デフ・ハヴァナに直撃インタビュー! 数多の危機と変化に立ち向かってきた「デビューからの10年」、その軌跡を語り尽くす!

デフ・ハヴァナに直撃インタビュー! 数多の危機と変化に立ち向かってきた「デビューからの10年」、その軌跡を語り尽くす! - pic by Mami Hatoripic by Mami Hatori

●では、世界中のバンドやアーティストの中で、デフ・ハヴァナにしかないものを挙げるとすれば何だと思いますか?

トム「……やっぱり歌詞だね」
ジェームズ「もちろん、俺みたいなスタイルで、もっといい歌詞を書く人は他にいくらでもいるし。当然、俺たちの音楽にしても、俺の歌詞や歌い方にしても、他のアーティストの影響を受けているわけだし……ほんと、自分たちの何がユニークなのか?って改めて考えると難しいな」
トム「やっぱりライブかな。すごくエネルギッシュで、めちゃくちゃ楽しい!っていう。バンドって、どっか生真面目なところがあるよね? 俺たちにも真面目なところはある。でもステージでは、例えば演奏でミスしたり、歌詞を忘れたりしても、メンバーはみんな大爆笑してるし、ファンもみんな笑って許してくれる。あまりそういうことで悩まないんだ。ライブも真面目なバンドにありがちな、『一音も間違っちゃいけない』みたいな、変な緊張感がない。『楽しむ』っていう方向に振り切れてるのが、俺たちらしさかもね」

●昨年はグラストンベリーにも出演しましたし、ブリクストン・アカデミーのような大きな会場でのアリーナ公演も行うなど、着実にライブ・バンドとしても成長していますよね。こうした今の状況について、みなさん自身はどう感じていますか?

マシュー「こんな風になるなんて、自分たちでも驚きしかないね。今はUK以外の国でも、以前よりもだんだん人気が出てきているし、今回日本に来たみたいな機会も増えているからね。すごいことだよ。ただなかなか実感がわかなくて……」
リー「16の時には考えられなかったよね」
マシュー「ああ、ほんとに。変わり続けてるから」
ジェームズ「音楽業界ってすごく変なところで、特にイギリスだと変化が激しいんだ。次にどんな音楽がウケるか、自分たちがどれだけビッグになれるかなんて絶対わからないんだ。そういう流れについて行くのも大変だけど、俺はその瞬間瞬間を楽しむようにしているよ。先のことを心配しても仕方ないからね」

●そういう音楽シーンと向き合う中で、壁にぶつかることもあるかと思いますが、そういう時はどうしていますか?

トム「うーん、アルバムごとに、乗り越えないとならない課題って出てくるものなんだよね。リリースの形にしても、CDだったものが配信サービスとかに変わっていくし。でも俺たちは、やってきたことを続けていくだけだよ。スタジオに入って、自分たちが満足できるものを作るっていう。それが自分たちの本分だから、それ以外のことは考えすぎないようにしている」
マシュー「その時に流行っているものをまねても、いいことはないからね」
ジェームズ「ああ、基盤がなくなる。それだとあっという間に古くなるんだ」
トム「うん。だから、ウケるかどうかなんて気にせずに、とにかく自分たちが納得できるものを作ってリリースする。それしかできないよ。今流行っているものを分析して取り入れる、なんてことは、まっとうなミュージシャンのやるべきことじゃないね。成功だけを目的にするなんておかしいよ」
ジェームズ「何かが流行ると、すぐにそれに飛びつくタイプのミュージシャンもいるよ。そういうものは半年くらい人気になるかもしれないけど、すぐに時代遅れになるんだ」

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●最新作『Rituals』は“Sinner”と“Saint”、“Hell”と“Heaven”、“Holy”と“Evil”といった正反対の曲名が、アルバムの前半と後半で呼応するような形で配置されているのが印象的でしたし、ストリーミング全盛の時代だからこそ「アルバム」の必然性を感じる作品でした。そういったコンセプチュアルなアルバムの在り方も想定して制作したのでしょうか?

ジェームズ「俺も曲単位で聴くこともあるけど、やっぱりメインは今でもアルバムを聴いているんだよね。それが音楽を聴くってことだと思っているから。デフ・ハヴァナは昔からずっと、アルバムっていうフォーマットを大事にしてきたバンドなんだ。曲って、それが置かれた状況によって全然違って聴こえるからね。単独で聴くとあんまりたいしたことないな、と思ってた曲が、アルバムの流れで聴くとすごく良かったりもするし」
マシュー「君が指摘してくれたように、このアルバムでは正反対の要素を並べてみたんだ。それにしても、今の音楽の聴かれ方って、面白いよね。今、音楽を聴くメジャーな方法って2つあって、それがストリーミング配信と、アナログ盤っていう。これって本当に両極端で、不思議な時代だなあって思う」
トム「特に“Pure”と“Evil”(アルバム8曲目と9曲目)は、一続きになっていて、2曲を続けて聴いて、初めて意味がわかるようになっているんだ」
ジェームズ「歌詞はそれぞれまったく別のことを歌っているように思えるけど、実は同じことを一方ではより過激に語っているんだよ」


●そういう、正反対のものを対置するというアイデアは、何かインスピレーションになったものはあるのでしょうか?

