11作目のシングル『ひまわりコンテスト』と、2021年11月14日に行った大阪城ホールワンマンをすべて収めた映像作品『Tank-top of the DVD SPECIAL -OSAKA-JO HALL-』を、2022年6月29日(水)にリリースするヤバイTシャツ屋さん。そのシングルのリード曲である“ちらばれ!サマーピーポー”は、2022年5月に出演したフェス5本のうちの1本目で初披露、その翌日の5月4日から先行配信がスタート。以降に出演した4本でもプレイしている。この新作について、そして今のバンドの状態について(フィジカル面もメンタルも含む)、6月30日(木)発売の『ROCKIN’ON JAPAN』8月号のインタビューで、3人に話してもらった。そしたら誌面には到底入り切らないが、「おもしろい」、「しょうもない」、「シリアス」など、いろんな意味で捨てるにはもったいない話も大量に出たので、ウェブで誌面では読めない話も公開することにしました。
インタビュー=兵庫慎司
(フェスで)初披露してもなんとかなるパワーがある、という安心感が曲にありましたね(こやま)
── “ちらばれ!サマーピーポー”ですが、新曲をリリースする前から、こんなにライブでやってるのってめずらしいですよね。こやまたくや(G・Vo) 久々っすよね。
もりもりもと(Dr・Cho) メジャーデビューしてからは、ほとんどしてないんじゃないですか?
しばたありぼぼ(B・Vo) 初披露がライブっていうのはね。フェスでやってから、配信しました。
こやま ちょうど春フェスシーズンと配信の時期を、かぶせることができたんで。がっつり全ヶ所でやっていこう、っていうのと、やっぱり、ライブで初披露するっていうのもね、バンドならではの醍醐味なんじゃないかな、って。もともとはそうやったじゃないですか。結成した時とかって、CDに入れる前にライブでやって、っていうのが普通やったわけですから。普通のことをしただけです。(もりもとに)違いますか? どう思います?
もりもと いや、めっちゃワクワクしましたね。誰も曲を知らない状況でやってみて、お客さんは混乱するとは思いますが、そのリアクションも楽しめたのも、久しぶりでしたね。
こやま あと単純に、初披露してもなんとかなるようなパワーがある、という安心感がありましたね。曲にね。
しばた 自信があったよな。
もりもと 春フェスがこれだけ帰ってきた、というお祝いの気持ちもこめて。
──僕は「OTODAMA’22」の3日目(5月8日)で観たんですけど。あの、“癒着☆NIGHT”をやる時に、こやまさんが「新曲!」って言うのは、なんなんですか?
こやま (笑)最新アルバムの曲なんで、はい。
しばた 次のアルバムが出たら──。
こやま 流石に言わんくなるかな。
しばた って思うでしょ? 次のシングルもライブでやってるのに、言うんですから。
こやま だって最新アルバムの収録曲ですよ? “癒着☆NIGHT”って。
しばた もう配信してんねん、“ちらばれ!〜”。
──あの一瞬、泉大津フェニックス全体が、「えっ?」っていう変な空気になって。ああ、各地のフェスを、こんな空気にしてきたんだなあ、この人たちは、と(笑)。
こやま レポとかでも、それを真に受けて「新曲」って書かれたりしてましたからね(笑)。
もりもと まぎらわしい!
しばた でも、ヤバT好きな人がいちばん思ってるんですよね、それ。
こやま 「もう飽きた」って言われてます、「新曲!」って言うくだり。
全フェス呼んでほしい。 呼んでくれてないフェスは、なんなんですか!(こやま)
──あと、これはコロナ禍より前からだけど、フェスの時のサウンドチェックで、本番のセトリに入っていない曲だけをやるのが定番化していて、ファンはサウンドチェックから観なきゃいけないという。しばた そうですね。いっぱい曲できて得ですよね、サウンドチェックで別の曲をやると。
──だから「ずるい!」とも思うし(笑)、「真剣なんだなあ」とも思いますね。
もりもと 楽しいですね、フェス。楽しんでますね、この春のフェスは。
こやま もうね、全フェス呼んでほしいですけどね。
しばた ほんまやったらね。
こやま (大声で)呼んでくれてないフェスは、なんなんですか!
