ボーダレスな、とろけるソウル

トロ・イ・モワ『エニシング・イン・リターン』
トロ・イ・モワ エニシング・イン・リターン
ウォッシュト・アウトやネオン・インディアンと並びチルウェイヴの先駆者とされるトロ・イ・モワ。1stがリリースされた頃はそれこそチルウェイヴなんてタームは存在すらしていなかったわけだから、トロ・イ・モワことチャズ・バンディックはその後のシーンを創出した張本人だったといえる。そして、生楽器を多用しつつトロ・イ・モワの宅録ワールドを描ききった傑作セカンドを経て、またもや驚きの進化作が届いた。カリフォルニアに拠点を移したというのに納得させられるのが、先行シングル“ソー・メニー・ディティルズ”や“ハイ・リヴィング”といった楽曲の数々。R&Bやヒップホップは元々チャズの原点と呼べる音楽だが、東から西へと移ったことでそうしたインスピレーションがさらに花開いたといえるのではないか。タイラー・ザ・クリエイターとのコラボも意味深いものだったに違いない。アルバムのトータリティとしても申し分のない出来で、序盤のファンクから中盤のジャジー・ブレイクビーツを経て抜群のソウル・ミュージックとしか言いようのない終盤へと結実していく様が見事だ。さらにリスナーを拡大すること必至。(羽鳥麻美)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on