スネオヘアー @ 渋谷C.C.Lemonホール

スネオヘアー @ 渋谷C.C.Lemonホール - スネオヘアースネオヘアー
1999年2月、スネオヘアー誕生――。渡辺健二ことスネオヘアーが、スネオヘアーとして音楽活動をはじめてから今年で10年。本日はその10歳のバースデーを祝うライブでもあり、昨年から行われてきたライブ・ツアー『バースデー』の追加公演ということで渋谷C.C.Lemonホールにてスペシャルなライブが行われた。

会場暗転とともに、スクリーンにこれまでのミュージック・ビデオが順を追って映し出され10年の歴史を駆け抜けていく。インディーズ時代の“フィルター”に始まり、最新シングルの“共犯者”まで。アルバム単位で見ていけば作風はこの10年でだいぶ変わっているものの、こうして10年の歴史をバーッと一気に見せられると、やっぱりスネオヘアーはスネオヘアーでしかないという揺るぐことのない一本筋の通った芯を持っていることを教えてくれる。

そして、ゆっくりとスネオをはじめバンドメンバーが登場。バースデーパーティーの始まりは、記念すべきメジャー・デビュー・シングルとなった“アイボリー”でスタート。初っ端からエレキギターをギュインギュイン言わせて、勢いよくロックなスネオヘアーを繰り出していった。今回のライブはホールという場所のせいもあるかもしれないが、オーディエンスが一体になって盛り上がるというよりかは、いちオーディエンス対スネオヘアーという図式が成り立っていて、それぞれが自らとスネオヘアーとの繋がりを確かめていくようにじっと聴くというような場面が多かったような気がする。会場の手拍子で一体感が生まれたのは“headphone music”や後半で披露された“スターマイン”くらい。でも、聴く者の心を掻っ攫っていってしまう圧倒的な歌の力があって、それが伝わってくる、歌を通して繋がっていられるということを実感できる瞬間がたくさんあったということだけで、もう充分ハッピーなのだ。スネオヘアーのライブはそういう悲しみも喜びも分かち合えるという幸せがジンワリ沁みてくるライブなんだなと改めて思った。

MCでは、なぜか語り口調でワルを演じてみたり、相変わらず毒を吐いたり、捻くれてみたり。「永ちゃん(矢沢永吉)も若い時に50までやるって言ってたよ。やっぱり『いる』ことが大事だと思って。音楽やめたとしてもギターがなくなっても、俺は渋谷にいるから。いるっていうか寝てるから」と会場の笑いをとっては、思いもよらない方向へとめどなく脱線トークは続いていく。すごく大事なことを伝えているようで、結局茶化して締めてしまうという照れなのか、素なのか、演じてるのかよく分からない、どこまでもややこしい、それがスネオヘアーらしさなんだろうな。

10年という節目のライブとは言ってもセットリスト的には最新アルバム『バースデー』からの楽曲を中心に演奏。作家性が増した今回のアルバムでは、スネオヘアー自身、自らが描いた物語を演じるということ、それをライブで表現するということが今回のツアーですごく重要な見せ場でもあったと思う。後半で披露された“電話”“歪んだ二人”“共犯者”の並びは、まさにその演技力を見せ付けた瞬間であり、『バースデー』という物語のクライマックスでもあった。そういう見方で言えば、この日のライブ全体がもう演じられていたものなのかもしれない。演じるといってもそれは決して嘘ではなく、スネオヘアーが自らが産んだ歌とどこまでも誠実に純朴に向き合った結果の賜物なんだろうなと思う。「風邪を引いちゃって鼻水が出てくるんだけどガンガン飲んで。そしたら“電話”のあたりで鼻水の逆襲がやってきて。人って、日々、人には分からないところで闘ってるんだよ」とまた茶化していたけど。弱さは人に見せずに本気を出すってことかな。

本編終了後、アンコールでなんとスペシャルゲストとしてスガシカオが登場! スガシカオのファンクラブイベントでスネオヘアーがゲスト出演したそうで、そのお返しということで出演が決まったのだとか。スガ シカオ30歳、スネオヘアー31歳、2人とも30代でメジャー・デビューを果たした者同士。スガ シカオは「俺の後についてきてくれたヤツはスネオヘアーしかいなかった」と言っていたけど、二人のようなドロドロとした心の闇を歌にしてロックするシンガーソングライターって、確かに今いないかも。まあ止まらない止まらない約10分くらいのトークショーが繰り広げられ会場を爆笑の渦に巻き込んだ後、『バースデー』にちなんで二人のアコースティックギターの弾き語りでしっとりとスガ シカオの“Happy Birthday”を演奏。その後、バンドメンバーを呼び込んだ後も再び止まらないトークショー。『ハチミツとクローバー』繋がりということでスガもカラオケでよく歌うというスネオヘアーの“ワルツ”を軽快に披露。スガ シカオはステージ前方までせり出しギターを弾きまくる。さすが、オーディエンスを煽るのが上手い!

そして、ダブルアンコールの最後、「結局最後は独りなんだよ。人は死ぬ時はみんな独りだからね」と冗談混じりながらも神妙な面持ちで、「誰もスネオヘアーなんて知らなかった頃、誰も知らないからチャンスがあるだろうと思ってやってた曲で…」と“こうしてはいられない”をたった一人スポットライトを浴びながら弾き語った。個人的な思い出としてはメジャー・デビュー前に下北沢ガレージで弾き語っていた頃のスネオヘアーが甦った感じがして凄く感慨深かった。ホールだけど一気に距離を縮めた狭いライブハウス空間に変えてしまった。どこまでも捻くれてるけど、どこまでも真っ直ぐに歌に対する信念を伝えてくれるから心から信じられる。そんな、スネオヘアーがみんな好きなんだと思う。スネオヘアーのスネオヘアーたる所以が理解できた一夜だった。(阿部英理子)

1.アイボリー
2.LOVE YOU
3.ウグイス
4.夏になったら帰ってきてね
5.夢の続きのようなもの
6.headphone music
7.言いたいことはいつも
8.気まぐれな季節のせいで
9.サフラン
10.ターミナル
11.JET
12.電話
13.歪んだ二人
14.共犯者
15.スターマイン
16.スカート
17.バースデー

アンコール1
1.Happy Birthday(スガシカオ)
2.ワルツ
3.現在位置

アンコール2
1.セイコウトウテイ
2.こうしてはいられない
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