暴れ馬、無敵の蹄鉄を装着

オッカーヴィル・リヴァー『アイ・アム・ベリー・ファー』
オッカーヴィル・リヴァー アイ・アム・ベリー・ファー
対のコンセプトを持った『ザ・ステージ・ネイムス』(2007年)、『ザ・スタンド・インズ』(2008年)の2年連続リリースから3年、オッカーヴィル・リヴァーの新作は久々に、それこそ『ブラック・シープ・ボーイ』以来となりそうな彼らの歴史の抜本的更新の現場に立ち会う興奮に満ちた一枚だ。オッカーヴィル・リヴァーの代名詞だった肉体性と剥き出しの詩情の更なる鍛錬はもちろんのこと、本作ではプロダクション面において未だかつてない冒険が幾重にも試されている。前作との間にバンド外活動、例えばノラ・ジョーンズやニュー・ポルノグラファーズ、はたまた13thフロア・エレベーターズのロッキー・エリクソンまで、異色の才能と共演を果たしてきた経験を活かした「客観視」の重点強化とでも言うべきか。オーヴァーダブやストリングスの導入によって奥行きを増したサウンドは、ウィル・シェフのパーソナルな私小説をフルスクリーン向けの映像に落とし込んだような飛躍を感じさせる。とは言えオーヴァー・プロデュースとは無縁、ウィルの男臭い泣きのヴォーカルは未だダイレクトに伝わってくるのでご安心を。(粉川しの)
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