ジェームズ「うーん、人間の良い面と悪い面の両方を描きたいと思ったんだよね。人間には、すごくどうしようもないところもあるけど、すごくいいところもある。その両面を受け入れられたらっていう。で、こういうことができたら面白いんじゃないか、ってひらめいたんだ」

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●『Rituals』では、バンド・サウンドとデジタルの垣根を取り払ったようなハイブリッドなサウンドが印象的でした。このサウンドを構築したことで、メロディのポップ感などデフ・ハヴァナのストロング・ポイントがよりいっそう際立ったような実感があったのですが、みなさんはどう感じましたか?

マシュー「うん、その通りだよ。君の方が僕たちよりずっと説明がうまいね(笑)」

●日本のリスナーの間でも、こういうサウンドって今、すごく人気があるんですね。そういう若いリスナーに、どういう音楽的体験をしてほしいと思いますか?

トム「『どういう』か……うーん……」
ジェームズ「寝る前に必ず音楽を聴いてほしいね(笑)」
トム「とにかく、これだけたくさんの音楽があふれているわけだから、自分が楽しいな、と思えるものを聴くのが大事じゃないかな。いろんなタイプの音楽をどんどん聴いて、これはいい、と思えるものを見つけるといいよ」
ジェームズ「自分の意見を持つことが大事だね。誰かが『これはクールだ』って言ったからとか、ラジオでたくさんかかっているとか、そういうのは気にする必要はないよ」
リー「やっぱり、自分が共感できるものを好きになるよね。落ち込んでいても悲しんでいても、そういう気持ちに寄り添ってくれるものがいいんじゃないかな」
マシュー「そのときの気持ちにピタッとくるものだね。俺なんて若いころは、あれこれ手を尽くして、自分でいろんな音楽を探すのが一番楽しかったんだよね。でも今は、携帯電話でどんな音楽でも気軽に聴ける時代になってる。ちょっと充実しすぎてるのかもしれないな。SpotifyとかApple Musicみたいな技術が進んで、今聴いている音楽をもとに、いろいろとお勧めしてくれる。それはそれで素晴らしいんだけど、苦労して好きなものを探し当てる醍醐味はなくなっているよね。昔好きだったレコードって、今思うとそれほどいいものじゃなかったかもしれないけど、時間をかけて、自分で探したものだから、すごく価値があった。これからもそういう、音楽を聴く上での楽しみは残ってほしいなって思うね」

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●では最後に。前作『All These Countless Nights』(2017年)からわずか1年半で最新作『Rituals』がリリースされたので、そろそろ次のアルバムのビジョンも見えていたりするのかな?と期待するところですが、現時点で具体化している音楽面での展望はありますか?

ジェームズ「それがまだないんだ(笑)。このツアーが終わったら、書き始めないといけないね」

●ツアーの後は特に休みはないんですか?

トム「うーん、取るかもしれないね。でも、すぐ曲作りに入ると思うよ」
マシュー「取っても4日くらいじゃないかな(笑)」
ジェームズ「今年の終わりくらいまでには、半分くらいはできあがってたらいいなと思ってるよ」

●個人的にも次のデフ・ハヴァナのサウンドが気になるので、すごく楽しみにしています。

マシュー「僕たちもだよ」

●質問は以上なんですが、今回サマーソニックで来日されたということで、ライブを観たいバンドはいますか? {alink id="1442"}レッド・ホット・チリ・ペッパーズ{/alink}や{alink id="6685"}The 1975{/alink}など、目玉になるバンドはいくつかありますが。

ジェームズ「まさにその2組だね(笑)。いや、真面目な話、キャットフィッシュ・アンド・ザ・ボトルメンは観ておきたいね」

●では、フェスで共演してみたいバンドなどいます?

ジェームズ「誰でもいいんだよね? じゃあ……ビョークかな」
マシューシャキーラとか?(爆笑)」
トムロビー・ウィリアムスだ!」
マシュー「僕は6lack(ブラック)かな。アメリカのシンガーの」

●(笑)。わかりました、今日はありがとうございました!

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