しばた うわ、びっくりした。
こやま 絶対呼んでもらおう! ……どこで話してんねん(笑)。
しばた ロッキンはさ、いっつも呼んでくれはるからさ。
こやま 呼んでくれはるし、いい時間帯に出さしてくれはるしな。
もりもと ほんと、フェスはうれしいですね。
こやま そう、コロナ禍以降、ヤバTからちょっと遠ざかっちゃってて、活動をそこまで追えてない人も、めっちゃ多いと思うし。2019年まではヤバTを聴いてたけど、2020年になってぱったり離れちゃった、っていう人もめっちゃ多いと思うし。その分めちゃくちゃコアなファンの人が付いてくれてて、すごいありがたいですけど。やっぱり、うっすらファンの人たちにも届くような活動をしたいなと思いますね。現に、フェスに出たら、「あ、ヤバT、やっぱいいな」みたいになる人も、ほんまに多いし。フェス出るたび、フォロワーばり増えるし、未だに。サブスクの再生数とかも、フェス出たあとにグッて上がるし。だから、届いてないだけやな、と思いますね。テレビで歌ったりしてへんから、なかなか届きづらいんやろな、とは思いますけど。やっぱりライブの現場で観てもらった時に、口コミで、っていうのは大きいですよね。まあ、コロナの前から、ずっとそうやってきたバンドやし。
ヤバTの空白、今、埋まりました(もりもと)
──で、“ちらばれ!サマーピーポー”の編曲がシライシ紗トリなのは、夏曲だから?こやま そうです。憧れですよね、僕らにとって。ORANGE RANGE、もちろん好きやし、そのソニー時代を支えたシライシさんに、絶対にやってほしかったんですよ。普段僕ら、アレンジをほかの人に頼まないんですけど、今は「ここぞ」という時やなと思ったんで。
──「ここぞ」というのは?
こやま 久々のシングルやし、ここらへんでちゃんとお茶の間対応をできるような曲を作りたいな、っていう。ロックサウンドでありながらも、僕らだけでやると、どうしても、トゲがある音になりすぎるというか。
しばた バンドっぽすぎるというか。
こやま そこはORANGE RANGEのサウンドを、テレビとかにもちゃんと届くようなサウンドに調整した方に……って、言い方、変かもしれんけど、力を貸していただきたいな、っていう。だから、ラジオとかで流れてきても、耳触りのいい感じにしたいです、っていうのは、最初に伝えましたね。もうほんま、ORANGE RANGEをリスペクトして作ったし。あと、時代の流れもあるかもしんないですね。
──というのは?
こやま ライブで聴くより、音源で聴く時間のほうが多いご時世やし。自分自身がサブスクで音楽を聴く時も、うるさいやつってちょっとしんどいな、って思うし。やけど、バンドとしてのプライドは捨てたくないし、みたいなところで、柔軟に考えた結果がこれです。
しばた そうやな。
こやま あと、夏曲は作りたいな、ってずっと思ってたんですよ。夏歌特集とか観るたびに、「ヤバT、夏歌ないな」と思って。でも、なんか夏のイメージをみんな持ってくれてるな、がっつり夏の曲を作りたいな、と思った時に、同時に「あ、でもMVは冬に撮りたいな」って考えて。MVを冬に撮るためには、冬に間に合うように曲を作らなあかんな、ということで、1月2月に作ってましたね。
もりもと この曲で、ヤバTの空白が埋まったような気が、僕はしてます。いろんなことをしてるとは思うんですけど、「夏・さわやかソング」みたいなところが、僕の中では空いてて。そこが今回埋まったと思う。
こやま むっちゃいいこと言うやん。
しばた これ、太字や。
こやま 太字やん。
もりもと 「ヤバTの空白、今、埋まりました」
──意地でも見出しにしたくないなあ。
全員 はははは!
