、希望を、掴み取ろうとする。今、マカロニえんぴつは、かつてなく自覚的に「背負おう」としている──そう感じさせるこの曲の強さが、僕は好きだ。(天野史彬)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年9月号より)
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