ヴェトナムとジャマイカのルーツを持つコンプトン出身のラッパーで、2作目のALとなる本作はキャッシュ・マネー/ヤング・マネー移籍後初のアルバム。ちなみにデビュー作はパニック!アット・ザ・ディスコやコブラ・スターシップらで知られるDecaydanceから発表していて、パトリック・スタンプが関わるなどもともとクロスオーヴァーな嗜好を打ち出している。新作では以前ほどロック・クロスオーヴァーなところは見られないが、ファレルやリル・ウェイン、クリス・ブラウンにニッキー・ミナージュらが援護するという、主流ど真ん中の作品になった。
ラッパーとしては正直派手さに欠けるものの、タイガはシンガーとしても伸びやかな美声を誇り、何しろ印象深いフックのメロディを残すことの出来るソングライターでもある。客演の華やかさがあるとはいえ、本作の基本トーンを担っているのはタイガ自身のそうした資質と言えるだろう。繊細なエモーションの形を受け止めさせるメロディアスなラップはとても現代的で、ビッグ・ネームたちからも挙って「今のど真ん中はこうである」と担ぎ出されている部分があるのでは。(小池宏和)