音の説得力

COMEBACK MY DAUGHTERS『Outta Here』
2011年07月06日発売
ALBUM
COMEBACK MY DAUGHTERS Outta Here
今年3月、約2週間にわたり、ニューヨークで制作された2年8ヶ月ぶりの4thアルバム。バンドにとって初めての海外レコーディング、初めて昼夜問わずメンバーが一緒にいながらの制作、ベース戸川琢磨が加入して初めての作品と、初めて尽くしのアルバムは一発録り。結果、ものすごく風通しの良い、素晴らしいアルバムになった。冒頭の“Secret Castle”が鳴った瞬間の、ふわっと景色が染まっていくマジック感。始まってすぐに名作の予感が漂う映画のプロローグのようなオープニングのあと、“Why”に突入した時の高揚感と覚醒感。アコギメインのやわらかくフォーキーなサウンドと、郷愁度が増した高本和英の歌が、一枚を通して深く沁みる。

現在興隆のUSインディーシーンとのシンクロも感じるが、そもそもカムバックの場合、メロディメーカーとしての資質がある上に、精神性においての生粋のインディーバンドなのだ。地力のあるバンドが、10年以上の活動を経て、一発録りで密度の高い現場の空気をとじ込めたのだから、音の説得力はとても強大。自然なのが、さらに良い。(小松香里)
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