パティ・スミスとローリー・アンダーソン、ロックの殿堂入り式典でルー・リードを偲ぶ

パティ・スミスとローリー・アンダーソン、ロックの殿堂入り式典でルー・リードを偲ぶ

4月18日にロックンロール名誉の殿堂入りを果たしたルー・リードだが、パティ・スミスやルーの妻ローリー・アンダーソンは式典でルーを偲ぶスピーチを届けることになった。

式典セレモニーではパティが2013年に他界したルーの殿堂入りのプレゼンテーションを務めることになったが、ルーと初めて会った時の思い出を次のようにスピーチで振り返った。

「わたしが初めてルーと視線を交わしたのは、1970年の夏にマクシズ・カンサスシティの階上でヴェルヴェット・アンダーグラウンドが出演していて、それに合わせて踊っていた時だったのね。それからなんかの拍子でルーとわたしは友達になった。すごく複雑な友情で、時には対決的だったし、そうじゃない時にはやさしい関係だった。ルーはCBGBでも突然物陰から出現したりするのね、それでライヴでわたしのなにかがよかったとしたらそれをほめてくれるし、よくないところがあったりしたらそれをこきおろされたりするのね」

「ある夜、別々にツアーしてたら一緒のホテルに居合わせたことがあって、ルーから電話があって、部屋に来てほしいということだった。声が暗かったから、部屋に向かう途中こっちも少し緊張してたんだけど、部屋に着いてみたら、ドアが開けっ放しになってて、中に入るとルーが黒ずくめの服を着たまま、空のバスタブに横たわってたのね。それでわたしはトイレの便座に座って、ルーの話を聞いたの。それからもう何時間も話したような気がしたんだけど、実際、ルーはいろんなことについて語ったのね」

「たとえば、性差の隙間に落ちちゃってもがいている人たちの苦悩についての共感を語ったり、CBS時代以前のフェンダー・アンプと政治の腐敗についても話したわね。でも、ルーはなによりも詩について語りたがっていた。詩の巨匠の作品を諳んじたのよね、ルパート・ブルック、ハート・クレイン、フランク・オハラなどとね。ルーは詩人たるものは孤独であること、それと最高位の歌神への詩人の献身の在り方について語った。しばらくして話が途切れるとわたしはこう言ったの、『身体を大事にしてね、世の中がなるだけ長い間、あなたと触れていられるように』って。するとルーはにっこり微笑んだのよ」

また、ローリーは今回の殿堂入りがルーにとって大きな意味を持ったはずだったと次のように語った。

「こちらクリーヴランドまで来させていただいて本当に素晴らしいことです。きっとルーもこれを喜んだに違いないわ。ルーは自分がやってきたことに純粋に誇りを持っていたし、自分の作品をきちんと評価していたのね。だから、今夜生きていたら、この一部になれたことをとてつもなく喜んだはずなの」

さらにローリーはルーの遺作となった『LULU』について評価は追々ついてくるとデヴィッド・ボウイに諭されたと次のように語っている。

「この作品は本当に挑戦的なレコードだったし、わたしにとってもこの作品と向き合うのはとても難しいことなのね。あまりにも苦しみに満ちているし、かといって輝きもたくさんある。でも、ルーが亡くなってから、デヴィッド・ボウイがこう言ってくれて大きな助けとなったの。『あのね、この作品はルーの最高傑作だよ、ルーによる名作だから。だから、待ってなよ、これはきっと『ベルリン』のようになるから。みんなが追いつくまでに時間がかかるんだよ』。わたしも歌詞を読み込んでいるんだけど、ものすごく激烈な内容なのね。これは怒りと憎悪と恐怖と復讐と愛をよく理解していた人が書いたものだから。その上ものすごく猛り狂う内容になっているから」

その後、ルーへのオマージュとなるパフォーマンスが行われたが、ヤー・ヤー・ヤーズのカレン・Oとニック・ジナーは『トランスフォーマー』からの"ヴィシャス"を、ベックはファン.のネイト・ルイスとやはり『トランスフォーマー』からの"サテライト・オブ・ラヴ"のパフォーマンスを披露した。

(c) NME.COM / IPC Media 2015
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