ディスメン帰還

ザ・ディスメンバーメント・プラン『アンキャニー・ヴァリー』
2013年11月20日発売
ALBUM
ワシントンD.C.のポスト・ハードコア勢において、実験性とポップさを融合する独自のセンスで際立った存在感を見せつけ、1999年に発表した『エマージェンシー&アイ』が高く評価された(※ピッチフォークでは10点満点)ディスメンバーメント・プラン。2003年にあっけなく解散してしまうものの、2010年になって『エマージェンシー?』のリイシューに合わせて活動を再開し、翌年には早々に再来日公演も実現させた。そして、いよいよ完成したニュー・アルバムがこれだ。

解散前のラスト作『チェンジ』の時からすでに表れ始めていた変化だが、彼らの音楽を特徴づけていた、カクカクとせわしない変拍子を強調する感じはだいぶ落ち着いてきて、リード・トラックの〝ダディ・ワズ・ア・リアル・グッド・ダンサー?を筆頭に、さっと聴いた第一印象は非常にスムーズ。そして、交流の深いデス・キャブ・フォー・キューティーにも通じる叙情性が強調されてきたことで、トラヴィス・モリソンの声質のよさとシンガーとしての才能が、いっそう伝わってくるようにも感じられた。この秋、じっくりと聴き込んで味わってほしい1枚。(鈴木喜之)