【インタビュー】「5人全員がメインソングライター」。アルバム『W.O.R.K.S.』で露わになるFirst Love is Never Returnedの絶対的にポップな強み

【インタビュー】「5人全員がメインソングライター」。アルバム『W.O.R.K.S.』で露わになるFirst Love is Never Returnedの絶対的にポップな強み

First Love is Never Returnedが「本当の意味でのメジャーデビュー」と語った、1stフルアルバム『W.O.R.K.S.』が完成した。“挿入歌”や“微炭酸”といった、すでにJ-POPシーンで愛されている楽曲をはじめ、バンドのアンセムとも言える“僕らの行進曲”、そして2026年の躍進を後押しした“最近変わりない?”、“Good Morning”、“Passengers”といった強力な既発曲たちに加え、今作のために制作された新曲が6曲収録されている。今作を聴くうえで、この新曲たちにぜひ注目してほしい。これまでバンドのメインソングライターを担ってきたKazuki Ishida(Vo・G・Key)、そしてKeita Kotakemori(G・Key・Cho)、Arata Yamamoto(G・Cho)だけでなく、今作では初めてYuji Sato(B)とMizuki Tsunemoto(Dr)が書き下ろした楽曲も収録され、いよいよ「全員がメインソングライター」であるラブネバの本性が露わになったのである。今年7月に行った、超満員の渋谷クラブクアトロでのワンマンライブの熱狂も記憶に新しい中、バンドのさらなる進化と音楽性の広がりを見せつける『W.O.R.K.S.』。今回のインタビューでは、それぞれが作った新曲について詳細にひもときながら、バンドが持つ多彩なポップの魅力、その源泉に触れていきたい。インタビュー=杉浦美恵 撮影=オノツトム

ついに大きな山が来て。前々から「曲を書いてほしい」とオーダーしていて、さすがにみんなも「ここがそのタイミングかな」みたいな(笑)(Ishida)

──メジャー1stフルアルバム『W.O.R.K.S.』、素晴らしいアルバムです。リリースが発表されたとき、今作は「本当の意味でのメジャーデビュー」ということを言っていたのが印象的でしたが、やはり特別な思いがありましたか?Ishida ついに大きな山が来たという感じでしたね。今までは僕が書いた楽曲を出すことが多かったんですけど、前々からみんなにも「曲を書いてほしい」とオーダーしていて、さすがにみんなも「ここがそのタイミングかな」みたいな(笑)。MizukiくんとYujiさんは書いた曲が作品になるのは今回が初めてでしたけど、実際に5人が曲を作った最初のアルバムになって、それがこの『W.O.R.K.S.』のカラーになりました。──YujiさんとMizukiさんはそのオーダーに対してどう感じていましたか?Yuji メジャーで出す1stアルバムだから、自主で出すのとはちょっと心構えが違うというか、自宅でトラックを作ったりせず、締切が決まっている状況も初めての経験だったんです。当初の予定よりレコーディングする日が早まって、自分の中で詰めきれないところもあったし迷っていたんですけど、うちの課長(Kotakemori)が、「『これで完成!』って自分で言わないと完成しないんだよ」って言ってくれて。その言葉を聞いて、ようやく「これが完成品です」と出すことができました。Mizuki 僕は「全員作る」ってIshidaくんが言ったとき、なんとなく返事はしたものの、まあ作らなくても大丈夫だろって、正直思ってたんですよ。Ishida ははははは。Mizuki 俺がやらなくても誰かが曲を持って来るだろうと余裕ぶっこいてたんです。そしたら本当に作ることになり、これはいよいよ逃げられないなと(笑)。基本的にはドラムしかできないので、なんとなく構成やメロディのイメージはありながらも、どうしたらいいんだろうって悩みました。なので、Arataと一緒にスタジオ入ったり、Ishidaくんに相談したり、メンバーに個別に相談しながら完成させて。これが正しい作り方なのかどうかはわからないけど、僕なりにチャレンジできたし、1stフルアルバムの曲として収録されたのは嬉しいです。──そもそも今回は既発曲の強さもありつつ、その1stアルバムに入る曲というプレッシャーもあったと思うんですけど、アルバムを作るにあたって「誰がどういう曲を作るか」みたいなイメージや役割分担的なものは事前にあったんですか? それとも好きに作ってきたものが、結果として多彩な音楽性を表現するものになった?Kotakemori 後者ですね。『W.O.R.K.S.』というアルバムのコンセプトを考えて曲を作ろうというわけではなくて、各々が「こういう曲を作りたい」というのを作ってみようということだったので。──Yujiさんの作った“ミッドナイトブルー”はAOR的なサウンド感で、新機軸の爽やかさが魅力の曲になりました。これはどう作っていったんですか?Yuji Kazukiが「得意なやつをやったほうがいいよ」って言ってくれてたので、自分がやってきたことを活かすとなると、シティポップというよりはAORかなって。それで、これまで自宅でトラックを作ったりしたことはあったんですけど、1曲をPCで完成させるより、やっぱりスタジオで実際に音を出しながら作っていきたかったので、メンバーの力を借りながら作っていきました。──ギターの雰囲気とか、これまでのラブネバの曲とは少し肌触りが違って新鮮ですよね。Arata こういうことがやりたいんだなっていうのはすぐに受け取れたので、ふたりでも話し合って、「ここはこうで合ってる?」とか、「ここはこう出したらいい?」って確認しながら作っていきましたね。──アルバムだと“微炭酸”からの流れでこの“ミッドナイトブルー”に続くその清涼感がすごくいいんですよね。ギターソロの音の広がり方はほんとに青空みたいです。

