シングル“アルケミスト”、“新世界”を含む、2年3ヶ月ぶりとなるアルバム『新世界』。“アルケミスト”では、《次の世界で》、“新世界”では《今日、世界は生まれ変わる》と歌われてきたように、アルバムを通して同テーマが流れている。イントロ、アウトロ込みの全13曲・13篇の物語が、パラレルを描きながら、ときに交錯する。群像劇のようでもあるけれど、この話のアンサンブルがめでたしめでたしの大団円を迎えるわけじゃない。歌詞のなかで意識的に「会う」ではなく「出会う」「また出会う」という言葉が使われているのに、シンクロニシティを感じることができるし、物事の細く繊細な連なりを思うこともできる。ACIDMANというバンドの核は何ひとつ変わらないことにも気づくアルバムだろう。ただし、歌のもたらす、音楽のもたらす想像力はかつてなく大きく、またとてもエモーショナルだ。坂本龍一氏とのコラボレート曲もあり、試みのあるサウンドで、1曲、1曲、視点をを変えちがった景色を音で紡ぎあげながら、聴き手の五感、六感へと働きかける。意識の種、思考の種になるものがきっとある。(吉羽さおり)