──1stアルバムにして超濃厚な一枚を作り上げましたね。結成から4年、「お茶の間に届くJ-POPを作りたい」「(ハルハが中学生の時にRADWIMPSのライブを観た)広島グリーンアリーナに立ちたい」という想いはブレずに、そのためにどんな音楽を作ればいいのか、何を大事にしたいのかという意識変化の軌跡が見える作品だと思いました。ハルハ(Composer) フェーズごとに変わってきた実感はめちゃくちゃあります。1個目の大きなターニングポイントは、ライブをやるようになったこと。曲を聴いてくださる方の目の前でパフォーマンスして、肌で熱を感じると、自室へ戻って制作する時にも影響がありました。そのあと大きく変わったのは、去年8月の2ndワンマンが終わって以降、自分の中でクリエイティブを精査しようと思って、理論を学び直したり、恩師のところでもう一度ピアノを習ったり、「J-POPとは」を理解するために歌謡曲を聴いたり、音楽に関わることを学び直したことですね。──それが、“Forever Never Forever”以降くらい?ハルハ そうです、ちょうど“Forever Never Forever”を作ってるくらい。どうしても「もっと広がってほしいのに」「曲が悪いのかな」みたいに葛藤していたんですけど、江口(亮)さんが言うなら、それを強みにしていいんだなと思って(ハルハ)
──それを感じました。“Forever Never Forever”、“夏の雷鳴”と、アルバムから先行配信した“TEEN LOVE”は、「この曲が書けたから次はこれが書けた」みたいな流れが見える曲たちですよね。ハルハ その3曲を作るにあたって、なくなった曲が100近くあります(笑)。ヨナべ(Vo) 疲れ果ててた時期があったよね(笑)。ハルハ もう1個の大きなターニングポイントは“Forever Never Forever”から、アレンジャーの江口亮さんとご一緒するようになったこと。江口さんは、僕が子どもの頃に、街中や運動会とかでもかかっていたような曲を手がけられている方で。細かくやり取りを重ねさせていただくことができて、親身に相談に乗ってくださる中で、harhaのメロディとコードの関係がいいねと言ってくれて──今思うと、元々は手癖でやっちゃっていた節があって。でも“Forever Never Forever”から、たとえばひとつの和音から次にどんな選択ができるかとか、なんとなくやっていたのを全部なしにして、やりたいことに対してそれが本当に正しいのかを考えるようにしたんです。リズムひとつをとっても、自分がやりたいことに関しては全部理屈立てて説明できたほうが最終的に納得いくものができるなと思って。それでもメロディラインとか、僕が消そうと思っても消せない癖みたいなものはあって。江口さんはたぶん、たとえ使い古されたコード進行や王道進行を持ってきたとしても、自分から出るメロディを乗っけた時の選択がharhaらしいよねとおっしゃってくれた気がしました。どうしても「自分が届けたい層まで届いていない」とか、「もっと広がってほしいのに」「曲が悪いのかな」みたいに葛藤していたんですけど、江口さんが言うならそれを強みにしていいんだなと思って。そこで音楽的にやれることや目指すべきものが自分の中で固まったことが、またターニングポイントでした。
──100曲近くボツにしたうえで、「これだ」と思えた基準、つまり曲作りにおいていろんな選択肢を持ちつつも大事にしたかった指針とは、言葉にしてもらうとどういうものでした?ハルハ メロとコードがいい、サビのハマりがいいとかもあるんですけど、結局は、言いたいことを言えているかどうかだと思います。ボツになった曲にもいい曲はいっぱいあったんですけど、上手いこと言ってるだけだな、みたいなことを僕自身が感じちゃっているというか。本心まで書き切れていない。だからこそ、いっぱい曲を書いちゃうんですよね。いっぱい書いて、いっぱい出して、もう出せないという時に書いたものが、たぶん本当に言いたいことなんですよ。“TEEN LOVE”は、まさにその最たる例でした。──“Forever Never Forever”、“夏の雷鳴”、“TEEN LOVE”は、まずサビの強さがレベルアップしまくっているとも思ったし、おっしゃったように、器用にきれいに書いている系ではない。心の奥からゴリッと出てきたものが見える音楽というか。ハルハ ウェッて出てきたものな感じがしますよね(笑)。あと、ヨナベさんに歌ってもらって最終的に行けるかどうかが決まります。デモの段階で、僕の中でヨナベさんの歌い方が想像し切れちゃう曲はあまりよくない気がするというか、やらなくていいんじゃないって思っちゃうんですよ。僕の中でヨナベさんの声が想像できて、完成図がわかるものは、別に歌ってもらう必要がない。だってそれが出てくるだけだから。1年くらい前から僕はボーカルディレクションもやってなくて、ヨナベさんが全部自分でやるようになったんですけど、僕の100とヨナベさんの100が掛け合わさって、最終的にいいものができるんだなと最近は思っていますね。それでいうと、“夏の雷鳴”はボーカルも今までと違うことをしようとしていたよね。ポップスを外側から理解することをやってきたけど、自分の中にあるものをポップスにしていくためにはということを考えるほうが大事なんじゃないかって(ハルハ)
ヨナべ 私が勝手に「少年っぽく歌いたい」って言って、男の子を8割くらい出した感じで歌いました。元々harhaに「少年感」みたいなものはあったじゃない? でも“Forever Never Forever”くらいから、より少年感を感じる曲が増えた気がして。ハルハ 俺が少年になってる? 若返ってる?(笑)。──それは、さっき言っていたように、内側にあるものを素直にウェッて出したら、そこに少年っぽさが溢れていたということなんじゃないですか。ハルハ そうかもしれないですね。harhaを4年間やってきて気づいたのは──スタンスとして何が大事なんだろうと思った時に、素直でいることだなと思って。ピュアで、僕が僕でいればいい、ということが結局大事なんだなって感じる瞬間がめちゃくちゃありました。シンプルに自分に嘘をつかず、いかに曲に乗っけられるかというところさえ僕がブレなければ、harhaはharhaになっていく。ライブやMVとかでいろんなクリエイターの方と混じり合っていく中でも、僕にできることは究極を言えば作詞作曲で、それを自分は100頑張ればいいということをすごく思って。そうすれば、クリエイターの方が考えてくださるものと、僕の中にある100が掛け算になっていく。だからとにかくピュアで、素直に、裸の心で生きていくことが大事だなって思いました。──それが結局、最初から掲げている「お茶の間に届くJ-POPを作りたい」「広島グリーンアリーナに立ちたい」という目標に到達するためにも大事なことだと気づいた、という感覚ですか?ハルハ どうなんですかね……いや、そうなのかな。harhaをやっていく中で、「ポップスとは」「売れる音楽とは」みたいなことを考え続けていて、もちろん徐々に大きくなっていって、いろんな方に聴かれてはいるんですけど、それでも僕が想定していたような爆発的な結果みたいなものはまだ出ていなくて。僕の信念としては、本当にいい曲は絶対に伸びる、それが何百年後にも残ると思っているんですけど、それを出せてないなとずっと思っていて。今まではずっと、ポップスを外側から理解することをやってきたけど、自分の中にあるものをポップスにしていくためにはということを考えるほうが大事なんじゃないかと思って、それをやっているのが“Forever Never Forever”から最近作っている楽曲だと思います。この先にどんな未来があるかは、まだわからないですね。今の行いのままグリーンアリーナに行けるかどうかはわからないんですけど、今の段階ではそうだという感じです。