「次なるポップの覇者」として全世界注目のホールジー!! 自身の内面や闇に向き合い、大胆なアプローチで感動的なポップ・ソングを生み出し続ける巨大な才能に迫る

「次なるポップの覇者」として全世界注目のホールジー!! 自身の内面や闇に向き合い、大胆なアプローチで感動的なポップ・ソングを生み出し続ける巨大な才能に迫る

一転して、2017年のセカンド『hopeless fountain kingdom』は、ホールジーのポップ・アーティストとしてのポテンシャルを総動員したような作品だ。

「次なるポップの覇者」として全世界注目のホールジー!! 自身の内面や闇に向き合い、大胆なアプローチで感動的なポップ・ソングを生み出し続ける巨大な才能に迫る - 『hopeless fountain kingdom』Jacket『hopeless fountain kingdom』Jacket

これは『Badlands』があまりにも自己表出的な作品となったことへの反省で、本人の言葉では「よりラジオ・フレンドリーな音が作れるはずだ」と表現されている。

つまり、よりダイナミックでキャッチーなポップ・センスを発揮させてみせるというアプローチで制作したアルバムだ。

歌詞の世界観としては『ロミオとジュリエット』を、そこはかとなくベースにしていて、決して実を結ぶことのない関係を、自身の経験も織り込みながらもフィクションとして徹底的に作品化するという、完璧すぎるほどのトータル・アルバムとなっている。

その最たる楽曲となるのが"Bad At Love"で、男女問わずこれまで破綻してきた関係を振り返り《わたしは愛することがへたなんだよ!》と歌い上げてしまうこの迫力はすごい。


そして、最新作『Manic』は、いったんコンセプト・アルバムを通過した上で、再び自身の心象や感情をストレートに作品化したアルバムになっている。

「次なるポップの覇者」として全世界注目のホールジー!! 自身の内面や闇に向き合い、大胆なアプローチで感動的なポップ・ソングを生み出し続ける巨大な才能に迫る - 『Manic』Jacket『Manic』Jacket

言うまでもなく前作の徹底した作り込みとサウンドもホールジーのアプローチとして定着しているので、どこまでも簡潔で鋭く、ダイナミックなポップ・ソングとして仕上がっているのだ。

同作からのファースト・シングルとなり、ホールジーにとっては2曲目のチャート1位に輝く楽曲となった"Without Me"などは、サウンドとメロディが素晴らしいだけでなく、あまりにもあけすけに「誰のおかげで自分が成功したと思っているの?」と責め立てるコーラスがとにかく強烈。


元交際相手のジー・イージーに宛てた曲であることはホールジーも認めているが、それにしても、どこまでも聴かされてしまう迫力とパフォーマンスと、音作りがあまりにも見事なのだ。

ホールジーは、この"Without Me"を2018年10月にリリースし、それに続いて"Nightmare"を19年5月にリリースしている。


「相手にとって悪夢のような女」である自分にとって本当の心情を歌い上げる、この"Nightmare"の方が実は次回のアルバム収録曲になるだろうと当時は目されていた。

それは楽曲として"Nightmare"の方が圧倒的に完成度が高かったからだが、しかし、実際には"Without Me"がアルバム収録曲となって、そのアルバム『Manic』もこの"Without Me"が軸となっていくことになった。

それは"Without Me"で吐露された過剰な心情がまさに今現在のホールジーに繋がるリアルな表現になっていたからで、自分をベースにした完成度の高い作品よりも、今の自分の心境や心象を生々しく描いていく方向に舵を切ったからなのだ。

うまくいかないとわかっている相手をどうしても追いかけてしまう気持ちを、どこまでも墜ちていく自分として墓荒らしにたとえて綴ってみせた"Graveyard"など、聴きやすさとイメージの強烈さが合わさったインパクトはいまだかつてないパワーを感じさせながらも、どこまでもパーソナルな作品にもなっているところがこの『Manic』なのだ。


しかも、同じように自己表出の固まりとなっていた『Badlands』と較べると、イメージとサウンドとパフォーマンスの鮮烈さや聴きやすさが過去最高レベルに達しているところがすごい。

現在のライブのセットリストは、まんべんなく楽曲を取り上げるものになっているし、間違いなく彼女は今ピークを迎え始めている。5月の来日公演では、どんな世界が繰り広げられていくのか、なんとしてでも目撃したいところだ。(高見展)



提供:ユニバーサル ミュージック ジャパン
企画・制作:rockin'on 編集部
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