来日決定!進化したフィーダーに迫る、新作『オール・ブライト・エレクトリック』とバンドの歴史

フィーダー

フィーダーが実に4年ぶりとなる新作、『オール・ブライト・エレクトリック』を9月21日にリリースする。本作は久々にフィーダーというホームに立ち返った彼らが自分たちを再発見していった集大成の一枚であり、同時にグラント・ニコラス(Vo&G)はソロ、タカ・ヒロセ(B)はLUNA SEAのINORANらと結成した「Muddy Apes」での活動と、この4年間にそれぞれが別のフィールドで培った経験を反映し、取り込んだ、これまでにないほどフォーキーでオーガニックな感触を感じられる一枚でもある。来年20周年の節目を迎えるフィーダーにとって、この『オール・ブライト・エレクトリック』は過去と未来をブリッジしていく節目のアルバムになるだろうし、UKシーンにあって他に並び立つ者がいないラウド・ギターの独自の歴史を刻んできた彼らの不変の本質を改めて垣間見ることができる一枚でもある。グラントに話を訊いた。

インタビュー:粉川しの/通訳:中村明子

「初期のブラック・サバスとかレッド・ツェッペリンとか、そういう雰囲気を少し出したいというのはあった」

──ニュー・アルバム『オール・ブライト・エレクトリック』は前作『ジェネレイション・フリークショウ』から4年の歳月を必要としたアルバムで、フィーダー史上最もブランクが空いた作品でもありますよね。その間には、今話に出たように、あなたやタカのソロ&別プロジェクトがあったわけですが。

「と言っても、それほど間をあけるつもりはなかったんだよね。僕は常にフィーダーに100%の力を注ぎたいと思ってきて、何か頼まれたりしても、こっちに集中したいからって断ったりしてて。でもタカがサイド・プロジェクトをやる今なら、ソロをやるにはいいタイミングかもしれないと思ったんだ。元々は、ただちょっと1人でゆっくりしながら次の一歩について考えようと思っててさ。それで、他の人の曲を書いてくれってずっと頼まれてたから、この機会にやってみようと思って、曲を書き始めたら結構のめりこんじゃって、人のために書いた曲を手放したくなくなって(笑)。自分用にとっておきたいと思って、それがソロ・アルバムに発展したわけ。だから燃えたぎるような情熱から始まったものではなく、成り行きで生まれたものだったんだよ。でもおかげでプレッシャーを感じることもなく、急ぐ必要もなく、自分のペースで作ったから楽しくてさ。しかもソロがUKで結構うまくいって、ミニ・アルバムまで作ることになったから、それで4年経っちゃったんだ」

──『オール・ブライト・エレクトリック』は非常に生っぽくダイレクトなアルバムだと思うんですが、『ジェネレイション・フリークショウ』と比較した場合、本作でより突出している部分はなんだと思いますか?

「うん、こっちの方が音がずっとオーガニックだと思う。音の広がりがあるし、温かみがあるというか。ギターにしても、ヘヴィだけど攻撃的ではないというかね。ヴォーカルがこれまでよりも前に出てくる感じになってる。歌い方も少し違うかな。何と言うか、いつもより少しソウルフルかもしれない。叫ぶように歌うんじゃなくて、パワフルだけどベタなロックっぽさはないというか(笑)。ソロのやり方を取り入れて、パワフルだけどこれまでとは少し違うというような声の使い方をしてみたかったんだ」

──本作も前作同様にセルフ・プロデュースだったと聞いていますが、ソングライターでありプロデューサーでもある視点から、あなたは本作でフィーダーのどんな部分をより強く引き出そうと意図していたと言えますか?

「自分が好きな70年代のレコード的な感触のサウンドにしたいと思ってたんだ。70年代の録音はすごくいい。録音技術が今とは違って、初期のブラック・サバスとかフリートウッド・マックとかレッド・ツェッペリンとか、とにかくかっこいい、アナログでさ。だからそういう雰囲気を少し出したいというのはあって、それをPro Toolsを使った現代的なレコーディング手法に取り入れようとしたんだ。結構レトロな楽器も使ってるんだよね。ウーリッツァーとかハモンドオルガンとかローズ・ピアノとか。ただ別に70年代をそのまま再現したかったわけじゃなくて、レトロな響きがありつつも、あくまで今の音を目指してた」

“Universe Of Life”

──フィーダーは90年代から一貫してラウドなギター・ロックにこだわり続けてきたバンドですよね。こと英国においてはギター・バンドの永続的活動が難しいという状況が長らく続いているわけですが、そういった中で、オーセンティックなギター・バンドであるフィーダーは今後どういう存在であり続けたいと考えていますか?

「やっぱり、これだけ長いキャリアがあるから、おそらく少しは若いバンドに影響を与えてるんじゃないかと思うんだよね。というか、そういう存在でありたいとは思う。音楽を長く続けることは可能なんだっていうのを示すというか。これまで一緒に仕事をしてきた人達、たとえばプロデューサーやエンジニアにしても、彼らが手掛けたバンドが『ギターの音はあんな感じにしてほしい』と言ってフィーダーの名前が挙がることがあるんだ。だから実際少しは影響があるんじゃないかと思う。でもそれは他の長くやってるバンドも一緒で、たとえば日本でもASIAN KUNG-FU GENERATIONだったりthe HIATUSだったり、彼らだって若いバンドに影響を与えてると思うしさ。実際彼らとは似てる気がするというか、ファン層も近いものがあるんじゃないかな。別に自信たっぷりに、自分達は若いバンドに影響を与えてるとは言い切れないけど、多少はロールモデルになれてるんじゃないかな。少なくともまだ現役だし(笑)」

“Eskimo”

──デビュー・アルバム『ポリシーン』のリリースから来年で20周年になりますよね。この区切りを意識したりしますか?

「もちろん来年になれば意識はすると思うよ。やっぱり20周年ていうのはひとつの達成だからね。まあだからもしかしたら何かやるかもしれない。まだ具体的には全然考えてないけど、とりあえず今年はUKツアーがあって、ごく小さいショウが11月に日本であるんだけど、来年改めて日本ツアーをやりたいと思ってるし、もし可能であればフジロックに出たいね(笑)。とりあえず出られるように頑張ってみる。フジロックは世界一好きなフェスティバルだからさ。本当に、フジロックが大好きなんだ! あとは……再発盤とかリミックスとか、『ポリシーン』に関連した何かをやるっていうのもいいかもしれない、まだ全然決まってないけどね」

提供:JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント

企画・制作:RO69編集部

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