3年ぶりのアルバム『Honesty』、
主催フェスへの思い--SHANKの現在地に迫る
昨年末のCOUNTDOWN JAPAN 16/17の熱演も記憶に新しい、長崎の3ピースバンド・SHANKが約3年ぶりのフルアルバム『Honesty』を1月18日にリリースした。『正直』というタイトルのままに、今の彼らをそのままパッケージしたかような仕上がりだ。メロディックパンク、スカ、レゲエ、グランジ、そしてザ・ビートルズのカバーまで。3ピースというシンプルなスタイルで、起伏ある流れを表現しているところからは、熱いライブバンドという彼らの魅力以上のスキルを感じさせられる。長崎でイベント「BLAZE UP NAGASAKI」を主催するなど、今やシーンを引っ張る活躍を見せるバンドを代表して庵原将平(Vo・B)に話を訊いた。
諦めというか(笑)、ほんとに自然体でやれるようになってきたと思う
――余談から始めますけど、アー写がとても気になって(笑)。
「これはギターの結婚式の写真です」
スタッフ「新郎退場で、SHANKで退場します、っていう時のです」
「アー写は前回もパンダの乗り物に乗ったり、ずっとふざけてたんですけど、することがなくなってきて(笑)」
――そしてプライベートもさらしたっていう(笑)。
「はい(笑)」
――この写真もそうですけど、新しいアルバムも、SHANKの人柄、バンド柄が滲み出ていて。タイトルの『Honesty』もSHANKそのものというか。これはアルバムが完成してから付けたんですか?
「“Honesty”っていう曲は先に作っていて。響きが好きだったので。意味もですけど、『正直』っていう。だからそのままアルバムタイトルにも使おうと」
――”Honesty“はアルバムの中でもハイライトっていう意識がありますが?
「そうですね。最後にできた曲なんですけど。これでなんとか締まったかな、だからアルバムタイトルもこれにしよう、っていう」
――フルアルバムとしては3年ぶりで、時間をかけて作られた印象もありますけど。
「そうですね、できなかったっすね(笑)」
――素直すぎる! それはライブとか、ほかの活動が忙しかったから?
「いや、ずっとライブしながら制作するスタンスだったんで、何も変わってないんですけど。今回は制作の期間を意識してやってはみたんですけど、結果やっぱ追い詰められて。レコーディング近くなってこないと出てこなかったりして、あんま変わらないな、っていう」
――そうですか。期間を取ろうと思ったのは、スケジュールを決めないとやらないから?
「というより、新しくレーベルを立ち上げて、レーベルの人とも話して、やっぱ納得いくものができるまでアルバムは出さなくていいよねって。そのへんは甘えさせてもらって、なんとか納得いく形になったので今回は出そうかなって」
――コンスタントにリリースしていくことを目標とするよりは……。
「アルバムという形としてできあがって納得いったら出そう、っていう」
――その言葉が納得できる、実の詰まった一枚になっていると思います。音楽性も自由だし。「これが自分たち」って決め付けていない感じがするというか。
「そうですね」
――やっぱり最初は追いかける先輩バンドの影響も大きかっただろうし、こうしなきゃいけないっていうロールモデルがあったと思うんですけど、そこから時間をかけて解き放たれていった結果なのかなって。
「そうですね、諦めというか(笑)」
――諦め!?(笑)。自分らはこうしかできないっていう?
「ほんとに、最近は自然体でやれるようにはなってきたなと思います」
「BLAZE UP NAGASAKI」がバンドを続ける理由になっている
――地元長崎でのイベント「BLAZE UP NAGASAKI」も、主催するのはすごく大変だと思うんですよ。でも、端々にメンバーの人柄が出ているイベントになっていて。
「あのイベントに関しては、僕は楽しそうだからやろうぜ!って言っているだけで。地元でバンドやってる子らがボランティアで手伝ってくれたりしてて成り立ってるんですけど、ほんと申し訳ない(笑)」
――じゃあ、ほんと遊び心そのものというか。俺らの地元にこんなバンド来たら面白くない?っていう。
「ほんと、そういう感じです」
――あのイベントを始めたことで、バンドのスタンスや考え方が変わったところ、固まったところはありますか?
「んー、もう5回くらいやってて。今は野外でやってますけど、ホールからはじめて、ライブハウスでやった年もあって。年々続けていけばいくほど、思ってるより楽しみにしてくれる人たちが沢山いるなってことを実感して。1年だけやらなかったことがあるんですけど、それは自分らの勝手な都合というか、まあツアーとかで忙しくて(笑)。そうしたら、なんでやんないんだよって言ってくれる人がいて。あのイベントが、バンドを続ける理由にもなっていると思います。SHANKっていうバンドが終わっても、誰かがこのイベントは受け継いでくれるだろうっていうか、それくらい、俺らだけの力じゃなんともなんない。でも、じゃあ誰がやるんだよって話になりますけど(笑)。まあ、意識変わったっていうよりは、楽しみにしてくれる人がいるんだなっていうことに気づかされたっていうか。年々そういう人が増えてるんで。やっていきたいな、続けていきたいなとは思います」
――俺らの地元にこんなに人が来てくれるんだなって、それだけでありがたいですよね。
「でも、長崎ってやっぱり僻地だなって思い知らされました。田舎の中でも田舎のほうでやってるんで。西の果ての港町で」
――すごく綺麗な場所ですよね。
「場所自体は綺麗なんですけど、交通の便はよくないし、山登らないといけないし。まあ、そういうところにも面白味はあるかなって」
――わざわざそこに行く価値はあると。
「わざわざそこでやる必要があるか!?っていう(笑)。でも、来たら楽しいと思うんですけどね」
――そこは長崎に対する思い入れもあるんですか?
「生まれ育ったっていうだけなんですけど、基本的には。まあ、好きですね。自分らが思ってる以上に、周りから、長崎を背負って頑張ってるよね!って言われて、『ああ、ありがとうございます』っていう(笑)」
――そこまで気負ってはないと。
「そうなんです。まあ、自分らの街でお祭りがあればいいなっていう」