Arata でもそのソロは、半分寝ながらレコーディングしていたと思います(笑)。確か朝4時にギターのレコーディングが始まって、申し訳ないんですけどそのときのことをほんとに覚えていなくて(笑)。フレーズはもちろん事前に考えてあったものなんだけど、実際にどういう気持ちで弾いたのか記憶が全然ない(笑)。あとでラフミックスを聴いたらすごくよかったので、ああ、大丈夫だったんだなって安心しました。Ishida 睡拳でしたね。酔拳じゃなくて睡拳(笑)。Arata まさに(笑)。
【インタビュー】「5人全員がメインソングライター」。アルバム『W.O.R.K.S.』で露わになるFirst Love is Never Returnedの絶対的にポップな強み

Ishidaくんに恋愛系を歌わせたら面白いんじゃないかと(笑)。今回メンバーそれぞれが楽曲を作る醍醐味としては、Ishidaくんが作らなそうなものを作るというのもあった(Mizuki)

──Ishidaさんは“ミッドナイトブルー”についてはどう感じていましたか?Ishida メロディが最初からいいなと思えた楽曲だったので、そこが柱だったのかなと思います。ただやっぱり最初、Yujiさんがイメージしているものと、デモで出てくるものはかなり違うんだろうなと思っていたので、Yujiさんの頭の中の正解にたどり着くために、メンバー全員で長ーい道乗りを旅して、たどり着いたのがこの曲でした。──Yujiさんの中で「正解」だと思えるまでに時間がかかったということ?Yuji デモの段階でまったく違う2パターンがあったんですよ。もうちょっとR&Bに寄ったパターンと、楽器にフォーカスしたフュージョン的な方向で揺れていて、当初は今完成したものではないほうのニュアンスで進んでいたんですけど、そこでの迷いがずっとありました。みんなと制作していくにつれて「伝えたぶんだけしか伝わらないんだな」っていうのがわかってきて。作者が迷っているうちは、前に進まないんですね。──今回、自分で作った曲に対して作詞もするというのもかなりのハードルだったと思うんです。曲は作っても、作詞はボーカルが担うというパターンも多いですし。Ishida 作詞だけ別の人がやるより、詞も含めてその人が完成させたほうがいいと思って。曲を作った人の中にイメージがあるはずだから、その人が歌詞を入れることで、より色が濃くなると思っていて。今回、Yujiさんの曲だけじゃなく、言葉にも内容にも題材にも、みんなそれぞれの色が出ていて、すごくキャラクターが際立っているので楽しいなあって思えたし、今まで知らなかった性格とか人間性が見えた気がしましたね。──Mizukiさんが作ったのはエモーショナルなミドルバラード“Twilight”。これもメロディの良さがとても際立つ楽曲です。Mizuki もともとUSのポップスやインディーの楽曲が好きで、このバンドの前にはKeitaとバンドを組んでいたのもあって、その経験や好きで聴いていた楽曲を掛け合わせて作ってみよう思いました。それを王道のJ-ROCKに昇華できればいいなあと思いながらも、サウンドはどんどん海外のものっぽくなっていって。曲を作る過程でどんどん変化していくんだなあと実感しました。最初にやろうと思っていたことが、どんどん好きだった音楽のほうに寄っていくのも悪くないというか、いい方向に向かっていったのでよかったです。制作の段階ではArataにギターを考えてもらったり、Ishidaくんとはスタジオに入ってメロディの確認を一緒にしてもらったり、Keitaの家で実際に鍵盤を入れてもらったり。そうやってバラバラに練っていったものをがっちゃんこして作りましたね。順番にタスクを終わらせて、完成させていったという感じで。──作詞はどうでしたか?Mizuki 歌詞は書いたこともなかったので悩んだんですけど、韓国ドラマを観ていたので、Ishidaくんに恋愛系を歌わせたら面白いんじゃないかと(笑)。今回メンバーそれぞれが楽曲を作る醍醐味としては、Ishidaくんが作らなそうなものを作るというのもあったんですよね。Ishida まずこのふたり(Yuji、Mizuki)の題材が、やっぱり「夜」なんだなあって思いましたね。確かに僕が書かないものなんですよ。恋愛のロマンチックなシチュエーションも、Yujiさんの曲の歌詞みたいなのも。照れるし(笑)。でも歌ってみたら楽しかったです。人に書いてもらった曲は、ボーカリストとして集中して歌えるので楽しかったですね。──KotakemoriさんはYujiさんとMizukiさんの楽曲制作の様子を、どのように見ていましたか?Kotakemori この3人(Ishida、Arata、Kotakemori)はこれまでも曲作りを積み重ねてきて、やっと今1stアルバムに入れる曲を作れるところに来たわけですよ。それを、初めての作曲で、メジャーのアルバムに収録する曲を作れるのはズルいよなあって思ってました(笑)。バンドをやってると、まずはCD-Rに焼いた音源をライブで配るなり、自分たちでプレス代払って、物販で手売りしたりして。僕は前のバンドでも5〜6曲収録したミニアルバムを全国流通盤で作ったことがあるんですけど、そのインディーズでのリリースがあって、やっとメジャーアルバムなので、いきなり曲を作ってメジャーのアルバムに収録できるという、まずそこに大きな羨ましさがありました(笑)。全員 ははははは。Kotakemori それはさておき(笑)、僕ら3人には経験があるので、さっきMizukiが言ってたみたいに、最初作ろうと思ってたものからズレていくみたいなこともわかっているんですよね。というところから、たとえばMizukiが作りたいと思うものを察して、イメージに近い音を瞬時に出してみたり、Mizukiがうちに来て「こういう音を出したい」って言ったときにも、すぐに対応できる状況を作ったりしながら制作を進めていった記憶がありますね。
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