プログレッシヴなのにポップ!? ピアノトリオ・ Qaijffが解き放つ「希望の歌」とは?(2)
音楽っていう趣味を持っていたから、それに助けられたっていうのもありました(内田)
──続いて5曲目“ソングフォーミー”はスローな美しいピアノ曲。森さんのヴォーカルの切なさが際立っていて。
森 この曲は、エンジニアさんの案もあって、ちょっと変わった録り方をしたんです。この曲だけは、他の曲とは雰囲気が違うので、レコーディング用のマイクではなく、ライヴで使うようなマイクをハンドマイクにして、暗くした部屋で座って歌いました。2テイクくらい歌って、これでOK!って。ほとんど一発録りみたいな雰囲気で。
──それで、次が“グッドナイター”という、内田さん作のとても小気味良いポップミュージック。ライヴで盛り上がりそうな。
森 ライヴでどんな感じになっていくのか楽しみですね。《グッドナイター》のところでループしたり、キャッチーな曲だから、お客さんも盛り上がれる曲だと思います。
──《グッドナイター》っていう言葉はダブルミーニングになっていて、この曲の歌詞は別れの寂しさも感じさせます。この歌詞はどんな気持ちから生まれたんでしょう。
内田 僕のおじいちゃんが亡くなって、おばあちゃんがひとりになってしまった時に、そのおばあちゃんが「夢の中でも逢えたらな」って呟いたのが忘れられなくて。そういうストーリーが頭にあって、《グッドナイター》っていう言葉が浮かんできたんです。もし自分が亡くなったおじいちゃんだったとしたら、おばあちゃんに何て言うかなって考えた時に、「いなくなって寂しいと悲しむより、1日でもいい夜を過ごしてほしいな」って思うんじゃないかなと。
──そして、アルバムラストの“Don’t Stop The Music”は、名古屋グランパスのオフィシャルサポートソングに起用されている曲。みなさん名古屋出身ということで、やはりもともとグランパスを応援していた?
内田 実は、そもそも僕はグランパスユースに所属してサッカーをやってたんです。なので、僕に限ってはファンとかサポーターとかいうよりも……。
──関係者に近い存在なんですね。何歳からプレイしてたんですか?
内田 小学6年生から6年間。中学2年までは、自分は世界で一番上手くなるだろうって思ってました(笑)。
──それが、音楽のほうに興味が向いてきてしまった?
内田 それもありますけど、高校生になると県外からも上手いヤツがいっぱい入ってくるし、なんか、アレ? 世界一は無理だな、日本一でもねえな、愛知県の中でもたいしたことねえなって、だんだん思い始めて。そんななかで音楽っていう趣味を持っていたから、それに助けられたっていうのもありました。
森 サッカーと音楽の比率が変わっていったんだね。
──それが年月を経て、クラブとまた違った形でジョインしたというのは感慨深いですね。サポーターの皆さんの反応はいかがですか?
内田 すごくいいよね。
三輪 うん。ライヴにもサポーターの方が来てくれるようになったり。
森 あと、この曲に関して個人的にどうしても語りたいことがあるんです。この曲は最後、ピアノだけでジャーーーーーンって終わるんですけど、私、ビートルズの“A Day In The Life”っていう曲が、大大大大大好きで、その曲の終わりが生ピアノでジャーーーーーーーーーーン!って、ものすごく長く引っ張るんですよ。これをいつか私は何かの曲でやりたいって、ずっと思っていたんです。なので、今回この曲でやっちゃおう!って。やらせていただいて、ありがとうございます(笑)。
内田 この曲に対して間違ったエンディングじゃないし、むしろかっこいいじゃんって思ったからね。
森 でも、さすがに最初はちょっと長すぎたよね(笑)。
内田 まあねえ(笑)。ラジオとかで流れる時には確実にカットされるくらい長かったから。
今回のミニアルバムは、歌も大事にしているし、アレンジ面でもすごくいいバランスでできた(三輪)
──森さんはもともと音大のクラシックピアノ科に進んだんですよね。ポピュラーミュージックのフィールドで活動したいという思いはいつ頃から?
森 高校3年生の時に、あるアーティストさんに憧れたのがきっかけでバンドやりたいって思ったんです。
──誰に憧れたんですか?
森 黒夢の清春さんです。高校3年生の時にたまたま見たテレビに清春さんが出ていて、それからすごいファンになってしまって。私も自分で曲を作って歌いたいと思ったんです。だから、バンドを組みたいっていうか、自分で歌いたいっていう気持ちのほうが強かったですね。ピアノは幼少の頃からやっていたので、音大に進むことはもう決まっていたんですけど。音大でもかなり浮いてたんじゃないかと思います。その頃にはもうギターヴォーカルでバンドをやっていたし。でも、今となってはピアノを弾いて歌っているわけだから、大学に行ってよかったなと思っています。
──内田さんがバンドをやりたいと思うようになったきっかけは?
内田 中1の時に2歳年上の兄ちゃんが、Rancidとか聴いてて。兄ちゃんの友だちが文化祭でコピーしてるのを見てカッコいいなと思ったんです。あと、THE BLUE HEARTSも大好きでした。それが入口で、どんどんいろんな音楽を聴くようになっていきました。
──三輪さんは?
三輪 僕は小学6年生の時からドラムを始めて、その時は特に好きなバンドとかはなかった気がするんですけど……あ、でも、小学校3年生の時にSystem Of A Downっていうバンドを聴いて。
──小3でSystem Of A Down!?
三輪 DVDでたまたま見て、すげえって思ってCDを聴きました。それ以外の曲はあんまり聴いてなかったですね当時は。そこからあとは、LINKIN PARKとかLimp Bizkitとかのヘヴィロックを聴いたり、高校に入ってからは年上の人たちとパンキッシュな音楽をやるようになっていきました。
──Qaijffの演奏や、森さんのヴォーカルには「ロック」を感じる瞬間がかなりあって、ポップでキャッチーなのにプログレッシヴという、1曲の中ででも多様性を感じる理由は、それぞれの音楽遍歴にも秘密があったんですね。とても興味深いです。今作も、聴き込むほどに新たな気づきや魅力を発見するし。
三輪 今回のミニアルバムは、すごくいいバランスでできたなって思っています。歌も大事にしているし、アレンジ面でもすごくいい感じに仕上がったと思うので、これを聴いて、ライヴで僕らに会いに来てくれる人が増えたら嬉しいです。
森 私たちに興味を持ってもらえたら、YouTubeでも何でもいいので、まず音を聴いてみてほしいです。今回のミニアルバムにしても、一度聴いてもらえたら何か届くものが作れたと思っているので、ひとりでも多くの人に聴いてもらいたいですね。
内田 J-POPとか邦ロックとかっていうシーンで、僕らみたいな音楽性でピアノで3ピースバンドをやってるのって多くないと思うんですよ。今回のアルバムは自分らのやりたいことは変えずに、いろんな人に届くアルバムになってると思うし、たくさんの人にこの作品が届けば、大きなシーンに楔を打つことができるっていうか、俺らが結果を出すことによってシーンを変えられるんじゃないかって思っているので、ぜひ多くの人に聴いてほしいです。