前作でもビートルズ+ツェッペリン的なソングライティングが冴えてたが今作はさらに磨きがかかり、どの曲も隙がない。ガレージ・パンクが炸裂したり限界の際まで突き進む曲もあるが、正確なハンドリングによってみごとなサウンドの軌跡を描いていく。突進力が詰まった“ブリッジ・バーニング”“ロープ”の導入部から、ひねった隠し味も光るグランジ・ナンバー“ホワイト・リモ”やお得意のアクースティック・ギターをフィーチャーした“ジーズ・デイズ”や、美曲を素直に仕上げた“アイ・シュッド・ハヴ・ノウン”等、どれもいい。そして〈絶対に死にたくないんだ〉の絶叫がこだまする最後のナンバー“ウォーク”で改めてこの新作がニルヴァーナという大きな枷に剣を突き立てる意味もあったことを確認させる。
その説得力の源は曲そのものの良さであり、それを最大限に引き出すスキルをデイヴが完全に身につけているのが素晴らしい。『ネヴァーマインド』から20年後にふさわしい傑作だ。サンキュー、デイヴ。(大鷹俊一)