アリス・クーパーのギタリストとして有名だったディック・ワグナーが7月30日に病院で呼吸不全により他界した。享年71だった。ディックは今月に入って心臓発作のためアリゾナ州フェニックスにある病院に入院し手術を受けていたが、その後呼吸器の感染症にかかっていた。
ディックは60年代にミシガン州のロック・シーンで活躍し、1972年にアリス・クーパーの『スクールズ・アウト』のレコーディングに初めて参加。その後、アリス・クーパーのアルバムに度々参加するようになるが、アリスがバンドを解散させるとアリスのギタリスト兼ソングライターとなり、75年にアリスの名作『悪夢へようこそ』を制作することになった。
また、プロデューサーのボブ・エズリンにも目をかけられていたため、『ベルリン』期のルー・リードのバンドにも加わることになり、1974年のルーのライヴ盤『ロックンロール・アニマル』のダイナミックなパフォーマンスに大きく寄与することになった。
セッション・ミュージシャンやソングライターとしても定評があり、エアロスミス、キッス、ピーター・ガブリエル、ロッド・スチュワート、エア・サプライ、ホール・アンド・オーツなどさまざまなアーティストの作品にも関わることになった。ディックは2007年には卒中で倒れ、左腕が麻痺になるという憂き目にも遭ったが、13年には驚異の復活を遂げたことでも知られていた。
アリスは『悪夢へようこそ』でのコラボレーションを次のように振り返り、ディックを惜しんでいる。
「俺たちが一緒に作品を書く時には本当に不思議な力が宿ってたんだよ。ディックには俺がその時々でやろうとしていることにすぐにうってつけなコードがわかってそれを鳴らしてくれるんだ。人間っていうのは、自分の友達とかは自分と同じようにいつまでも一緒に生きていくって思い込んでるもんだと俺は思うからね、ディックが亡くなったと知らされるのって不意打ちのような大ショックだし、俺にとっても、ロックンロールにとっても、ディックの家族にとっても大打撃だよ」
また、同郷ミシガン出身で昨年チャリティ向けのコラボレーションをディックと行っていた元グランド・ファンクのマーク・ファーナーは次のようにディックを偲んでいる。
「ディック・ワグナーは俺の生涯の友人だっただけでなく、仕事仲間や無数のファンらも認めるロックのマエストロだったんだ。ディックは俺にショーマンシップやライヴ・パフォーマンスの演劇的な側面の大切さを教えてくれた個人的な師匠だったんだ。これまで相当な見世物を披露してくれただけに、神様にも安らかに眠らせてもらえるはずだよ」