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名曲に名曲を塗り重ねるような奇跡的な時間を体現してきたシャイトープの2024年を締め括るのは、《一万回出逢ったって／きっと一万回恋をする》というフレーズが聴く者の奥底のセンチメントと共鳴する珠玉のラブソング。これ以上ないほど歌に寄り添い、シンプルに研ぎ澄まされたバンドアンサンブルが、シャイトープにとって初となるストリングスアレンジの流麗な響きと重なり合って、佐々木想の歌声とメロディのポテンシャルを無限大に解き放っていく。《時に思うんだ 僕の存在が／鋭いナイフみたいになってるんじゃないかって》……内省と自己批評が深くシビアであればあるほど、ラブソングはその包容力を増す、という象徴のようなこの楽曲の密度は、続く《どうしようもないな だけど君はいつも／僕の左手を 強く 強く握るんだ》のラインをきっかけになおもドラマチックに高まっていく――。ロックシーンの王道に躍り出ることを心の底から祈念しているバンドにしか描き出せない、切実な旋律の美学がここにある。（高橋智樹）（『ROCKIN'ON JAPAN』2025年2月号より）
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