avengers in sci-fi ツアー目前! 傑作ニューアルバム『Dune』を解剖する

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4月20日にリリースされたavengers in sci-fiの6thアルバム『Dune』。アベンズの音楽的冒険心とロックへの信念の極致で生まれたこの傑作は、現代のシーン、さらには世界そのものとそこに生きる人間に向けてシリアスなメッセージを投げかける。彼らがこのアルバムに込めたものとは? この特集では木幡太郎(G・Vo・Syn)のセルフライナーノーツ、アルバム収録曲”Still In A Dream”にゲストボーカルとして参加したタカハシマイ(Czecho No Republic)のコメント、そして『Dune』の徹底レビューでこのアルバムを改めて読み解く。これを読んで、6月から始まるツアーに備えてほしい。

セルフライナーノーツ=木幡太郎   コメント=タカハシマイ   レビュー=高橋智樹

『Dune』トレーラー

木幡太郎による『Dune』セルフライナーノーツ

Departure

ユーリ・ガガーリンの有人宇宙飛行から半世紀、ロケットはミサイルに姿を変えて今日も立派に人をぶっ殺してますよという曲。
インターネットにGPS、戦争をきっかけにして発明され、また発展した技術は枚挙にいとまがない。急速なテクノロジーの進歩、ひいては文明が「殺し」と不可分の関係だと考えると所詮人間の本質は獣なんですね。
The Chemical BrothersがAt The Drive-Inをフィーチャーしたら?というイメージで作った。

Dune

どんな悲惨なニュースもメディアに踊った瞬間現実味を失ってしまって対岸の火事として、酷いときにはエンターテインメントのごとく扱われていると感じる事は多い。内戦に、テロ、災害。世界中のニュースに対して匿名の罵詈雑言が浴びせられる現代。本当に酷い。
湾岸戦争、9.11 、震災などそういった悲惨極まりない出来事にかつての自分はどんな視点で対峙していたのかといったことも考えながら書いた。
Nirvana,My Bloody Valentine,Beastie Boys,Rage Against The Machineあたりをごちゃまぜにしつつ90年代オルタナ/グランジの単純なリバイバルにならないように2000年代を通過した上でのロックにしたかった。ということでサビはエレポップ風。3番サビの煽り感に至ってはEDM風(笑)。そもそもサイドチェインで裏拍を強調したシンセともろグランジなリフが4つ打ちのリズムの中に共存している状態のこのイントロからしてなにげに新しいと思う。

Vapor Trail

NirvanaとかNumber Girlを意識したとか言いつつ、何故か一時期のSquarepusherみたいなシンセリフとヴォコーダーで始まるめちゃくちゃな曲。
でもそのありえない融合がまたSF的であるとも思う。
アルバム完成後に見たSTAR WARSの新作にあった砂丘に座るレイの遥か背後でシャトルが軌跡を残しながら宇宙へ打ち上がっていくシーン。これが偶然にもこの曲の詩の世界そのものだった。

New Century

この曲のイメージは、大切なものを亡くした喪失感、文明が荒廃した未来に生きる少女、インターネットに繋がれて「友人のようなもの」と会話する現代人。
世界は一つになったとかまるで世界が幸福であると錯覚させる言葉が世の中には溢れているがそんなものはまやかしだということ。

No Pain, No Youth

俺は過去は振り返らない。ニヒルなわけじゃなくて今までやらかして来た事がイタ過ぎて正視に耐えないからだ。
テクノロジーに翻弄される現代人のイタみと、誰しも一度は経験する(?)シラフではいられない季節の歌。孤独を紛らわすために朝までイタいダンスを踊るのだ。

Still In A Dream

友情とか仲間とか絆とかくそくらえ。究極的には利害関係に基づいたものでしかない。とか割り切りつつもいざ裏切られると、帰り道で毎日出会う野良猫が友達みたいに思えてしまう人向け。
Janet JacksonとPassion PitとThe Smashing Pumpkinsを合わせた感じのめちゃくちゃな曲(笑)。

E Z Funk

「Tokyo Techtonix」の親族。墓場から誰かが「ポウッ」って言いながら飛び出してきそうな感じ。
イカれていようが、イカれていまいがどっちでもいいよという歌。

1994

ロックを聴き始めた頃の自分に語りかける感じ。学校で机に伏せて寝たフリしながらウォークマンとか聴いてる時代感。
今作で一番ストレートに90年代グランジな曲だがAメロがシューゲイザーぽいのとBメロでTB-303やらボンゴでアシッド感というかマンチェ感というかを出してるのが変わってるところ。
グランジっぽいドライさを保ちつつポップにするのは本当に難しい。そういう部分でサビのコード進行は凄く悩んだ。ちょっとスタジアムっぽさとSky Ferreilaぽさもあるかなとは思う。

The World Is Mine

世界の紛争、内戦に対する先進国の武力介入についての歌。
民主主義でこそ世界は治められるべきだ。という欧米諸国(特にアメリカ)の発想がむしろ帝国主義的に思えてしまう。
ブルース、カントリー、フォークといったオーガニックな要素にヴォコーダー/オートチューンのようなロボティックな要素をミックスするのは前作からの引き続きやっていること。

Stranger

人間関係って雨宿りみたいなもんだと思うのは心が歪んでいるんだろうか。ひととき傘を共にして雨が止んだらさようなら。思い返せばたくさんの人が現れては消えて行ったなぁと思う。

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