Nothing’s Carved In Stone × Dragon Ash @SHIBUYA-AX
2014.04.18 20:00
後にNothing’s Carved In Stoneの村松拓(Vo./G.)は、「リスペクトできる相手と、っていうのを基本ルールに」開催していると説明した、対バン・ライヴ・シリーズ『Hand In Hand』。今回は、cinema staffとの札幌ペニーレーン24(4/10)を皮切りに、3公演でそれぞれ対バン相手が異なる、というツアー形式の『Hand In Hand』である。レポートをお届けする東京・SHIBUYA-AXにて相見えるのは、Dragon Ashだ。覚悟はしていたけれども、春の陽気どころか猛烈な熱気と湿度で会場内を満たす、ライヴ・バンド同士の真剣勝負の一夜になった。翌4/18には大阪・なんばHatchでthe telephonesとのショウが繰り広げられるため、セットリストの記載は割愛するけれども、少々の楽曲名表記などネタバレを含むので、閲覧の際はご注意を。
開演時間のほぼ定刻に、響き渡るのはなんと、“陽はまたのぼりくりかえす”のイントロだ。にわかに溢れるオーディエンスの歓喜の声とハンド・クラップに包まれて、Dragon Ashの面々が登場。どちらのバンドのファンであろうが分け隔てなく、呼び掛けるようにこの名曲を歌うKj(Vo./G.)である。彼らは目下、新作『THE FACES』を携えてのライヴ・ツアー『THE SHOW MUST GO ON』(ATSUSHIは腰に巻き付けたツアー・グッズのタオルを広げてみせた)の真っ最中であり、“The Show Must Go On”以降は次々に新作曲が畳み掛けられてゆく。 “Still Goin’ On”では、音源作品と同様にYALLA FAMILYからの3MC(50Caliber, Haku the Anubiz, WEZ)も飛び入りして熱いマイク・リレーを投下。BOTSのティンパレスも交えたグルーヴで上昇線を描き出す“Golden Life”の後には、「ナッシングスのベースもやばいけど、ウチのベースも負けてないんじゃないか?」という煽りを受けて、盟友サポート・メンバー=KenKenが暴れベースとヴォーカルを披露する。完璧な現在進行形モードで、一切手を緩めず、『Hand IN Hand』に臨むDragon Ashである。

「10-FEETがまだ今みたいに売れてないときに(笑)、フェスで、ああ、(ROCK IN) JAPANか。“RIVER”をやってて、おれ“RIVER”知ってたから、客席で酔っぱらって盛り上がってて。ライヴがめちゃめちゃ良かったから、挨拶して仲良くなろうと思って、楽屋に行ってこう(肩を組む素振りで)、すげえ良かったよー、って言ったら、本番前でめちゃめちゃナーバスになってるELLEGARDENだった(笑)。ウブとはその頃からの付き合いなんだけど」「ライヴ・ハウスは俺たちの宝の場所だからさ。AXは無くなっちゃうけど、ヘッズもこの文化を大切にして、守って行きましょう」とKjが語り、かつて杮落し公演を行ったSHIBUYA-AXの、自身最後のステージへの置き土産とばかりに“百合の咲く場所で”を届けてくる。そこから“Fantasista”へと繋げてゆく展開も凄かったが、圧巻は“Lily”、“Viva la Revolution”、“Curtain Call”という、とめどないクライマックス感が続く終盤だった。爆音でしか描けない美と、ミクスチャー・ロックでしか到達できない感動を運び、彼らは汗と笑顔にまみれてステージを後にした。

そして転換後、いよいよNothing’s Carved In Stoneの4人によるパフォーマンスがスタートだ。初っ端からギラギラと鮮烈極まりない、しかしロック・サウンドという名のモンスター・マシンを乗りこなすようにしっかりと統制の行き届いた音響を放ち、ウブこと生方真一(G.)、ひなっちこと日向秀和(Ba.)、おにぃこと大喜多崇規(Dr.)のそれぞれに自由度の高い演奏が交錯する中を搔い潜るように、あるいは縫い合わせるように、村松の伸びやかでキャッチーな歌メロがオーディエンスへと届けられる。『Hand In Hand』は他のグループとの真剣勝負の場だが、そもそもNCISというバンドは、強烈な個性を持った4人メンバーによる真剣勝負の場として稼働し始めたような一面がある。直感的かつ独創的なプレイが次々に繰り出され、その上でロック・ミュージックとしての形を作り上げるという、その恐るべきバランス感覚が序盤から全開である。

唸りを上げるようなギター・リフと、ファンキーな高速ベース・ラインが並走し、まるで炸裂音のようなビートが轟くダンス・ロックから、瞬時になまめかしく幻惑的なサウンドスケープへと移行することも出来る。「もっともっと、熱くなれよ!」「俺たちの全部、受け止めてくれるか!?」「お前ら、やる気あんのかー!?」と次々に挑発的な言葉を投げ掛けながら、楽曲また楽曲と音の激流に飛び込み、ときには男の色気を漂わせる歌声で、楽曲をリードしてゆく村松である。個人的に今回のライヴでは、多種多様な音色とタッチを披露しつつ一貫して刺激的、というウブのギター・サウンドが、また更に引き出しを増やしてとんでもないことになっていないか、という手応えがあった。
「こうやってみんなと会って、笑顔を見せてくれると、やってる価値があるなって思えるんだけど。遠くに行っちゃったらさ、俺はみんなのこと、守ってやれないじゃん。CDくらいでしか。いや、守るよ(笑)。でも、帰ったら一人じゃん。一人のときに力になれるように、この曲を渋谷に贈ります」。そんなふうに披露されたのは“Red light”だった。日本語の詩情とメロディ、そしてギター・フレーズの絡み合うさまが美しい。歌い終えると村松は「きちゃった? じーんとしちゃった系?」と笑いめかしていたけれど、この後にはDragon Ashの大熱演について「あんなにガチで来るとは思ってなくて。袖で観てて震えそうになって。でも負けないけどね(笑)」「今日は、胸を借りるつもりで来て。本当、高校のときからカラオケで歌ったりしてて、そんときの友達も来てる。いつも来てくれてるんだけど、今日はDragon Ashを観に来てる(笑)」「でも、こんだけやってもお前ら大丈夫だろ、みたいな信頼を感じて。嬉しいよね」と語っていた。まさにその言葉どおりの、真剣勝負ゆえの信頼感が、この夜のステージには立ち籠めていたと思える。
ひたむきに未来を指し示し、その視界に咲き乱れた“きらめきの花”ではひなっちが腰をフリフリして満場のクラップを誘い、澱んだ思いを洗い流すように降り注ぐ“村雨の中で”もまた美しかった。デビュー当時からの必殺ナンバー“Isolation”はもちろん、「AXに出始めた頃からやってる曲を」と披露された“November 15th”は、同期混じりのサウンドを突き破るように響くおにぃのビートが圧巻で、フロアをばんばかと波打たせていた。アンコールでは、ウブが「凄かったでしょ。Dragon Ashね。俺らの数少ない仲間(笑)」「Dragon Ashは今、ツアー中で。明日、いわきでライヴがあるのに来てくれて。来月は武道館。ね?(袖の方に視線を投げ掛ける)ありがとうございます」と感謝の言葉を伝えると、村松が「スターだよね。本当ね」と漏らすように告げる。そこにフロアから「タクもスターだよ!」と声が飛んで、囃し声に満たされながら最後の完全燃焼へと向かって行った。ムキになって己の力を試すことの出来る相手がいる。その幸せを、爆音と共に分かち合うステージであった。(小池宏和)