しばらくニュースも聞かなかった気がするのですっかり忘れていたが、彼らが登場してきた頃のニューヨーク、ブルックリン周辺を中心とした盛り上がりを久しぶりに思い出させてくれるワクワクものだ。その後のシーン全体の成果も大きかったわけだが、彼らはちょっと波をつかみそこなったのかもしれない。しかしこの４年ぶりとなるアルバムは、そんなことは完全に忘れさせるほど骨太なポップ感覚が流れる好アルバムに仕上がっている。シンセがどこか懐かしいポップ・メロディを奏でるなか雄大なうねりを備えたヴォーカルで歌われる曲など、バンドへの認識そのものを変えさせる。
アグレッシヴな欲求をそのまま音化したのが初期だとすれば、キャリアを重ねるうちにもっと音の構成や複合的な狙いを組み立てるおもしろさを意識したのかも知れない。手助けしたのがプロデューサーでモデスト・マウスやザ・ウォークメンを手がけてきたジョン・コングレトンというのもベスト・マッチであったのだろう。滑らかなエレ・ポップ風の曲など、バンドの変化と挑戦がみごとに反映している。ライヴではどんなことになっているのだろう。（大鷹俊一）