メガデスのベースのデイヴィッド・エレフソンはメタリカやテイラー・スウィフトを引き合いに出しながら、U2の新作『ソングス・オブ・イノセンス』の無料配信について果敢な試みだったと語っている。
音楽評論家のジョー・デイリーの取材に応えたデイヴィッドは次のように語っている。
「何年も前には誰も彼もがメタリカとラーズ・ウルリッヒのことをナップスターに対して訴訟を起こしたからって憎もうとしてたよね。でも、どうだよ、ラーズが正しかったよね。そして今もテイラー・スウィフトっていうビッグ・アーティストが同じようなことをスポティファイに対して行ってるわけだ(テイラーはアーティスト側の取り分が少なすぎるとしてスポティファイから自分の音源をすべて引き上げている)。だから、ある種のアーティストがほかの人たちにはできないような、勇気ある行動を取った時にその人を憎むのはすごく簡単なんだよ。その世界に君臨していて、特権に恵まれて、ほかの誰にもできないことをやるという理由で、ヘヴィー級のゴリラを敵視するのは簡単なんだ。でも、みんなにわかってないのは、そういう人たちはそうするためにものすごく努力してるってことなんだよ」
「たとえば、U2の最新作だって俺は買ってないんだ。アイチューンズに貰ったから(笑)。でも、飛行機での移動中に聴いたし、U2イズムみたいなものがしっかり聴ける作品だと思ったよ」
「ジミー・ファロンが司会になってからの(トーク・ショーの)『ザ・トゥナイト・ショー』にU2が出演した時に観たんだけど、その時スタジオのソファーの裏に置いてあったギターにジ・エッジが手を伸ばして途端に"天国への階段"を弾き出したくだりがあったんだよ。俺にはね、それがドラムであろうと、ピアノであろうと、アコースティック・ギターであろうと、最初の2、3小節ほど聴けば、そのミュージシャンの腕がどれほどのものかすぐにわかるんだ。最初の音符をいくつか聴くだけで当人の芸のクオリティーがわかるわけで、U2はしっかり持ってるから。とんでもなくすごいバンドだよ。連中の新しい楽曲が好きかどうか、連中のパブリシティ・スタントが好きかどうか、連中のビジネス手法が好きかどうかは別として、このバンドに対しては尊敬の念しかないね」
「俺はこれまでもずっと言ってきているけど、一番難しいのはバンドを始めること、その次に難しいのはバンドを続けることで、連中はこれまで本当に長い間やってきてるんだからさ」
なお、昨年最新作『スーパー・コライダー』をリリースしたメガデスだが、今年に入ってデイヴ・ムステインが頸椎の手術を受けた後、予後が思わしくなく活動休止に追い込まれている。その後、ギターのクリス・ブロデリックとドラムのショーン・ドローヴァーがともに脱退してしまい、現在はデイヴとデイヴィッドの二人体制になっているが、デイヴィッドは今後も新しい音源を制作していく予定だと明らかにしている。
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