──じゃあ、春フェスに出る頃にはできあがっていた。ギリギリまで歌詞ができなくて苦しむ、いつものパターンとは違って──。
しばた いやあ、これも……。
もりもと これも、まあまあ……。
こやま これに関しては、雪が溶ける前に撮らなあかんっていうので、締切があったから。
しばた それでMVを撮りに行く日が、先に決まってたんで。
こやま やけど、レコーディングは……大まかなデモはできてたんですけど、最後の最後、仕上げが。歌詞がピンとこなくて。
──あ、じゃあいつも通りだったんですね。
しばた 途中までは全然違う歌詞で。そこからこやまさん、「ピンとこおへんからしばらく考える」ってなって。レコスタにいながら、こやまさんずっと悩んでて。
こやま 仮歌を録ってみたりもしたけれども、「ちょっとちゃうなあ」、「なんか違う、なんか違う」って話してる中で、シライシさんが「ヤバTは『あつまれ系』なんだね」って言ったんですよ。それを聞いて「あ、『ちらばれ』や!」って思って。「こっちの方向性でいける!」って、バーッてサビを書き換えて。ほんまにレコーディングの日です。「もうレコーディングしますよ」の時間。
しばた 多少あせらされながら。
ホーンの音を聴いた時に、「うわ、シライシ紗トリや」ってめっちゃ思いました(しばた)
──ほかにも、シライシさんにお願いするとこうなるのか!という驚きとかはありました?しばた 間奏の、《愛 愛 愛 愛 愛 愛 夏 夏 夏 家》の箇所、そもそもはなかったんです。なかったんですけど、シライシさんが編曲をしてくれはった時に、変な声みたいなのが入ってて。「これおもしろい、じゃあここしばたに歌わせよう」ってなって、歌詞も付いて。
こやま 変な音が鳴ってたんですよ、サンプリングの高い声みたいな。「これしばた、地声でいけんちゃうん? 機械音じゃなくて」って。
しばた シライシさんいてはれへんかったら、こうはなってない。で、シライシさんが、ヤバTが「あつまれ系」っていうことを、言ってくれへんかったら、「ちらばれ」に辿り着いたかどうかも、危うかったよな。
こやま 結構、雑談の時間、多かったかもしれないですね。「この歌詞、おもしろいね」って言ってくれはったりとか、それで「あ、おもしろいんや?」と思ったりとか。
しばた ずっとこやまさん、シライシさんに訊いてたもんな。「これ、おもしろいですか?」、「どこがおもしろいですか?」、「どこがおもしろくないですか?」とか。
もりもと シライシさん、ほかのアーティストの時も、会話をめちゃめちゃするって言ってましたね。その中で、おもしろいワードとかを歌詞に落とし込むって。
こやま うん。で、音作りの面でも、なんて言うんやろね? あれは。ギターとかベースとかのフレーズも、ドラムも、自分らではやらへんようなことも、入ってたりして。
しばた あとホーンの音を聴いた時に、「うわ、シライシ紗トリや」ってめっちゃ思いました。
こやま めっちゃうれしいなあ、あれは。ちゃんと寄せに行ってくれた、俺たちが思い描いてるものに。
もりもと あと、こやまさんがさっき言ったように、曲のベースがある程度できてた、というのもあって。録る前に、それぞれで準備をする時間があった、というのも大きいですね。普段なら、考えながら録るのがあたりまえやったんですけど──。
こやま この曲にかけれる時間が多かったな。
もりもと できたものを一回持ち帰って、もう一回シライシさんの前でプレイする、っていう形だったので。普段より、ドラムはスムーズでしたし、すごくいいのが録れましたね。そうだ、さっき僕、ヤバTの空白が埋まった、って言ったじゃないですか?
こやま うん。むっちゃいいことを。
もりもと だから、次の空白はどこかな、ってなったら……こやまさんが半分ふざけて言ってるのは、「ビジュアルかもしれない」と。
こやま (笑)。
もりもと ヤバTにとって。
こやま まあね、音楽性で音楽を売る時代じゃないんで。ビジュアルで売っていく時代。
しばた やめろ。ほんまやと思う人いるから。
もりもと でも僕、わりと真に受けて。ダイエットしてみたんですけど。
しばた はははは!
こやま そりゃビジュアルなんて、いいに越したことないんやから。
──であれば、もうちょっと仕上がりを気にしたほうがいい気が。っていうのは、今回の初回限定盤に付く「くそDVD」の──。
こやま あ、観てくれはったんですか?
