4人のサポート・メンバーが織り成す幻想的な導入部が、壮大なロック・シンフォニーへとシフトしてさっそくフリーキーなギター・プレイも飛び出す。思わず息を呑むところだが、そこにアダムがギターを携えて飛び込み、豪快な爆音アンサンブルへと展開する“Angels”だ。アダムはその音量と張り合うように「コニチハー! トーキョー!」と景気良く挨拶を投げ掛け、今度は昨年のEP『ウルトラヴァイオレット』に収録された“Up All Night”へと向かう。やはり、ロックなアタック感が強烈だ。オーディエンスのクラップを巻き起こして始まる“Dreams and Disasters”以降はダンス性を増幅させ、シンセ・リフとフラッシュライトがシンクロする“Speed of Love”は、ダブステップのサウンドと生身のグルーヴが手を取り合う。
そして本編は、SEKAI NO OWARIを友人としてコールするコラボ・チューン“Tokyo”へ。アダムがすべてのコーラスを受け持つ形のパフォーマンスになった。《When I'm in Tokyo》の大合唱を巻き起こして本編は締め括られ、「ありがとうみんな! またすぐに会おう!」とアダムは笑顔で告げて去る。アンコールに応えると、再びダンサブルに繰り広げられる“Hello Seattle”を披露し、やはりこれを聴かずには帰れない“Good Time”だ。文句無しの最高潮という特大シンガロングで、フィナーレを飾ってみせた。テクノロジーと肉体を高いレヴェルで融合させ、心の繊細な揺らぎから激しい高まりまでを描き出すこのライヴ・パフォーマンスは、今のポップ・ミュージックのひとつの理想型である。新作リリースと同様に、フジロックへの帰還を、ぜひ楽しみにしていて欲しい。(小池宏和)
[SET LIST]
1. Intro - Panoramic
2. Angels
3. Up All Night
4. Dreams and Disasters
5. Dementia
6. Speed of Love
7. Beautiful Times
8. Cave In
9. Designer Skyline
10. Shooting Star
11. Kamikaze
12. Meteor Showers
13. This Isn’t the End
14. Sky Diver
15. Fireflies
16. Gold
17. Verge
18. Deer in the Headlight
19. Wolf Bite
20. Tokyo
En1. Hello Seattle (Remix)
En2. Good Time