ビートこそややレイドバック感が漂うものの、ハード・ロックとヘヴィ・メタルとブルースがずどどどと並走するような迫力といい、フィル・モグの質実剛健そのもののヴォーカリゼーションといい、幾度も解散&再結成を経ながら実に43年に及ぶUFOのオール・キャリアの粋をすべて1ヵ所にジャック・インしたような作品を作ってきたのはさすがとしか言いようがない。そして、何よりヴィニー・ムーアだ。アルバムの幕を開けるM1“ファイト・ナイト”での強烈なリフ・ワーク。M2“ワンダーランド”での性急なビートと競い合うように疾走するギター・ソロ。ヘヴィ・ブルース=M7“スティール・ユアセルフ”で聴かせる粘っこい泣きのソロ・フレーズ……ジャズやフュージョンまで幅広いキャパシティを誇る凄腕ギタリスト=ヴィニーがアンサンブルの中で独走態勢にもならずテクを持て余す器用貧乏状態にも陥らず、むしろ作品を重ねるごとにより強固にUFOの核心とギアを噛ませながらバンド像を更新し続けているのを見ると、実は今こそがUFOヒストリーの中で最も豊潤な実りの季節なのでは?とすら思えてくる。(高橋智樹)