──はい。今までは、完成がインタビューに間に合わなくて、事前に観たことなかったんですけど、今回は早く完パケたみたいで。
しばた 早あ。
──で、観たら、始まった瞬間のこやまさんの顔が、「うわ、目が小さい!」と。
しばた・もりもと ははははは!
こやま なんか特別ブスちゃう? あの顔。
もりもと あの日の昼間、雪で真っ白な中で、目を開けて──。
こやま 光の反射がすごくて、それでな。
しばた 朝早かったしね(笑)。
“ちらばれ!サマーピーポー”
11th single『ひまわりコンテスト』
6月29日(水)リリース初回限定盤:(CD+DVD)UMCK-7167 1,650円(税込)※デジパック仕様
通常盤:(CD)UMCK-5715 1,210円(税込)※デジパック仕様
〈CD〉
1.ちらばれ!サマーピーポー
2.まじで2分で作った曲
3.コンプライアンス
4.もももで歌うよどこまでも(『桃太郎電鉄』CMソング)
5.ちらばれ!サマーピーポー(岡崎体育 remix)
〈DVD〉※初回限定盤のみ付属
「ヤバイTシャツ屋さんの冬の北海道ツアー」
くそDVD:ヤバイTシャツ屋さんが真冬の北海道を満喫する映像
SPECIAL LIVE Blu-ray/DVD
『Tank-top of the DVD SPECIAL-OSAKA-JO HALL-』
6月29日(水)リリースBlu-ray:UMXK-1091 5,100円(税込)※スリーブケース仕様
DVD:UMBK-1305 4,100円(税込)※デジパック仕様
〈収録内容〉
【DISC 1】※Blu-rayは1枚に集約
・We love Tank-top
・ハッピーウェディング前ソング
・Tank-top of the world
・無線LANばり便利
・Universal Serial Bus
・Tank-top Festival 2019
-MC①-
・sweet memories
・はたちのうた
・メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲
・眠いオブザイヤー受賞
・鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック
-MC②-
・ベストジーニスト賞
・珪藻土マットが僕に教えてくれたこと
・げんきもりもり!モーリーファンタジー
・泡 Our Music
・DANCE ON TANSU
-MC③-
・Bluetooth Love
・肩 have a good day -2018 ver.-
・くそ現代っ子ごみかす20代
・NO MONEY DANCE
-MC④-
・サークルバンドに光を
・とりあえず噛む
・癒着☆NIGHT
・ヤバみ
・Give me the Tank-top
・かわE
-ENCORE-
・きっとパルケエスパーニャ
・ZORORI ROCK!!!
・喜志駅周辺なんもない(増税ver.)
・あつまれ!パーティーピーポー
・ネコ飼いたい
【DISC 2】
〈おもしろ特典映像〉
おもしろ大阪城ホール公演のおもしろメンバーのおもしろ様子
〈シングル+映像同時購入者先着特典〉
●TOWER RECORDS→オリジナルクリアファイル
●ヴィレッジヴァンガード→オリジナルクリアファイル
●その他拠点店(HMV,TSUTAYAなど)→クリアファイル
※クリアファイルのデザインは決定次第HPで案内予定
〈Amazon.co.jp〉
・シングル購入者先着特典→メガジャケ(初回限定盤柄)
【シングル・ライブ映像作品、単品購入者先着特典】
・LIVE Blu-ray/DVD購入者先着特典→ビジュアルシート
※特典は先着で数に限りがございます。ご予約・ご購入の際は店舗/ECサイトにて特典の有無をご確認ください。
※また店舗によって特典の取り扱いのない店舗もございます。
※特典はお買い上げの際にお渡しいたします。
「ヤバイTシャツ屋さん “ぶどうかん” TOUR 2022」
7月30日(土):北海道・はこだてわいん葡萄館本店前駐車場8月5日(金):愛知県・葡萄観(ぶどうかん)光農園 小林農園
※指定席・着席限定 アコースティック編成ライブ+トークイベントを予定
8月25日(木):東京都・日本武道館(ツアーファイナル)
提供元:ユニバーサルミュージック
企画・制作:ROCKIN'ON JAPAN編集部