アダム・ヤングのこと

アウル・シティー『シネマティック』
発売中
ALBUM
アウル・シティー シネマティック

多くのアーティストとコラボレーションした、2015年のアルバム『モバイル・オーケストラ』から3年。アウル・シティーの最新作には、日常のときめくような瞬間が詰まっている。あるいは、人生や日々にときめくようなドラマを見出していく、そんな小さなタネやきっかけをくれる音楽と言おうか。ポップでドリーミィなサウンドの世界に浸らせて、イマジネイティブな旅に連れて行ってくれるアウル・シティーの音楽は、このアルバムでもっと刺激的に心に、五感に、体に踏み込んでいる。前作からの間にメジャーを離れ、このアルバムに至るまでに架空の映画のサントラなど様々な曲を作りながら、思うところがあったのだろう。新作に向かうにあたって、これまであまり、自分の話をしてこなかったと、アウル・シティー=アダム・ヤングは考えたという。30年の人生を振り返ると映画を観ているようだったと語り、『シネマティック』と名付けた。彼の想像世界でなく、彼自身の物語が、歌となり音楽となったアルバムだ。

アルバムのリリース前には、シングル“オール・マイ・フレンズ”をリリースし、“ルシード・ドリーム”、“ニューヨーク・シティ”とで、ミュージック・ビデオ三部作を発表(のちに3作をまとめたショート・フィルムも公開)。スウィートでロマンティックな青春映画のような仕上がりは、ちょっとこそばゆいが、作品を紐解くイメージになりそうだ。キラキラとしたエレクトロ・ポップから、生楽器の響きを活かしバンドでじっくり紡ぐ曲、ローファイでガチャガチャと賑やかなポップス、内省的にピアノで弾き語る曲。多彩に描かれたシーンをまとめ上げる“シネマティック”は、スタジアムに映えるアンセム感と、軽やかな日常感が同居する。そのリアリティが心躍らせる。(吉羽さおり)



『シネマティック』の詳細はこちらより。

アウル・シティー『シネマティック』のディスク・レビューは現在発売中の「ロッキング・オン」8月号に掲載中です。
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アウル・シティー シネマティック - 『rockin'on』2018年8月号『rockin'on』2018年8月号
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