動と混沌のストーリーテラー見参

THE ORAL CIGARETTES『オレンジの抜け殻、私が生きたアイの証』
発売中
MINI ALBUM
THE ORAL CIGARETTES オレンジの抜け殻、私が生きたアイの証
緻密なギター・プレイを焦燥の果てへ押し流すようなビート感とともに《ハウリングの感触を/切り腐った感覚を/ハウリングの感触を/まだ知らない存在感を》という山中拓也(Vo・G)の歌がスリリングに響く“Mr.ファントム”1曲だけでも、「MASH A&Rオーディション」第一回グランプリを獲得した奈良発の4ピース=THE ORAL CIGARETTESのロック・バンドとしてのダイナミズムは十二分に窺える。が、たとえば疾走ナンバー“mist...”のひと癖もふた癖もありまくりのメロディとフレーズが聴く者の視界をぐにゃりと歪めてみせる瞬間といい、ユーモラスで不穏なアレンジが日常の物語を非日常へと塗り替える“瓢箪山の駅員さん”といい、彼らの初全国流通盤となる1stミニアルバムの今作には、カオスも葛藤も鮮烈な歌と音に変換してみせる異能の才気がぎっしり凝縮されている。そして、ありったけのルサンチマンと衝動と闘志が激しく渦を巻く“机上の空論に意味を為す”が、バンドマンとして/アーティストとしての存在証明のように高らかに突き上がる。「その先」の風景が今から楽しみで仕方がない。(高橋智樹)
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