ご存知ダイナソーJr.のJ・マスキスが、ソロ・アルバムをリリース。今回は「+ザ・フォグ」が付かない個人名だけのクレジットで、過去に幾つか出ていた完全ソロ名義による作品と同種のアコースティック路線を継承した作風になっている。ただ一方で、それらのアコギ弾き語り作品がライブ音源のものばかりだったことを考えれば、このスタイルを1枚のオリジナル・アルバムとして本格的にスタジオ録音で完成させたのは初めてだと言っていいと思う。
面白いのは、ザ・フォグでは全て独力で演奏していたのに対し、こちらはケヴィン・ドリュー(ブロークン・ソーシャル・シーン)、ベン・バードウェル(バンド・オブ・ホーセズ)、カート・ヴァイルといったゲストが多数参加していること。つまり、ただジャラジャラとギターを弾きながら歌って終わりでは済ませていないのだ。本人以外のギターと歌も違和感なく楽曲に混ざり込んでおり、どのトラックも「まさにJ」という仕上がりだが、左右にパキッと振り分けられたギターや重ねられたコーラス部分は、じっくり聴き込むほど新鮮な響きを放ちはじめる。ジャケットもかわいい。(鈴木喜之)