RIZE @ SHIBUYA-AX
2012.10.24 15:15
レーベルを移籍し、実に2年5カ月ぶりとなるシングル『LOCAL DEFENSE ORGANIZATION』を先週リリースするや、それを受けてのツアーを地元・東京からスタートさせた彼等。新たなギアが入ったことを早速アピールしてくる強気の展開が頼もしい。もっとも、リリースから遠ざかっていたここ数年も歩みが止まっていたわけでは決してなく、今年2月の「Devilock Night Final」、そして9月の「AIR JAM 2012」に参加する一方で単独ツアーも開催。さらには、KenKenのDragon Ashのツアー参加などのセッションワーク、金子ノブアキの俳優としての活動とAA=のツアー、そしてJESSEは初のソロアルバム『Stand Up!』を制作するなど(リリースは11月11日)、それぞれに充実した日々を過ごしている。だからこそ、というべきか、この日のライヴは各人の好調ぶりを感じさせながらも、RIZEの何たるかを改めて確認させる、実にストイックなものとなった。彼等のライヴは基本的に長いMCタイムは無く、曲を続けざまに披露していくアスリート的な感覚に満ちたものなのだが、この日は冒頭から一層ハイペースに飛ばしていく展開を見せる。ツアーの初日なので、詳細なセットリストの掲載は控えるが、サポート・ギタリストにRioを加えた4人で現れた彼等は、まず6曲ノンストップでスピード・ナンバーを演奏。挨拶もそこそこに、場内の温度を一気に上げていく戦法で攻めたててくる。しかしながら、ドライヴ感の強い曲という以上に「言いたいことを言い切っている曲」という趣向を感じさせるメニューは、演奏もそうだがJESSEの歌とラップがとてもタイトなもので、刹那的な盛り上がりに終始することを拒否するようなクールさがある。エンタテイメントという以上に、忌憚なく自己の心情や問題意識を詞に音に投影させてくる彼等のスタイルに対し、オーディエンスもまずは熱い声援で応答しながら、それでも歌詞を正面から受け止めた時にこそ曲が完成する、そんな共有感が漂っているのも彼等のライヴの面白いところだろう。日本に生まれ日本に育ったことへのアイデンティティを讃える“日本刀”、「本気でも/浮気でも」というとぼけた歌詞がいきなり「民主主義でも/社会主義でも」と飛躍する、気になったことならなんでもラップにしてしまう俊敏さがいい“XL”、そして曲タイトルどおりに感謝するべきもの・守るべきものへの愛情をストレートに歌う“RESPECT”“heiwa”。そんな切実さを、野太いフレーズでフォローアップしていくKenKenのベースといい、そして派手さよりも的確なビートで全体を進行していく金子ノブアキのドラムといい、ほどよい横揺れ感が加味されたグルーヴもまた彼等の真骨頂。ラウドなサウンドの中に、心地よい安心感がもたらされてくる様子もRIZEならではの持ち味。 そして何より、レーベル移籍第一弾となる最新シングルの“LOCAL DEFENSE ORGANIZATION”だ。「3.11 the day to remember」という歌詞で始まるこの曲は、今敢えて作品化することで、あの日の感情を1年半経った今もなお風化させまいと願う物語で、JESSEはマイクを握り締めてひたすら願うように歌い続ける。そんな“聴かせる”メニューでも、彼はこみ上げる何かをまだ言い足りていない様子で、この曲に限らず、ライヴの節目節目で何かに憑かれたように叫び始めてしまう姿もまた美しいものだった。「わかってるよな!」「忘れるなよ、その気持ち」「感謝される準備は出来ていますか?」等々、曲の意味をしっかり確認しながら、オーディエンスと対話するようにステージを作っていく様子は、ラウドなサウンドによる一体感はもちろん、コミュニケーションの存在を強く願う、激しくも律義な姿勢に貫かれたものだった。さまざまな感情を刺激する爆音を轟かせながら、それでも理性のタガは外さず、ひとつひとつの言霊を噛みしめながらの高速ラップという難題を超えて、本編をほぼノンストップで駆け抜けた彼等。それは、音楽の無限の可能性を今改めて噛みしめ、大きな理想から些細な気持ちの揺れまで、ありとあらゆる機微を受けとめようとするRIZEの思想を改めて提示したものだった。本編終了後も、「おかわり!」と繰り返し叫ぶオーディエンスに応え、アンコールで再登場した4人。最後の最後では並んで肩を組み、礼をして、大きな喝采を浴びていた。このツアーは、11月9日の福岡DRUM LOGOSまで、全国で6公演が行われる。(小池清彦)