a flood of circleの魅力は、荒々しく狂おしい「線」の絡み合いにある。高音で響き合う佐々木&サポート・ギタリスト曽根巧のブルージーなプレイの応酬。鮮やかなラインを描きながらバンドのボトムを支える石井のベース。修羅のように激しくドラム・セットに挑みかかる渡邊の、1音1音が腰にクるタム回し……開演前にDJ:片平実がかけていたアークティック・モンキーズ“ブライアンストーム”やストロークス“ジュースボックス”などの楽曲の構造にも通じるが、パンクやエモのようにパワー・コードの「面」で押すのではなく、あくまでメロディとフレーズの力によって濃密な音像を描き出していくブルース・ロックの方法論を、頑ななまでにシリアスに突き詰めたものだ。で、己のブルースとロックンロールを鍛えて磨いて研ぎ澄ませた結果、自然発火必至の熱量とぶっとい存在感とを帯びるに至った、とでも言うべきものだ。そして……この日のアクトは、そんなa flood of circleの音楽がよりカオティックな新次元へと到達しつつあることをリアルに物語っていた。
いきなり『Human License』のカップリング曲“Quiz Show”の「10、9、8……」という不穏なカウントダウンから強靭な4つ打ちロックンロールへ雪崩れ込んでみせる展開もスリリングだったが、何より、「9月15日、3rdアルバム『ZOOMANITY』リリースします!」と佐々木がMCで明かしていた、その新作アルバムからの楽曲=“Human License”“Chameleon Baby”“フェルディナン・グリフォン・サーカス”の、この世の暗黒越しに祝祭を描くようなビートの狂騒感がすごい。まさにロックンロールもカーニバルもスカも何もかも呑み込んでバーストさせたような高揚感! “エレクトリック ストーン”“泥水のメロディー”“シーガル”“ブラックバード”といったこれまでの強力ナンバーで固めたセットリストも最高だったし、どの曲もバンドの成長によって格段にパワーアップしてはいたが、それでも上記の新曲3曲は明らかに突出したエネルギーを放っていたし、満場のオーディエンスの我を忘れた踊りっぷり跳びっぷりもそのパワフルな実力を証明していた。
「僕らにも、短いなりに歴史があって。古い曲もあるんですよね。この曲は308号室で作りました」という佐々木のMCから披露したのは、スロウ&メロウな名曲“308”。佐々木「この曲、いつぶりぐらいにやったっけ?」 石井「2年?」 佐々木「そんなに?」 石井「いや、適当だけど(笑)。よく308号室で、カルーアミルク飲んでた。今じゃハイボールなのにね」 佐々木「……や、カシスオレンジとかだったよね?(笑)」。一見、何気ない会話ではあるが、昨年ギタリスト急遽失踪という事態に直面した彼らが、気持ちをリセットし態勢を立て直し、こうしてフラットに自分たちの「いままで」のエピソードを語っていること自体が、逆にバンドの「これから」への至って自然体な決意表明のように聞こえて、思わずハッとした。
「ワンマン・ライブっていいですね! みんなよこしまな気持ちなしに、僕らを観に来てるわけでしょ?(笑)」と、“プシケ”の赤黒い音像でDUOの空間を震わせた後で佐々木が再び語る。「僕は、自分は器の小さい人間だと思ってるんだけど。なぜかっていうと……ほんとに身の回りのことしか歌ってないから。“Human License”も、そもそも職務質問されたってところから始まってる曲なんですけど(笑)。お客さん1人2人の頃から始まって、こうやってワンマン・ライブがやれるのは……嬉しい!」。そんなストレートな言葉に、熱い拍手と歓声がフロア中から沸き上がる。
アンコールの2曲“プリズム”“ブラックバード”でフロアをがっつり揺らした後、Wアンコールでは映像収録用に“Human License”をもう1回披露。真っ向から世界と向き合うからこそ沸き上がる《疑って 疑って この世をどう信じたらいい?》《戦って 戦って いったい何に勝てばいい?》という煩悶を、フロア丸ごと踊り狂わせるほどの躍動感に変えていく……そんな彼らの、ロック・アーティストとしての覚悟と決意が、どこまでも強く爽快に鳴っていた。夏フェス/イベント連戦の後、10月&11月には全国ツアー『Tour ZOOMANITY~天晴全国百鬼夜行~』も回るa flood of circle。その暴発寸前のエモーションをまざまざと見せつけられた一夜だった。(高橋智樹)
[SET LIST]
01 session ~ Quiz Show
02 Human License
03 Chameleon Baby
04 エレクトリック ストーン
05 ロシナンテ
06 session ~ Forest Walker
07 博士の異常な愛情
08 夜はけむり
09 308
10 フェルディナン・グリフォン・サーカス
11 泥水のメロディー
12 シーガル
13 Buffalo Dance
14 プシケ
15 月に吠える
16 象のブルース
EC1-1 プリズム
EC1-2 ブラックバード
EC2-1 Human License