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この曲がその人の役に立つんだったら、それが一番なんだと思います。その人達が笑える手助けになればいいかな
――じゃあ、もうちょっと話をして2年分くらいまで行きましょう。"YODACA"を聴いても、いろんなことを考えましたよ。鳥って生きるってことに対して迷いがないんだよなあと。目一杯に命を燃やす生き方って、案外人間って不得手なのかもしれないとか。そんなことを思いました。

大須賀 作った当時、「どういう曲を作るか?」っていうことに関して考えこんでしまっていて。歩道橋みたいなところでボーッとしていたら鳥が飛んだんですよ。それを見ていたら、「この生き物は何も考えずに『飛ぶ』『生きる』っていうことを受け入れているんだな」と。それを思ったら、考えこんでいた自分って何なんだろうなと。「今、生きなくてどうするんだよ。今、こうやって曲を書いて聴いてもらえる状況があるんだったら、もう、あとはいいもの作るしかないじゃない。だって作りたいんだから」と思ったんです。
――"透明な獣"もハッとさせられるものがありました。「時間」という姿形は見えないものを「獣」に喩えた曲ですね。
大須賀 こうしている内にも僕はカウントダウンというか、終わりに向っている。だったら今いるこの空間って何なんだろうなと。見えていないけど何かがいることも感じていて。そういうものの醸し出す雰囲気とか匂いが世の中を動かしているのであれば、それってとても強大なもの。立ち向かう術はない。「だったらその獣に喰われる前にどういう風にあがいてやろうかな、何を分捕ってやろうかな」と。そう思って作った曲ですね。
――あと、"ATTACK"と"生きる言霊"に関しては、音楽や言葉が紛れもなく持っている何らかの力を描いた曲として受け止めたんですけど。
大須賀 特に"ATTACK"は言いたいことしか言っていないですね。「だってこうじゃん」っていう。だって言いたくなっちゃったから(笑)。ロックミュージシャンって「かっこいい」っていうようなイメージもあるのかもしれないですけど、果たして僕はそうなりたいのかと言えばそうでもなくて。それよりも人間くささみたいなことが大事なのかなと。少なくともこのふたり(川田と岡田)は人情味溢れる人達ですし。そういう人間性が少しでも曲の中に入ってくれればいいなと思っています。
――なるほど。
大須賀 今、「ロックミュージシャンってかっこいい」って言いましたけど……かっこよさかあ。男気ねえからなあ、ウチのバンド(笑)。日頃は何も言わないのにお酒を飲むと「お前はそれでいいんだよ」ってすごく励ましてくれて。だけど最後は「でもお前はここがさあ!」ってなったりする人達ですからね(笑)。
岡田 それ、僕ですねえ。
川田 酔うと説教が(笑)。
大須賀 とはいえ、悩んでるんだろうなと察してくれたら、メールでちょこっと短い文章をくれる時があって。「ああ、見ててくれるんだなあ」っていうのは嬉しいです。
岡田 まあ、「脱け出せない」っていう雰囲気になることがあるので、少しでも楽になってくれればいいなと、そういうメールを送ったことはありました。
――川田さんに関する人情噺は何か?
川田 えっ! 何かあるかなあ? ……。
大須賀 こういうのに応えられるようにならないと(笑)。
川田 じゃあ、飲み会でよく話すやつを。僕はビールが苦手なんです。でも、親戚の人と飲む機会があったんです。そこのお姉ちゃんが結婚するとかいう話を皆がしていて。そこで「勤くんは草食系っぽいね」って言われたら僕の弟が「草食系というより草だよ」と。で、その日からビールを飲めるようになったんです。
――そのエピソード、ブログに書いていましたよね。それがとっておきの話?
川田 はい。ダメだったみたいですね(笑)。
――「草」と言われるのと、ビールが飲めるようになる変化の間の繋がりが謎(笑)。
川田 「男子」でさえないと言われたのがショックというか……でも、面白いことを言うなあと。僕、弟が大好きなんで。
岡田 まとまらないなあ(笑)。
大須賀 まあ、今のこの感じをまとめるならば……めんどくさいやつらです(笑)。
――(笑)僕もこのインタヴューをまとめるならば、こういうグダグダでめんどくさくて、意外な音楽の背景も持っている人達が、すごく歌モノとしても心地よい曲をやっているのがMississippi Duck Festivalの面白さなんだと思います。
大須賀 良かったです(笑)。なんか今日、助けられてるねえ?
岡田 今頂いた言葉に、かなり(笑)。
――川田さんは、何か今回のアルバムに関して改めて思うことは?
川田 ……さっきの発言のミスから未だ抜け切れていないんですが(笑)。
――「インタヴューという有限の時間の中で、何ということをしてしまったのだ!」と?
大須賀 今まさに有限を味わっているということだね(笑)。
川田 うん(笑)。
岡田 現在進行形(笑)。
――(笑)今回、全国流通盤としては第2作目ですけど、ここからさらにたくさんの人と出会っていきたいという想いは強いんじゃないですか?
大須賀 元々、自分達から発信するっていうことがなかったし、「聴いてくれる人が聴いてくれればいい」とか「それが救いになる人にとって救いになればいい」っていうことしか考えていなかったんです。実際聴いてもらえているくせに、「聴いてもらえてないだろうなあ」って思っていた時期もあったんですよ。でも、ほんとに聴いてくれる人がいるんだって知った時、やっぱり嬉しくて……。だけど、「聴いてくれる人がひとりでもふたりでも」っていうことよりも、この曲がその人の役に立つんだったら、それが一番なんだと思います。その人達が笑える手助けになればいいかなと。
――バンドのこの先の活動に関してはどんなことを考えていますか?
大須賀 作りたいものはいっぱいあって。でも、それは伝わりにくいものなんだろうなっていうのも理解しているんです。だったらそれを伝えられるところまでは行きたいです。そしてそれが伝わったら、もっと未だ見ぬものを見てみたい。だって、今知っていることなんてたかが知れているので。もっともっと面白いものに出会ってみたいですね。
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企画・制作:RO69編集部
