The Mirraz @ 恵比寿リキッドルーム

The Mirraz @ 恵比寿リキッドルーム

The Mirraz @ 恵比寿リキッドルーム - pics by Shimbo Yukipics by Shimbo Yuki
「えー、ここはどこですか? リキッドルームですか? リキッドルームもソールドアウト? そっか!」という畠山(Vo/G)のMCからも伝わってくるように、全国12箇所で行われる公演のチケットを全てソールドアウトするという快挙を成し遂げた、The Mirrazの「Top of the fuck'n world tour 2010 〜世界には行きません〜」。来週の水曜日に大阪での追加公演を控えてはいるものの、今日の恵比寿リキッドルームでのライブが、ツアーファイナルという扱いになるそう。開演時間になって最初に登場したのは、The Mirrazと同じmini muff records所属のYUEY。およそスリーピースとは思えないほどの厚みを持った硬質のアンサンブルと、比嘉(Vo/G)の感情をそのまま絞り出しているかのようなボーカリゼーション、そして脳の快楽中枢を直接刺激されているかような感覚に陥る比嘉のフライングVの甘い音色がやけに耳にこびりつく、中毒性の強そうなギターロックバンドだ。ゆるい雰囲気のMCとは裏腹な鬼気迫るようなグルーブでもってラストの“ゆいなうた”まで早足で駆け抜けて、短い時間ながらも十二分の存在感をフロアに残して去っていった。続いて二番手は、同じくmini muff records所属のCzecho No Republic。メンバーの武井(Vo/B)やアディム(G)が今年の7月頃までThe Mirrazのサポートを務めていたこともあってか、今回のツアーのゲストの中では最多となる5箇所目の出演。クリーントーンのギターフレーズと山崎(Dr)の刻む手数の多いビートを中心としたカラフルで浮遊感を備えたアンサンブルを奏でる4人組バンドである。「アディムが鍵盤弾きだしたら、お客さんがみんな大丈夫か?って顔をする(笑)」と武井がMCで冗談混じりに話していたものの、実際にはそんな心配は無用の長物であることがはっきりとわかるほど、ラストの“ダンス”で披露されたアディムのキーボードは、楽曲にトロピカルでサイケデリックな趣を加える最高のスパイスになっていた。こちらも短い時間ながら、軽快なサウンドスケープが発する多幸感がしっかりと会場を包み込む最高のアクトを見せてくれた。さて、最後はいよいよThe Mirraz。今日のオープニングSEはグループ魂のニューアルバム『1! 2! 3! 4!』に収録されている“しにものぐるい”。これは、なぜか日本語を解するゴリラ(♀)のゆっこ率いる架空のバンド「しにものぐるい(いきものがかりのパロディ)」が、「ミュージック原田さん」という架空のラジオ番組に出演するという設定で、くだらなすぎて笑える掛け合いをさんざん繰り返した末に、最後は《死にものぐるいで生きなくちゃ》という普通にちょっと良い歌を披露する(ゴリラなのに)、9分弱の長編コント楽曲だ。そして“しにものぐるい”でフロアの空気が妙な方向に暖まりきったところで畠山、関口(Dr)、そしてサポートを務めるケイゾー(B)と佐藤(G)がステージに現れて、フロアに不意打ちをかけるかのような形でキックオフ・ナンバーの“TOP OF THE FUCK'N WORLD”を発射する。来週に大阪での追加公演を控えていることもあり、詳しいセットリストを掲載することができないのだが、その後も“CANのジャケットのモンスターみたいのが現れて世界壊しちゃえばいい”などの、今までのライブでもよくやっていたような楽曲群が続いていく。息つく間も無くまき散らされる畠山の毒気たっぷりのスポークンワードにあてられて、フロアのカオスがどんどん膨れ上がっていく。さらに畠山はMCでも「いやー、ツアーファイナルですよ。ツアーが終わればやっと休みだと思ってやってきましたけど、来週もあるし、全く区切りにならないんですけど、まぁ最後まで楽しんで」という相変わらずのふてぶてしさ全開の、天性の融通無碍っぷりをいかんなく発揮。こういうところでの「まーた言ってるよ」という感じがなぜかちょっと癖になるのだ。そしてそんなMCの後、時々自分の恋人のことでさえ信じられなくなるという、今までにないくらい畠山自身のリアルな心の内をさらけ出しているかのような歌詞の楽曲“ハッピーアイスクリーム”をプレイ。ここで一瞬クールダウンしたものの、その直後にとことん軽薄な“Let's go DISCO、そしていつもキスを”をプレイして、ほんの一瞬でフロアを狂騒空間へと引き戻す。畠山は、「そうすねーまぁ、今日も別に話すことないわ。どうしようねー。客いじってもつまんないからねー」といういつもの調子から「最近ケイゾーのキャラが変わってきたよね。愛とか言うし。『俺は愛のみ』とか言っちゃってね。関口さんは『俺はロックマン』とかさっき楽屋で言ってたしね。……え?今すべったの俺のせいじゃないよ?」というようにメンバーいじりが始まって、その後も曲を挟みつつ「(佐藤)マサヒコさん、早くギンギラギンにさりげなくやりたい?てか(関口)塁、なんで厚着なの?ダイエット?ちょっと、ライブ中にやるのはどうかと思う。え?生きることがダイエット?俺がダイエット?俺が平成のダイエット?」と、もうここまでくると気持ち良くなってくるほどの言いたい放題。しかもほとんど投げっぱなし、散らかしっぱなしで終わるのがまた小気味良い。ライブ終盤には、来年の1月に『TOP OF THE FUCK'N WORLD』と対を成すようなアルバム『We are the fuck’n world』をリリースすることを発表し、その中から、ハイトーンのリフとつんのめったビートで疾走しながらもひどく内省的な内容を歌う、今までのThe Mirrazにはなかったような新機軸のサウンドの楽曲“あーあ”をプレイ。その後も新旧、そして攻撃性と優しさを織り交ぜたハイスピードでキャッチーなガレージサウンドをかき鳴らし、ラストの“グッバイ…エイジ・ダテ”の演奏で、本編はひとまず終了。アンコールの初めには、来年3月から始まる『We are the fuck’n world』のリリースツアーの告知があった。なんとファイナルは、渋谷AXでのワンマンライブだそうだ。そしてその時のオーディエンスの「行くよ!」という声援に畠山が「くるよ!」と返したことから急にコール&レスポンスをすることになり、畠山は事前説明一切無しで「曙!」、「渋谷!」といったコールを連発してオーディエンスを困惑させた後、「アンコールやって、さっさと帰りますんでね。ありがとう」と、彼らの2大アンセム“シスター”、“イフタム! ヤー! シムシム!”をプレイ。今まで散々我々を振り回し続けてきたくせに、最後の最後でこんなにも嬉しいサービスをしてくれちゃうあたりが、本当に憎めない。ありがとうThe Mirraz。(前島耕)
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