焦点の定まった1stアルバム

THE D.O.T.『ダイアリー』
2013年04月24日発売
ALBUM
THE D.O.T. ダイアリー
去年のフジ・ロックで来日を果たし、結成間もないのに「プレ・デビュー作」という前置きでEP1枚とアルバム1枚をすでに出していたマイク・スキナーとロブ・ハーヴェイのザ・D.O.T。これがデビュー・フル・アルバムということで、ナード&ラッドなふたりの好対照ジャケからしてグッとクリエイティヴの焦点を絞った1枚になった。つまり、歌なのかラップなのか、ロックなのかヒップホップなのか、ふたりの才能がありすぎるゆえの粗製濫造感が少しだけあった「準備期間」を終えて、ユニットとしてのスタンスが定まったのだ。それは、マイクの侘び寂びを活かしたダブ/ヒップホップの上で、ロブが伸び伸びと自分のソウルを歌う、というのが彼らの本流だということである。これは単に個性をぶつけ合うより、かなりプロデューサーとパフォーマーの役割を定めた関係性で、結果的にロブのヴォーカルにマイクのラップがねっとり絡むような当初の期待に沿うものは全然ない。しかし、〝メイカーズ・マーク〟のように、ストリーツ節そのものな渋く胸にしみるメロディとロブの強烈な声が融合するときの快感は、えも言われぬものだ。(松村耕太朗)
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